カラノア、ルーツが渾然一体となったポップサウンド 主催イベント『Log Book Fest. -Vol.1』を観て
7月26日、カラノア主催のイベント『カラノア Presents Log Book Fest. -Vol.1』が、東京・Shibuya eggmanにて開催された。イベントタイトルの「Log Book」とは、「航海日誌」を意味する言葉で、雄大(Vo/Gt)いわく、「ここから僕たちで航海日誌をつけてこう」という未来へ向けた想いが込められているという。今回のライブは、その記念すべき第1回目。対バン相手は、the quiet roomとHalf time Old。2組とも、カラノアにとって先輩にあたるバンドであり、また、ただの先輩ではなく、学生時代からライブハウスに足を運んでいたほど強い愛とリスペクトを寄せる存在である。今回の対バンを前に、カラノアの4人が、the quiet room「Instant Girl」とHalf time Old「ミニマリスト」のカバー動画をSNSにアップしていたことからも、彼らの2組への熱い想いとこの日のステージへの意気込みが伝わってきた。そして、そうした4人の熱い想いをしっかりと受け取めてステージに立ったthe quiet roomとHalf time Oldは、それぞれの歌とロックサウンドでフロアを熱く沸かし、最高の状態でバトンをカラノアへと繋いでみせた。
スペーシーなSEが響く中、メンバーが一人ずつステージイン。雄大の「よろしく!」という簡単な挨拶を経て、1曲目の「えいよー!」へ。エネルギッシュに弾けるバンドサウンド、雄大の力強い歌とシャウトに呼応するように、ライブ冒頭からフロアからたくさんの拳が突き上がる。なんて熱い幕開けなのだろう。その後も、「バク」「常夜燈」「ふわふわり」と歴代の楽曲が次々と披露されていく。ライブを観て改めて驚かされるのは、各楽曲の歌や演奏に、それぞれのメンバーの異なるルーツが色濃く滲んでいながら、それらが渾然一体となってカラノア流のミクスチャーロックとして結実している、ということだ。また、それぞれの楽曲のテイストは異なっていたとしても、歌のメロディが揺るがぬ芯となっていることは共通している。虹太(Gt/Cho)、樹(Ba)、かずき(Dr)による複雑に絡み合うテクニカルなプレイは、雄大の歌の力を最大限に引き立てることに徹していて、そうしたバンドアンサンブルに生で触れることで、彼らのライブバンドとしての強さが深く伝わってきた。
ライブの後半を占めたのは、7月17日にリリースされたばかりのEP『BOMB』の収録曲で、まさに、彼らの最新のモードを高らかに示すゾーンとなった。雄大の「ゆったり楽しもう。」という呼びかけを経て披露された「boo-boo」は、親密でカジュアルなフィーリングを伝える新基軸の一曲。雄大は、ステージ上手・下手へとハンドマイクで歌い歩きながら観客とコミュニケーションを重ね、そして観客は、しなやかに躍動するバンドアンサンブルを受け、手を大きく左右に振りながらメンバーのライブパフォーマンスに彩りを加えていく。
続けて、「愛について歌おうかなと思います」という言葉を添えて披露されたのは、「愛でたし。」。ダイナミックに飛翔するサビのメロディラインに乗って、深い想いを伝える雄大の逞しい歌声が響き渡る。改めて、歌の力に強く惹き込まれる名演だった。ヘビーなリフを軸とした「DNA」も、まるでロックバンドとしての野性を今まで以上に解き放つようなステージングだったし、アンセミックな歌のメロディが眩く輝く「風邪っぴき」も素晴らしかった。ラストは、「今日みんなに会えたこと、ここに立てたこと、10年後も、20年後も、僕は奇跡と呼びたいと思います」という雄大の言葉から、「ねむ」へ。鮮やかな疾走感の中で迎えた熱烈な大団円だった。
アンコールを受け、再びステージインした雄大は、「あなたの日常を、生活を、ちゃんと彩れているか考える毎日です」と胸の内の想いをありのまま伝えた。そして、「辛い時、どうしようもなく逃げ出したくて、漠然とした恐怖を感じる夜もあると思う」と前置きした上で、「本当に苦しい時、悲しい時、ちょっとでも世界を明るく見せてあげられるような、あなたの過去を照らせるような、そんなバンドになりたいと思います」と宣誓した。そしてこの日の締め括りとして「ナイト」を披露。〈夜に煌いて 取るに足らないくらいの闇なんか 全部切り裂いて 私を見失わないで 私の手を離さないで〉という言葉が、まるでバンドとリスナーとの約束のように響いていて感動的だった。
大きな熱狂の中で幕を閉じた『Log Book Fest. -Vol.1』。彼らの航海はまだまだ始まったばかり。これからの4人のさらなる躍進への期待が高まる素晴らしい一夜だった。
■ライブ情報
『カラノア MIREDOMOMIREZU TOUR』
11月23日(土)大阪・LIVE SQUARE 2nd LINE 17:00/17:30 ゲストあり
11月24日(日)愛知・ell.SIZE 17:00/17:30 ゲストあり
11月29日(金)東京・WWW 18:00/18:45 ワンマン
■チケット
【オフィシャル第1次先行スタート!!】
https://eplus.jp/karanoah-mrdmmrz/
受付期間:2024年8月11日(日)12:00〜8月25日(日)23:59
【一般発売】
2024年9月14日(土)~予定
前売り料金:¥3,000(消費税込・別途ドリンク代必要)
オールスタンディング(整理番号順入場)