THE BACK HORN、足跡を確かめながら力強く進み続ける 最高の状態で締めくくった25周年

 THE BACK HORNが3月23日にパシフィコ横浜 国立大ホールで『THE BACK HORN 25th Anniversary「KYO-MEI SPECIAL LIVE」〜共命祝祭〜』を行った。これは結成25周年を祝ってきたこの1年の締めくくりではあるが、先の『「25th LIVE SELECTION」Package Edition』についてのインタビュー(※1)で松田晋二(Dr)が言っていたように今の彼らが最高の状態にあり、これから更に力強く進み続けることを宣言するようなライブだった。

山田将司(Vo)

 重厚で緊張感のあるSEが流れメンバーが登場、彼らが最初に鳴らしたのは「冬のミルク」だ。ここから自分たちは歩み始めたと言わんばかりに、バンド初のオリジナル曲からスタートしたが、歌と楽器一つひとつの音がくっきりと25年分の存在感を示し、なおかつ大きなアンサンブルを描いて広いホールに響いた。それはメジャーデビュー曲「サニー」へと続き、オーディエンスが拳を上げコーラスを重ねる。その熱を受けてハードで疾走感たっぷりの「その先へ」と突入すると、バンドとオーディエンスが“共鳴”するTHE BACK HORNのライブ空間が渦巻いた。山田将司(Vo)が歌い終わりに「イェー!」と余った思いを吐き出した。

菅波栄純(Gt)

 松田がマイクを持って立ち上がり「『KYO-MEI SPECIAL LIVE〜共命祝祭〜』へようこそお越しくださいました。いろんなタイミングでTHE BACK HORNと出会った人たちが一堂に会して、共にここまで歩んできた人生を一緒に祝いあえたらいいなと思っています。俺たちの25周年でもありますけど、みなさんと出会えたという祝祭を一緒に祝って、最高のライブにしていきましょう」とこのライブに込めた思いを語った。ここから一気に濃厚な祝祭となる。「閉ざされた世界」は仄暗いライティングの中で岡峰光舟(Ba)のネックに埋め込まれた赤いLEDが光り、硬質な演奏に引き込んでいく。そして菅波栄純(Gt)がスリリングなギターリフで始めた「罠」は、ダイナミックな演奏から山田のささやくような歌へと起伏に富んだ展開が沁みた。続いた「シリウス」は、3連のリズムに合わせオーディエンスのハンドクラップが鳴り響きバンドとの一体感にホールが包まれた。

岡峰光舟(Ba)

 「心臓が止まるまでは」のイントロが流れると、ステージ後方の黒幕が開き一面のスクリーンに。山田が歌い始めると赤血球や血流のような映像が投影され、サビではリリックが重なった。山田の抑えた声での〈わかってる〉に歓声が起こった「悪人」では拳銃や金槌のようなアニメーションとダミー人形の絡みになり、「コワレモノ」では架空の生き物が4匹。この曲の中盤に短いソロ回しがあり、珍しく山田が岡峰、菅波、松田をフルネームで紹介。更に菅波が「コール&レスポンスやっていいですか? 神様だらけの、というから『スナック!』と言ってね」と呼びかける。この曲を発表した2014年当時のツアーでやっていたものだが、今でもその応酬にメンバーもオーディエンスも大ノリだ。そのノリもあってか歌に戻った山田は〈新宿あたりで〉というところを〈パシフィコあたりで〉と替えてオーディエンスを喜ばせた。ここからのバンドのパワーアップぶりは凄まじく鳥肌ものだった。そして歌詞に合わせてスクリーン一面に花吹雪が舞った「舞姫」は山田の歌と菅波のギターが切なく絡み、4人の足元にスモークが流れた「アカイヤミ」は高まる感情のままに4人は歌い演奏した。曲の世界観を見事に捉えた映像を担当したのは“ビデオ思想家”を名乗る映像作家のQ昆(キュウコン)。

松田晋二(Dr)

 松田が再びマイクを持ち「最高の夜になっています、ありがとうございます」と言いMCコーナーということになったが、歴史好きな岡峰が横浜開港について語り出したら菅波に「もうちょっと早回しして。一緒に一歩ずつ進んできた俺たちと皆さんということでいいですか」と纏められ、山田が「26年目、30年もこんな感じで活動していくと思います、これからもTHE BACK HORNをよろしくお願いします」と締めた。ここで、アコースティックギターを持った山田が歌い始めたのは「Days」。25周年アニバーサリー作品として発表し『REARRANGE THE BACK HORN』に収録した曲だ。この曲に通じる穏やかさのある「あなたが待ってる」に聴き入って、ふと気づくとステージ後方にKYO-MEIのシンボルマークのオブジェが掲げられていた。しまった演奏と柔らかな歌のバランスが絶妙だった「未来」、スケール感のある曲をドラマチックに聴かせた「世界中に花束を」にはいつまでも鳴り止まぬ拍手と歓声が送られた。

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