海外の音楽リスナーから見た“日本らしさ”とは? Spotify「Gacha Pop」での人気傾向を踏まえて考察

③VOCALOID発祥の地で遂げた電子音楽の発展

 最後の特徴としては、ここまで度々触れたボカロをはじめとする、多彩なDTM/エレクトロサウンド楽曲だ。

 これについては日本のみならず、そもそもヒップホップやEDMなどの電子音楽が、直近の世界の音楽市場トレンドを引き続き牽引している影響も大きい。一方で、これらの音楽を生み出す上で欠かせない電子楽器の世界的メーカーであるヤマハやローランドは、ここ日本が発祥という点にも注目すると事象の見え方が少し変わるかもしれない。現在進行形で世界的に支持される日本の音楽、そして電子音楽の歴史を大きく変えたVOCALOIDも生みの親はヤマハだ。それを踏まえれば、開発メーカーのお膝元という環境ゆえにそうした電子音楽がこの国で飛躍的発展を遂げたという仮説も大きく筋違いではないのだろう。

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 これら3つの要素を総合して、世界的に見た際の日本の音楽の魅力≒「Gacha Pop」に集約される楽曲群の一つの特徴として浮かび上がるのは、どこか三次元でない一面や、現実から離れたバーチャルでフィクショナリーな側面を持つアーティスト/楽曲。それこそが世界市場における今の日本の音楽の強みならば、上記3要素を網羅する傾向の高いボカロカルチャー由来の曲が、海外で特に人気を獲得しやすいのも頷ける。そもそもボカロカルチャー自体が、ゲーム・アニメ・マンガを中心に築いてきた“コンテンツ大国・日本”のイメージの延長線上にあるものであるという見方もできるだろう。

 今後も多彩な形でそのユニークさを発揮しながら誕生していく、新たなフロムジャパンのヒットチューン。世界中に鳴り響くその音楽がどれだけ多くの人々を熱狂させるのか、これからも大きな期待を寄せていきたい。

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