NOAが手にした新たな気づき 2ndアルバム『Primary Colors』で描き出した“3人の自分”

 NOAが2ndアルバム『Primary Colors』をリリースした。1stアルバム『NO.A』から1年3カ月でドロップされる今作のテーマは“三原色”。日本語、英語、韓国語の3カ国語を話すNOAは、「自分自身に3つの人格がある」と語る。彼を構成している3つの要素をPrimary Colors=三原色の赤、青、緑に分け、3つの要素が合わさった新たな色と自分と音楽によるアルバムに。なぜNOAは3人の自分をこのアルバムで描き出したのか? アルバムの着想から制作過程、今のモード、そしてLINE CUBE SHIBUYAでのワンマンライブと初の全国ホールツアーについて話を聞いた。(編集部)

NOA - 『Primary Colors』Digest Teaser

アルバム制作で大事にした意識は「言葉を選ばず、伝えたいことを伝えること」

――1stアルバム『NO.A』リリース以降、初のワンマンライブ、アジアツアー、有明アリーナでの2DAYS公演を行い、その後、自身の活動が新たなフェーズに突入したことを宣言されました。その宣言を経て、今年はファンクラブツアーも開催されましたが、活動において第1章と第2章の違いはどのようなところにあると考えていますか?

NOA:第1章は初めてのことが多く、ただ前を向いていた感じでした。今は落ち着きながらも、振り返ったり、周りを見渡せるようになりました。だからこそ、クオリティを高めたいと思っていますし、有明でのライブの2日目を終えた時、楽しかった思い出と同時に多くの反省点もあったので、それを活かして新しいフェーズに突入している感覚です。

――今作『Primary Colors』には、3カ国語を話すNOAさんが、各言語によって違う“自分”がいるということを“Primary Colors(三原色)”で表現しているということで、3つの異なる言語におけるご自身のキャラクターの違いは、ご自身ではどのように捉えていらっしゃいますか?

NOA:韓国語を話す僕はアグレッシブで情熱的なイメージがあるんですが、落ち着いているからこそ生まれる大人っぽさや色気があると思います。一方で、日本語で話す僕はちょっと人見知りな性格で、そのぶん、歌詞になると詩的になってセンチメンタルな雰囲気を生むという感じがします。英語で話す僕は、フランクでフレンドリーな感じがするというか、自由なマインドの持ち主だと思います(笑)。色で表すなら、赤が韓国語、青が日本語、緑が英語という感じですね。

――普段から言語ごとにご自分のキャラクターの違いを感じていらっしゃるのですか?

NOA:そうかもしれないですね。たとえば、インスタライブでも各言語のコメントをいただくのですが、日本語で返す時は少し控えめになってしまうんです。でも、逆に英語だともっと気さくになりますし、韓国語だと落ち着いているというか。これは僕だけが感じていることではなく、ファンの方々も言語によって僕のキャラクターが違うことに気づいていると思います。これまでは、言語ごとに異なる自分のキャラクターを曲に落とし込むということはやってこなかったのですが、今回はそこに挑戦しています。

――ちなみに前作と今作の楽曲制作では、どういった違いがありますか?

NOA:今回は伝えたい想いを以前よりもストレートに表現するようになったといいますか、歌詞でも隠さずに言うことを意識するようにしました。また、音の面でも自分なりの色と最近のトレンドを調和させながら作れたと思っています。前作の『NO.A』の収録曲は既存作品も多かったので、以前の音楽トレンドの雰囲気もありましたが、『Primary Colors』に収録されている既存曲は、いちばん前の曲でも去年5月の「BURN」なので、本当に最新の自分が入っている。前作よりも新鮮な気持ちで作りました。

――今作は、新曲として書き下ろした楽曲が多いんですか?

NOA:イチから作ったものもあれば、ストックをもとに作り始めた曲もあります。たとえば「Last Letter」は、もともと2019年に書いた曲だったんですけど、間奏部分を今回のために新たに作り直しました。同じように僕の技術面や最近の音楽トレンドの変化を考慮して、ストックしていた曲と新しく作った曲を混ぜ合わせながら、ブラッシュアップする形で作ったものも多いですね。

――今作では、前作でも参加されていたSUNNY BOYさんをサウンドプロデューサーに迎えています。今回、SUNNY BOYさんとアルバムを作ることになったきっかけがあったんですか?

NOA:SUNNYさんとは「BURN」以前から何曲かご一緒させていただいていて。ある時、SUNNYさんが「一緒にアルバム丸ごと作ってみるのも面白そうだね」と言ってくれたことがあって。それ以来、いつか絶対実現したいと思っていたので、僕から「SUNNYさんが以前おっしゃっていた一緒にアルバムを作るお話を実現しませんか?」と声をかけさせていただきました。

――SUNNY BOYさんとの共同作業で、NOAさんの楽曲制作技術がレベルアップした部分はありますか?

NOA:かなりありますね。今回の共同作業のおかげで、僕の制作スキルは遥かにアップグレードしたと思います。たとえば、SUNNYさんと一緒に作業している時に「ここでメインのパートを作って、ここにこういう楽器を入れたいんですけど……」と相談すると、SUNNYさんはすぐにそれを作ってくれるんです。そういう僕にはできないことを実際にやってくださる様子を見せていただけたのは、とても勉強になりましたね。

 曲のミックス作業に関しても、SUNNYさん自身が勉強するというマインドでやられていたので、一緒にいろいろなことを学ばせてもらいました。実は前作に関しては、リリース後に「こういう曲はもっとこういうふうにすればよかったな」とか、ライブ会場で鳴らした時に音の響き方が自分の想定と違った部分がいくつかあって。でも、今回は曲を作る時に「こういうふうに作りたい」という自分のイメージをSUNNYさんに事前に共有したうえで作っていったことで、そのズレがなくなりましたし、曲のクオリティ自体が大きく上がったと思っています。

――どのような制作コンセプトでアルバムを作り上げていったのでしょうか?

NOA:今回は自分自身に3つの人格があるということをアルバムに落とし込みたいと考えていたので、まず最初のミーティングでそのことをSUNNYさんにお伝えしました。また、今回のアルバムには韓国語と英語の曲もあるのですが、僕はこれまで“日本語だけ”の曲がなかったので、そういう曲もあれば魅力のひとつになるのかなと思って、SUNNYさんにそのアイデアを相談したんです。そうしたら、SUNNYさんが「『Primary Colors』はどう?」と提案してくださって、そこから自分のキャラクターを3つの色に分けて、曲もその色に沿って作っていくというコンセプトが生まれました。

 実はその最初の段階で、僕とSUNNYさんのストックを合わせてすでに18曲ぐらいできていたんです。その曲を色ごとに振り分けながら、アルバム全体のバランスを取っていきました。その作業があったからこそ作りやすかった部分はありますね。曲を作る時も“色”という潜在意識があったことで、作業中もいつもより曲の完成形をイメージしやすかったです。

――前作と比較して、今作のプロセスや制作するうえで意識されたことの違いは、どのようなところにありますか?

NOA:いい意味で言葉を選ばず、伝えたいことを伝えること。あとは、とにかくギリギリまで修正を重ねることを意識しましたね。前作では知らなかったからこそ、できなかったこともあったというか、「もう少しこういうふうにすればよかったな」というポイントがかなりあったんです。だから今回は、できるだけそういうことがないように、納得いくまで粘って修正しながら作り上げていきました。

 今回はトラックを僕のパソコンで作ったものも多かったので、ミックスするギリギリまでひとりで修正できたことも大きいですね。そのおかげで細部までこだわることができた曲がたくさんあります。

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