【EXPG STUDIO対談 Vol.04】EXILE HIRO×TETSUYA、“夢の循環”で切り拓く未来 LDHの強みを活かした育成

挨拶・礼儀作法を重んじることで高まった評価

――生徒を指導する際に、特に注力している点はどこですか?

TETSUYA:挨拶をしっかりすることです。海外からゲストが来た時も「挨拶がちゃんとしていてすごい」、「生徒たちの靴がしっかり揃っている」と驚かれます。僕らにとっては普通のことなのですが、世界から見たら当たり前のことではないのだと気づきました。例えば、レッスン時に音源を再生してくれる人にも「お願いします!」と全員で言う。細かいところですが、挨拶と礼儀作法はエンタテインメントの現場ではもちろん、社会に出てからも大事なことなので、EXPGでは特にしっかり教えることにしております。

HIRO:単なる規則や体育会系のノリでやっているのではなく、挨拶がしっかりできること=カッコいいと解釈して教えていることに海外の方は驚くのだと思います。相手に敬意をはらって授業に取り組む姿勢の大切さを、子どもの頃から理解していることが評価されている。私自身もそういう指導で育ちましたが、大人になって「よかったな」と思ってます。

――生徒がライブに出演するのもEXPG STUDIOの特徴です。この取り組みについてはどうでしょうか。

TETSUYA:EXILE、三代目 J SOUL BROTHERS、GENERATIONSなどのステージに出演することでキッズダンサーが育ってきた、という流れが以前からあります。でもコロナ禍になってライブがストップして、実現したとしてもソーシャルディスタンスで出演者の数も抑えなくてはいけなかった。EXPG STUDIOの生徒たちをステージに挙げることができないのは辛かったです。最近、ようやく生徒たちがステージに立てるようになって、サポートだけでなくフロントアクトに起用するなどのチャレンジも始めています。「あの時のライブでフロントアクトやりました」という次の世代が現れたら、それは新しいストーリーになりますから。

HIRO:生徒を出演させたきっかけは、ステージを派手にしたいのと、キッズダンサーに喜んでもらいたいからという単純な理由でした。演出と社会貢献の両面での取り組みですね。EXILEのMVで「KIDS & GIRLS Version」を作ったのも同様で、僕らが撮影したセットのまま自分たちも撮影できる、とEXPGの特待生が喜んでくれるのが嬉しかった。それでWIN-WINな関係を築きながら継続した結果、スターが生まれるという結果にたどりついたので、非常にいい仕組みになりました。

EXILE / 24karats STAY GOLD (KIDS & GIRLS Version)

TETSUYA:数年前にはなりますが、学校のなかで推薦された子を対象にしたTETSUYA’Sカリキュラムと題した全校レッスンを行ったとき、最後に色紙に夢を書いてもらって記念撮影したんです。そこに選ばれていた生徒のなかにも、今のJr.EXILE世代がたくさんいました。

HIRO:2010年のスタジアムツアー『EXILE LIVE TOUR 2010 FANTASY』なんて、今アーティストとして活躍している人材がたくさん参加しています。社会の要請に合わせて、LDH自体も芸能事務所からエンタテインメント企業へと変化していますが、そうした成長と共にEXPG STUDIOにもオリジナリティが出てきました。

――ダンスの国内の推計競技人口は2015年時点で約600万人、2001年比で約85倍。2025年には1100万人程度まで拡大すると言われています。TikTokでダンスをアップする若い層も増えました。LDHが果たした役割も大きいのではないかと思いますが、いかがでしょう?

TETSUYA:どれくらいの影響があったのか、明確には言えませんが、ダンスカルチャーが日本に浸透した一因としては、EXILEの活動やEXPG STUDIOの存在があったのかもしれません。スマホの普及などによって、今の子どもたちはダンスに対するイメージが僕たちの時代とは全然違うから、その影響もあるでしょうね。

 時代に合わせてEXPG STUDIOも進化していく必要があるので、TikTokチームを作ったり、SNSで発信するなど、今までにないアプローチも模索しています。もしかしたらアーティストよりもTikTokで有名になる子も出てくるかもしれません。実際に(世の中では)そういうケースが出てきたので、そこもサポートできれば思っています。

HIRO:EXPG STUDIOという箱は同じですが、時代によって中身は変わっています。先日オーディション『iCON Z〜Dreams For Children〜』で合格した子たちを見て、ラップ・ダンス・歌がオールマイティに上手い高校生以下の子が多いことに驚きました。これが今のEXPG STUDIOの姿なんだなと。今は情報がたくさんあるからか、学校に行って習おうという子どもたちも多いです。スタジオの生徒も6歳以下が11.5%、12歳以下が37.7%と低年齢化しています。それを踏まえて、EXPG STUDIOの生徒たちにどんな未来を用意すればいいのかを考えていくのが、僕たちの仕事なのかなと思います。それにしてもTETSUYAは、集中力と緊張感が求められるタイミングで社長になりましたね(笑)。

TETSUYA:ハードルは高いですが重々承知で引き受けたので、やりがいを感じています。

「EXPG STUDIOはLDHの未来にも繋がる大切な場所」(HIRO)

――2024年1月には、千葉県にEXPG STUDIO FUNABASHIが開校しました。「EXPG ENTERTAIMENT ~24 EVOLUTION~」で発表されている、今後の事業の拡大についても改めて教えてください。

HIRO:EXPG STUDIO FUNABASHIは、三井不動産さんとのパートナーシップ「子どもや若者の夢を応援する取り組みに関する業務提携契約」の一環で、ビビット南船橋に出店させてもらいました。

TETSUYA:大きな商業施設には家族の往来が多いです。もしも商業施設にEXPG STUDIOがあれば、親御さんは子どもがレッスンしている間に買い物ができるじゃないですか。そんな街との融合、そして初の千葉校というのもポイントですね。千葉の方々がよりEXPG STUDIOに通いやすくなるし、ららぽーとで子どもたちが発表する場も用意できます。

 「EXPG ENTERTAIMENT ~24 EVOLUTION~」では他にも、英会話を取り入れた「ダンス英語学習カリキュラム導入」、THE RAMPAGE・岩谷翔吾がプロデュースする中学生を対象にした「EX Jr.コース」、さらに「インストラクター養成カリキュラム」なども準備中です。EXPG STUDIOの各校でも公約を掲げてもらって、たとえば沖縄では「クリーンアップ大作戦&BBQ開催!!」と題して、全校生徒でビーチを綺麗して、そこでBBQをするというイベントを行いました。公約を掲げたことで、各校からアイデアが出てきたのはよかったです。

HIRO:生徒たちに「EXPG STUDIOに行くとワクワクする」「EXPG STUDIOに行けば悩みが吹き飛ぶ」と言ってもらえるような場所を作りたいと考えて、20年前からこの事業に取り組んできました。いまやEXPG STUDIOは、子どもたちにとってはもちろん、LDHの未来にも繋がる大切な場所です。子どもたちが一歩前に進み、将来の夢を見出せるような環境を、これからも提供し続けていきたいですね。

TSUTAYA:EXPG STUDIOからはLDH所属アーティストだけではなく、他のエンタテインメントやビジネスに携わる形で世に出ている方もたくさんいます。そして、卒業生同士は今も交流が続いていたりもします。アーティストになる夢を叶えるには、努力や実力はもちろん、多くの運に恵まれている必要があるかもしれませんが、たとえアーティストにはなれなかったとしても、違う道で夢をつかんで輝くこともできると教えてくれるのも、今のEXPG STUDIOなのかなと思います。世界に羽ばたくアーティストを生み出すとともに、さまざまな夢の可能性を提示できる場所となるように全力を尽くすので、このチャレンジに期待しつつ、応援していただけると嬉しいです。

※1:https://expg.jp/expg_24_evolution/

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