=LOVE、『ラストノートしか知らない』で通算5作目の首位獲得 切なさを引き立たせる表現力

 しかしそうは言っても歌詞を見ると〈他にも大事な人がいるの?〉〈抱き締められ/ダメって わかってる〉〈終わりに向かって灰のように落ちる/恋でもいい〉など描かれているのはなかなかヘビーな状況。筆者などは小林明子の「恋におちて-Fall in Love-」を思い出してしまったほどだが、いわゆる不倫ソングや演歌のような切実さや湿っぽさは不思議と見当たらず、むしろ純真さや一生懸命さが強調されていると感じた。それはやはり歌っているのがアイドルグループで、れっきとしたアイドルソングだからだろう。しかも=LOVEは単なるアイドルではなく、声優という「演じる」ことを掲げて集められたメンバーというのも理由の一つだろう。前述した表現への精度の高さは、ここにも由来するものだと思う。楽曲を作品として演じきる、ある意味女優魂があったからこそ「ラストノートしか知らない」には=LOVEらしい個性が立ち上がったように思える。また今回、カップリングはタイプ別に「『ドライブ デート 都内』」「狂想カタストロフィ」「どこが好きか言って」の3曲が収められているが、「『ドライブ デート 都内』」以外の2曲は、表題曲同様、ドロドロとした情念めいたテーマを歌っているので、聴き比べるのも一興だ。

 本作のヒットを受けて齋藤は「初めてのセンター表題曲で不安もたくさんありましたが、こうやってみなさんにたくさん手に取っていただけてとっても嬉しいですし、少しほっとした気持ちもあります」とコメント(※1)。来年2月から4月にかけて行われるアリーナツアー2024『Tell me what's more than "LOVE"』を前に弾みがついたようだ。来るべき新年に向け、さらなる飛躍を目指す=LOVEから目が離せない。

※1:https://www.oricon.co.jp/news/2305229/full/

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