櫻坂46「自業自得」MV分析 踊らないセンター 山下瞳月の圧倒的存在感とグループの強い信念

 そして今作はこれまで数々の衣装を手掛けてきたRemi Takenouchiが衣装をデザイン。「何歳の頃に戻りたいのか?」では“山﨑天、七変化”をテーマに色彩豊かかつインパクトのある衣装をスタイリングしていた(※1)が、今作での池田監督からのオーダーは“シンプルで儚いワンピース”とのこと。白いロングワンピースは何色にでも染まれるという間接的なメッセージにも受け取れる。

 今作のフォーメーションは、センターの山下を中心に田村保乃と守屋麗奈が脇を固めるフォーメーション。三期生からは谷口愛季、中嶋優月、的野美青、村井優、村山美羽と、これまでで最も多い人数が選ばれており、まさに新体制としての意味合いが大きいだろう。

 1番では椅子に座る山下を囲うように他のメンバーが円になってダンスを踊る。山下のその表情は力強く、ひときわ目を引く存在感を放っていた。山下がセンターを務めた三期生楽曲「静寂の暴力」では、加入して半年の彼女たちのピュアさと激情的なダンスがドキュメンタリー的に描かれていたが、本作もまた「静寂の暴力」を手掛けた池田監督ということもあり、山下の表現力がドラマティックな映像によって引き出されている。特に筆者が驚かされたのは「静寂の暴力」では見られなかった、山下の狂気的な表情だ。返り血を浴びながら笑顔で佇む山下の姿には一瞬にして釘付けになってしまった。揺れ動く感情をまっすぐに伝える山下の表情、力強いダンスはまさに櫻坂46のセンターとして躍動していた。

 毎シングルごとにパフォーマンスを更新してくる櫻坂46だが、今作も想像を超えてきた。特に三期生の成長ぶりが著しく、確実にグループの層が厚くなっていることを実感させられた。映像の完成度が高いのは言うまでもないが、ライブではどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、早くも楽しみだ。

※1:https://soen.tokyo/fashion/news/sakurazakamv240125/

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