ZEROTOKYO、好きを極める場への取り組み カルチャーが交差する複合的なエンタテインメント空間

「ライブホールを兼ねた場所で新しいライブビジネスに挑戦したい」(萩原)

ーーこれまでにZEROTOKYOに遊びに来たお客さんからは、どんな反響がありましたか?

内田:どちらかといえば、日本のナイトクラブは照明が薄暗く、スペースも狭くアンダーグラウンドな空間というイメージが強いと思います。しかしZEROTOKYOでは、ゴージャスな雰囲気や、映像・照明が連動したハイクオリティな演出を提供させていただいていますので、そこに圧倒された方々から、「まるで海外のナイトクラブのよう」といった感想をいただいています。

ーーこれまでに東急歌舞伎町タワーを回遊できるタワー型フェス『ZERO TOWER FES』といった東急歌舞伎町タワーを活用した周遊型のイベントも開催していますが、このようなイベントの狙いを教えていただけますか?

乗田:東急歌舞伎町タワーには1階に屋外イベントスペース、17階に「Dining & Bar JAM17」があり、ZEROTOKYO以外にも音楽イベントが可能なスペースがあるので、これらのスペースを有効活用して、東急歌舞伎町タワー全体を盛り上げたいという狙いがありました。そのためにイベントでは、年齢制限によって普段ナイトクラブに遊びに行くことができない未成年の方や、そもそもナイトクラブ自体にあまり遊びに行かない層に向けたラインナップを組むなど、東急歌舞伎町タワー自体に足を運んでもらえるようにする必要がありました。

 ただ、他の施設ではなかなかできない取り組みだったこともあり、結果的に多くのお客様に足を運んでもらうことはできたのですが、元々違う形態かつ、かかる音楽のジャンルも異なる遊び場をひとつに集約させたイベントだったため、お客様からすると多少わかりづらいものだったかもしれません。しかしながら、継続していくことでそういった課題も解決できるはずです。今後もより多くのお客様に楽しんでいただけるイベントとして開催していきたいと考えています。

ーーハロウィンの特別イベントなども控えているようですが、ZEROTOKYOとして、国内外にどのようなナイトエンタテインメントのあり方を提示していきたいですか?

内田:先ほど乗田からもあったように、我々としてはやはり新宿のクラブカルチャーやナイトエンタテインメントをしっかりと作っていきたいと考えています。そのためには音楽に限らず、アパレルブランドさんなど国内外のいろいろなジャンルの方々とも協力しながら、ひとりでも多くの人にその魅力を伝えていく必要があると思っています。例えば、歌舞伎町のネオンの煌びやかなイメージだったり、ドラァグクイーンだったり、新宿には海外の方にもよく知られている多様な文化が息づいています。今後はそういった文化の担い手たちともコラボレーションしていくつもりです。

ーーこれから新宿ならではのクラブカルチャーを作っていくという点では、新人DJやアーティストの発掘や育成も課題になるかと思います。そういった若者を支援する取り組みも行われているのでしょうか?

乗田:ZEROTOKYOでは元々、若手DJやアーティストの育成もテーマのひとつだったので、メインフロア/サブフロアの両方でそういった方々を意識的にブッキングするようにしています。これはZEROTOKYOに出演することで、少しでも彼らの認知度が広がる手助けをしたいという想いでやっていることです。またTSTとしても、路上ライブでの新人アーティスト発掘にも取り組んでいます。将来的にはその対象にDJというカテゴリーを含めることも考えられますし、さっきもお話ししたように人を惹きつける力を持つDJやアーティストであれば、我々からもお声がけさせていだきます。

萩原要

萩原:それと親会社の東急は全国各地にいろいろな場を持っているので、その場をアーティストに紹介することもできます。また、SMEは新人発掘のノウハウがあるだけでなく、多様な音楽イベントも開催しています。ZEROTOKYOではそういったネットワークを活用しながら出演する若手DJやアーティストのキャリアをここからさらに押し上げていきたいと考えています。将来的にはそこから発展してエージェント業務にも携わることもプランのひとつとしてありますし、そこまで深く関わっていく必要があると考えています。

ーーZEROTOKYOは深夜帯はナイトクラブとして営業されていますが、昼夕帯はライブホール Zepp Shinjuku (TOKYO)としても営業されています。ナイトクラブがライブホールを兼ねることにどのようなメリットがあるのでしょうか?

萩原:やはり昼にもイベントを開催できる体制が常にあるところが大きいと考えています。通常のナイトクラブでも、夜以外に運営できる体制を設けているかもしれませんが、昼夜の両方でイベントを開催するにはいろいろな意味でとんでもない労力がかかるんですよ。しかし、ZEROTOKYOでは、昼はZepp Shinjuku (TOKYO)として外部からのライブやイベントを受け入れていて、夜は自分たちで企画したイベントを開催しています。例えば、先ほど話にあった『BUDXUNCOVERED CURATED BY VERDY』は、昼はバドワイザーさんにお貸しする形で、昼夜1日通して楽しめるイベントとして開催しました。また、そういった昼夜通して使いやすい環境があることで、回遊フェスのようなイベントも行えるなど、施設としての大きなメリットがあると考えています。

 また将来的には、現在Zeppに出演しているクラスのアーティストだけでなく、アリーナクラスのアーティストがあえて、Zepp ShinjukuあるいはZEROTOKYOで1テーブル50万円程度のVIP席チケットのみのライブを開催するという、VIPエリアを基本としたライブやイベントの企画も考えています。これまでのライブビジネスは、どうしてもキャパシティの上限=売上の上限となっていたのですが、ナイトクラブとライブホールを兼ねたこの場所ではそういった概念を超えた、新しいライブビジネスの形にも挑戦したいと思っています。

内田:運営に関してはまだまだ我々としてもやりきれていない部分がありまして、やはりひとつの箱でナイトクラブとライブホールの両方をやっていくと、それだけ運営にかかるコストがどうしても膨らんでしまいます。例えば、現在は音響や照明などテクニカルな面ではスタッフが両方の業務を兼務できるようにしていますが、それをナイトクラブ/ライブホール両事業の運営全体でできるようにするとオペレーション面での運営コストを圧縮することができます。

 あるいは、海外アーティストのブッキングコストの高騰もあって、金額面で断念しているアーティストも多いんですよ。だからこそ、コスト面を整理してしっかりと利益につながる体制を作ることで、お客様が求めるアーティストをブッキングするなど、何らかの形で喜んでいただけるように還元していきたいですね。

ZEROTOKYO 公式サイト

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