半熟卵っちを通じて広がるギャル文化「ギャルはギャルでずっと変わらない」

――「SHIBUYA!」のコンセプトはどのように固めていったのでしょうか？

Xansei：みんなで「何にする？」って言いながら決めていきましたね。候補になるビートがいくつかあって、そのビートを聴きながら「こういう曲をやろう！」と内容を固めていった感じです。たしか、えりぴ（Erika）が「今、海外の人もいっぱい渋谷に来てるし、渋谷はギャルが溜まるところだから、そういう曲やりませんか？」ってアイデアを出してくれて。それで「SHIBUYA!」になった気がする。

――実際にメンバーの方からの発案で「SHIBUYA!」になったんですね。

Xansei：そうでしたね、はい。

大門：Xanseiが何曲かデモを持ってきてくれたんですよね。

――デモの段階からユーロビート系のビートが多かったんですか？

Xansei：いや、何個か違うパターンを用意していったんです。倖田來未さんの曲をサンプルしたドリルビートみたいなものもあったんすけど、「このビートがいちばんギャルっぽい」ってみんな納得して。僕のなかでは、いちばん推しだったビートだったんですよ。全体的に、僕らで決めようって制作が進んだわけじゃなくて、実際にErikaとMomoaにも携わってもらって歌詞やコンセプトもみんなで全部作ってみようよ、みたいな感じでしたね。

大門：他にトラップっぽいものやメンフィスっぽいビートもあったけど、みんなで聴いててこれがいちばんなんかしっくりきたというか。そうやって選んだビートですね。

――Xanseiも、日本のラッパーの作品も多く手がけていますけど、こうしたギャルモデルのおふたりと制作を進めていくという経験はいかがでしたか？

Xansei：逆に、ガチでラップやアーティスト活動をしていないふたりと一緒に曲を作ること自体、僕のなかでは面白かったなと思っています。

――レコーディング現場で印象的だったエピソードは何かあります？

大門：「英語が得意じゃない」って言ってて、レコーディング中に英語の歌詞にちゃんとひらがなをつけていつも練習していた姿ですかね。ギャル文字のカタカナとひらがなで（笑）。“trap”にも「とらっぷ」って全部読み仮名を書いて。超ギャル感ありましたね。

――びっくりしたことというか、カルチャー的にも年代的にもギャップを感じることはありましたか？

Xansei：僕は10代でアメリカに行ってしまったから、ああいう学生やティーンの子たちと関わることが全然なかったんですよね。だからもう、わかんなくて（笑）。「めっちゃ梅干しのやつ食うんだ」って思ってました。

大門：梅干しのお菓子ね（笑）。

――渋めですね。弥生さんはどうでしたか？

大門：うーん。世代は違うけど、逆に一緒だなと感じることも多くて。ギャルはギャルでずっと変わんないな、っていうのは思いましたね。

――半熟卵っちは、海外リスナーにも刺さっているという現象がとても興味深いなと思っていて。弥生さんとしては、そうした現象をどのように分析して見ていらっしゃいますか?

大門：自分の作品で「NO BRA!」っていう曲があるんですけど、あれは私が通っていた女子校をモチーフにしたMVになっているんです。それが、かなり海外に広がっていったんですよね。その時のみんなのコメントを見て、「こういう日本のギャルのハイスクールの感じって、他の国とはちょっと違うのかな？」と感じるようになって。アジア人のステレオタイプって、ちょっと引いてる感じがあって、「ラチェット（下品、はしたない）なことはしない」みたいな感じじゃないですか。でも、「イエーイ！」ってあんなふうに騒いでいると、だいぶそのイメージを覆すアティテュードに見えるのかなって。

――たしかに。

大門：これまで海外に（作品が）広がることはあまりなかったと思うんですけど、今はオンラインの時代になって日本のギャルのメイクアップが注目されたり、日本のトラディショナルな感じが新しいと言われたりしているわけですけど、こうやってギャル文化とHIPHOPとトゥワークとかを融合させるのは海外の人から見てもめっちゃ面白いんじゃないかなと思います。

――弥生さん自身も、活動の拠点を海外に移したり、実際にテキサス州で毎年開催されるフェス、SXSWに参加したりと、グローバルな活動を行なっていますよね。海外を行き来する中で、こうしたギャル文化の広がりに可能性を感じることもありますか？

大門：めっちゃ感じます。Zoomgalsと一緒に「GALS」という作品をリリースした時も、日本のハイスクールをモチーフにしたMVを作ったんですけど、それも海外からめっちゃ反応よかったんですよ。アニメとかヤクザとか、海外の人が面白がる日本のカルチャーっていろいろありますけど、ギャルもそのひとつかなと思います。

Xansei：「これがジャパニーズじゃん」みたいな感じはありますよね。アニメで観るキャラクターみたいな感じなんじゃないですか。

大門：うんうん。

Xansei：えりぴ（Erika）とMomoaは、本当にアニメから飛び出てきたようなルックスに見えるから、余計に「おお！」ってみんなに思われるのかもしれないですね（笑）。

――日本のギャル文化をポジティブなものとして世界に広げていければいいなって思います。今後の半熟卵っちについて、みなさんとお話しされることもありますか？

大門：ありますね。ちょうど数日前にもXanseiとセッションさせてもらって。

Xansei：半熟卵っち用に、もっと曲のアイデアを作ってみようかという感じでやってみてます。でも、僕は「SHIBUYA!」以上のものを作れるのかなあって不安もあって（笑）。

大門：大丈夫。今、作っている曲もめっちゃイケると思う！

■リリース情報

『SHIBUYA!』
配信中

配信URL：https://lnk.dmsmusic.co/softboiledegg_shibuya

作詞：大門弥生 / YAYOI DAIMON
RAP：半熟卵っち / softboiledegg
Beat by : Xansei

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