2024.09.13 20:00

LITTLE TOY’S FACTORY コンピEP『KNOW THE FUTURE』リリース記念イベント　ニューカマー5組が未来へ繋げた熱演

文＝かなざわまゆ、写真＝兼澤拓斗、Yuki Ayano

まおた

『KNOW THE FUTURE』ライブ写真（撮影＝兼澤拓斗、Yuki Ayano）

　他4組がバンド編成のなかで、唯一ギター弾き語りのスタイルでライブを届けたのは、18歳のシンガーソングライター、まおた。鳥のさえずりのSEが聞こえてくると、静かにステージに登場した彼女はゆっくりと美しいハミングを響かす。そのまま「烏兎匆匆」で透明感のある歌声を届け、ギターをリズミカルに奏でながら「朝顔」を披露。

　ドアの開閉音で幕を開けた「一人ぼっちじゃないわたしの歌」は、周囲の環境に溶け込めない苦悩を描きながら、次第に自身を励ますような歌詞へと結ばれていく楽曲だ。教室を思わせるチャイムや生徒たちのざわめきのSEで幕を閉じる、曲への没入感を高める演出も素晴らしかった。

　シリアスなムードで届けられたのは、『KNOW THE FUTURE』収録の「獏『独演』」。“才能”にはその人の努力が含まれているのだから、簡単に欲しいと願ってはいけないのだと彼女は言う。「でも、人は羨ましいって思っちゃうんですよ」と、行き場のない悔しさや嫉妬を表現するように、力強くギターをかき鳴らしながら歌い上げる。

　ラストは「自分と同じような人に光を与えられたら」と「燈」を披露し、途中はマイクを通さず、直接聴き手に寄り添うように歌声を届ける。感情をぶつけるようなパフォーマンスの連続に圧倒させられるステージだった。

■セットリスト
1.烏兎匆匆
2.朝顔
3.一人ぼっちじゃないわたしの歌
4.ぼくらの選択肢
5.獏「独演」
6.燈

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おもかげ

　イベントのラストを飾ったのは、神奈川県横浜市を拠点に活動する4人組バンド、おもかげ。バンド結成からわずか10カ月というスピードでの出演となった彼らは、疾走感のある「海の見える街」でライブをスタート。時折メンバー同士で顔を見合わせたり、フロアに笑顔を振りまいたりする姿からも、4人がこのステージを楽しんでいることが伝わってきた。

　冒頭から石黒瑛飛（Gt）のエモーショナルなギタープレイが目を引いた「ミライ」、「閃光」と畳みかけた彼らは、MCで「最高に素敵な日を作りに来ました！」と宣言。そして『KNOW THE FUTURE』収録の「ラベンダー」が披露されると、すぐさまフロアからクラップが送られた。ポップで軽やかなバンドサウンドとは裏腹に、日隈貫太（Vo/Gt）の切なさのこもった歌声が響きわたる。

　シーンが切り替わるように雨音のSEから「五月雨」へと繋げ、「革命前夜」を力強くプレイすると、未来へのエールがこめられた「18歳」をラストに披露。4人の熱いパフォーマンスに呼応するように、フロアではたくさんの拳が突き上がっていた。〈未来を創ろう〉と歌われるこの歌は、バンドの躍進を期待させるとともに、若手アーティスト5組が集ったイベントを締めくくるにも相応しい楽曲だったと思う。