CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、活動の広がりから見出した“今作りたい音楽” ライブへのさらなる意欲も

「集音歌詞」で実感した制約の面白さ「今ある状況でどうやるか?」

――今回、「集音歌詞」というプロジェクトの一環としてCHO CO PAはバラクーダが1979年に発表した「日本全国酒飲み音頭」を新たな形でレコーディングし、「日本全国酒飲み音頭 -集音歌詞ver-」として発表しました。この試みはどのようにして始まったものなのでしょうか?

Daido:お話をもらったのは結構前で、去年の4月くらいだったんですよね。「集音歌詞」は「名曲の歌詞の情景を集音(フィールドレコーディング)し新たな楽曲を生み出すプロジェクト」で、僕たちがサンプリングを使った曲をやっていたのもあって、声をかけてもらったんです。安藤コウ(SPONGE BAM BAM)さんという方がプロデュースしているプロジェクトなんですけど、安藤さんから言っていただいて覚えていることは、歌詞を直接的に表現する……例えば「風」と歌っていたら風の音を入れる、みたいな感じではなくて、CHO CO PAの3人が感じるものに変換してほしいと言われました。僕らのフィルターを通した音を選んでくれ、と。なので、例えば歌詞の〈六月〉の部分に鼻をすする音が入っているんですけど、それはYutaが花粉症だから(笑)。そんな感じで、僕らが連想するその月の音を入れていきました。

――〈酒が飲めるぞ〉で有名な「日本全国酒飲み音頭」は昭和の日本で生まれたヒットソングですが、この曲に向き合ったときに感じたことはありますか?

Daido:この曲の魅力は、徹底的に繰り返しているところだと思うんです。なので、替え歌のしやすさもあって当時流行ったんじゃないかと思うんですけど、「集音歌詞」というプロジェクトの主役である歌詞は固定されている。なので、曲の部分をどう変えていこうか? と思って。最初はキックの音色と打ち込みのベース、そしてコンガという3本の軸で最後までコードなしでいこうと計画していたんですけど、徹底的に繰り返されている以上、最後までもたないんですよね。それで後半にコードを入れる形に落とし込みました。難しかったです。あと、結果的には全然似ていないんですけど、これを作っていた当時はThe Booksをめちゃくちゃ聴いていました。The Booksの、サンプリングをメインにして変なことをしているのに「やっちゃっていない」ところがかっこいいなと思って、かなり聴きましたね。

日本全国酒飲み音頭 -集音歌詞 ver-

――実際、サンプリングをメインにしたレコーディングはいかがでしたか?

Yuta:自分たちで音を選ぶ以上、正解がわからなくて。なので、「これでいいのかな?」という感じはずっとありましたね。

Daido:お酒が経費で落ちるというから、ドンキでたくさんお酒を買ったんです。でも、Yutaが領収書をなくしました。

――ははははは(笑)。

So:あと、これはサンプリング以外の部分ですけど、ボーカルを録るときに初めてちゃんとしたレコーディングスタジオに入らせてもらったんです。それはワクワクでした。高そうなマイクを片っ端から試したりして(笑)。

Yuta:裏で作業しているエンジニアさんの仕事も見ることができて、面白かった。

――スタジオワーク、Daidoさんはいかがでした?

Daido:楽しく、いい経験をもらいました。また一方で、CHO CO PAの音楽はそんなにいい環境で録る必要はないな、とも思いました。もうちょっと勉強してわかるようになったから、またスタジオに入りたいです。とりあえずは、家とかでいいですね。

――なるほど。そういう感じで、様々な経験を経るたびに「今のCHO CO PAはこういう作品が作りたいんだな」というものが見えてきたということですよね。

Daido:そうかもしれないです。今できる状態で、いい感じのものを作りたいと思うんですよね。スタジオが身近にあるようになったらスタジオをフル活用できるような曲を作りたいけど、今はスタジオが身近にない環境なので、その中でどうやっていくかを考えるのが面白い。そういうことを感じた1年ではあったと思います。

――あくまでも、地に足のついたものでありたいというか。

Daido:そうです。今ある状況の中でどうやるか? っていう。

――そういう「これがCHO CO PA」なんだという部分で気づいたこと、SoさんとYutaさんはどうですか?

Yuta:意外とライブが受け入れられるんだなということは、この1年で感じました。僕らもライブが苦手ではないし、しっかり盛り上がってくれる瞬間もあるんだなって。もともとはただ音楽を作るだけのつもりで始めたバンドですけど、この1年でありがたいことに結構、ライブにも呼ばれたりして。

Daido:ライブ用にアレンジするのって、別の曲を作るような面白さがあるなと思っていて。リミックス版を作っているような感覚というか。音源では空いちゃっている間とかでリズムが作れたら面白いなと思って、そのために(音を)減らすことを考えますけど、ライブは音圧がデカければデカい方がいいという考え方でやっていて。電子ドラムじゃなく生ドラムになるし。どっちも切り捨てず、どちらも楽しむことができているなと思います。

Yuta

――今、ライブはどういった編成でやられているんですか?

Daido:今は7人です。僕がボーカルで、Yutaがベースで、Soがマニピュレーター。それにドラム、パーカッション、コーラス、ギター。この間まではギターの代わりにキーボードがいました。フルートがいたこともあります。みんな友達です。

――コーラスもいらっしゃるのがいいですね。

Daido:コーラスに関しては、音楽をやっているわけでもない、本当にただのバイト先の友達です(笑)。2年前くらいからMVに出てもらったりしていたんですけど、だんだんとレコーディングで歌うようになって、気がついたらライブではセンターで歌っていました。で、僕らが端っこにいるっていう(笑)。

Yuta:僕らはなるべく真ん中に立ちたくないから(笑)。

――(笑)。

Daido:リラックスしてやりたいんですよね。最初は僕がセンターに立つ予定だったんですけど、それはなしにしてもらって(笑)。ボーカルもだんだんと内側に向いていった感じですね。

So:みんながステージの中心に向かっている感じだよね。

Daido:そうすることで、リラックスして歌えるようになります。コーラスの子が真ん中にいるのは、自分たちとお客さんの間の中間地点に立ってもらっているような感じなんです。その子がいてくれるおかげで僕らはリラックスしてそれを支えるという感覚になる。そこをハブとしてつながることができていく。

――「日本全国酒飲み音頭」の話に少し戻すと、サンプリングは今のCHO CO PAにとって大きな要素だと思うんですけど、この手法の面白さにはどのようにして気づいていったのだと思いますか?

Daido:それは消去法的な感じだと思います。僕らはギターがテクニカルなわけでもないし、歌がちゃんと上手いわけでもないし。歌うまでもギターがテクいわけでもない人は、自然とサンプリングみたいな方向に行くんじゃないかと思う(笑)。

――裏を返すと、この先ギターや歌が上手くなっていったら、サンプリングから離れてもっと別の表現になっていくと思いますか?

Daido:そう思います。

――SoさんとYutaさんはサンプリングに関してはどうですか?

Yuta:結構、アイデア勝負ですよね。「こうしたら面白いんじゃないか」ということがすぐに試せるし、「この音、実はあの音なんです」みたいな驚きがこの3人の間でもあったりする。偶然録れた音も使っちゃえるし。

So:意図しない音でも、変な音でも、録った時点でそれがオリジナルの音になるのはサンプリングのよさだと思います。もう二度とない音を使うことで、絶対的に自分の領域に持ってくることができる。よくも悪くも似たような音を作れないところが、サンプリングのいいところですね。

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