スピッツ、BUMP OF CHICKEN、アジカン、back number……猫の日に“猫ソング”を集めてみた

 2月22日は猫の日らしく、いつも以上に猫にスポットが当たる1日となる。音楽もまた然りということで、この記事では猫というワードを使ったり、猫がモチーフになっていたりする“猫ソング”を日本のバンドの楽曲を中心にピックアップしてみたい。ぜひ、それぞれが思い浮かべる猫ソングとあわせて、楽しんでほしい。

スピッツ「猫になりたい」(1994年)

 9thシングル『青い車』のカップリング曲でありながら、猫ソングと問われたら頭に浮かべる人も多い、スピッツ初期の名曲のひとつ。〈猫になりたい〉というフレーズを用いることで、主人公と“君”の何とも言えない距離感を丁寧かつ幻想的に描いているところがポイントだ。実際、この歌はいろいろな想像をはためかせながら聴くことができる。ただ、この歌でイメージされる“猫”はきっと、自宅でぬくぬく生活している、飼い猫なんだろうなという印象がある。

人間椅子「黒猫」(1996年)

 突き抜けた世界観を持った猫ソングという意味では、人間椅子の「黒猫」も他の楽曲に引けを取らない。8分以上の長尺で構成された楽曲世界には、猫へのオマージュも丁寧に散りばめられている。特にポイントなのは、猫の鳴き声のように響きわたるギターのチョーキング。まるで、本当に黒猫が鳴いているような錯覚を覚える。“黒猫の描写”から見え隠れする比喩の繋がり方や後半からまくしたてるように展開されるヘヴィなギターソロも含め、他の猫ソングにはない圧倒的な重厚感が際立っている。

BUMP OF CHICKEN「K」(2000年)

BUMP OF CHICKEN「K」 from BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee at Zepp Haneda(TOKYO)

 BUMP OF CHICKENの猫ソングといえば、「ガラスのブルース」を挙げる方も多いだろうが、この記事では黒猫が主人公の「K」をピックアップしたい。一般的に、猫ソングに出てくる猫は何かの比喩として登場することが多いなか、この曲は猫をまっすぐに主人公として置き、時には一人称で、時には三人称で、その猫を描いてみせる唯一無二の楽曲となっている。タイトルのアルファベットが主人公である猫に捧げたものであることがわかった瞬間の衝撃たるや、今なお褪せることのない音楽体験のひとつというリスナーも多いのではないだろうか。

チャットモンチー「CAT WALK」(2009年)

 チャットモンチーの「CAT WALK」は、実際にそこにいる猫を描写するような形で〈子猫〉というワードを用いているように感じる。とはいえ、シンプルに猫を描写しているだけの歌なのかといえば、そんなことはなく、子猫の描写を繰り返すことで、その子猫にさまざまなものを重ねることができるようになっている。切ないトーンで響く楽曲のアレンジと、力強い橋本絵莉子の歌声と、高橋久美子節が炸裂した歌詞により、いろいろな想像をはたらかせることができる一曲だ。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 「青空と黒い猫」(2010年)

 再びここでも黒猫がモチーフの楽曲を紹介したい。ASIAN KUNG-FU GENERATION の「青空と黒い猫」は、歌詞のなかで黒猫というワードを〈の様な〉と修飾語も一緒に用いているため、〈猫〉という言葉は比喩として使われていることが明確な楽曲なのだが、黒猫の描き方にはアジカンらしさがどこまでも漂っているし、後藤正文らしい視点が見え隠れする。というのも、〈の様な〉で接続される景色が、〈東アジアの朝方の風景〉になっており、社会性のあるリアルな景色を描いていることがわかるからだ。比喩の矛先と青空を起点に託されたメッセージ性も含めて、“らしさ”が際立つ楽曲になっている。

back number「黒い猫の歌」 (2016年)

back number - 黒い猫の歌 (full)

 黒猫モチーフソングとして、次はback numberの「黒い猫の歌」を紹介したい。この歌は、タイトルこそ“猫”というワードが使われているが、歌詞のなかには猫というフレーズは出てこないし、積極的な猫の描写は行われていない。なんなら絵の具の描写のほうがフレーズ量としては多い。それでも、どことなく猫の姿が見え隠れするのは、家の屋根に登る描写をここぞのタイミングで織り交ぜるからこそ。歌を通して聴くことで、タイトルにある黒い猫は自身であることを予感させるし、そんな自身に捧げた歌として受け止めることができる曲になっている。

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