大橋ちっぽけ、アルバム『character』全曲解説インタビュー 日本のポップミュージックの真ん中を突き進む理由と覚悟
09「パワー持ってこ」
――そして本編の最終曲が「パワー持ってこ」。出来上がったのも最後でしたか?
大橋:そうですね。最近まで歌詞を書いていたし、レコーディングも終わったばかりです。アルバム本編の最後ということで、気持ちよく終わりたかったというか、あたたかく優しい気持ちで締めくくりたいと思っていたので、すごく気に入っています。この曲は“やりたいことをやる”からもう一歩進んで、そうであるならば“やり遂げるだけのパワーを持っていたい”という思いから生まれていて、それをすごくフランクに言いたかったんです。歌詞は〈パワー持っていこう〉ですが、タイトルは「パワー持ってこ」にしていて。
――ちょっと軽い言い方になりますね。
大橋:そうやって、最後にはみんな笑顔で終えられたらいいなって。僕が心のなかで望んでいるのは、やっぱり平和や平穏だったり、そういう感覚でアルバムを終わらせられることができてよかったと思いますし、「こういう人間性でありたい」という思いも含めて、アルバム『character』の締めくくりに相応しいというか。こういう感情をベースにしていたい、という気持ちがあります。
――本当に穏やかな印象で、混沌とした部分もあるなかで、その旅から帰ってきた感じがします。岩崎(隆一)さんのアレンジについてはどうですか?
大橋:Y2K感というか、トレンドっぽいところもありながらも、懐かしさ――あたたかくて優しい、忘れたくない大切なものが感じられるような曲にしたい、という話を岩崎さんとしていて。僕のデモの雰囲気を活かしながら、ブラッシュアップしていただきました。
――大橋さんにとって“Y2K感”がどんなイメージなのか気になります。
大橋:僕は1998年生まれなので、2000年というとわりとすぐなんですが、この曲はBustedというバンドの「Year 3000」をリファレンスしています。楽しかった時代を思い出させてくれるし、懐かしくてあたたかい感情とリンクさせたいというところで出てきたのが“Y2K感”というキーワードで、岩崎さんとも相談しつつ、やりたい音を作っていったのがすごくよかったなと思います。
Bonus Track01「常緑 (2023 self cover)」
――そして、ボーナストラックとしてセルフカバーが2曲収録されています。バズを起こした「常緑」をカバーするにあたって、あらためて曲と向き合ったと思いますが、どんな感覚がありましたか。
大橋:レーベルを移籍して、「過去の自分の曲を知ってもらいたい」ということでセルフカバーをすることになり、今「常緑」を歌うのはすごく意味があるなと思って。謎の強がりで、ライブでも最後に歌ったりはしなかったりして、でも去年のワンマンで初めてライブアレンジをして、アンコールで歌ったんです。流行っている様子を静観してきたなかで、もう一度向き合ってみたら、すごく楽しい曲なんじゃないか、と。そのライブを踏まえて、みんなでこの曲を楽しんで共有するという空気が出るようなセルフカバーになれば、僕のなかにも特別な気持ちが芽生えるかもしれない――というところからスタートして、実際にすごく素敵なアレンジになったし、よりみんなとこの曲を共有できているという喜びが感じられました。
――多くの人と共有できる楽曲であることを前提にアレンジした、というのは深いですね。ご自身のなかでも、この曲を位置づけし直すことができた、と。
大橋:いい曲なんだな、って(笑)。作った時は僕もすごく気に入っていたけど、ショート動画の文化に詳しくないこともあって、そういうバズり方をすることに当時はまだちょっと抵抗があったんだと思います。ただ、ライブでお客さんたちと共有できたのが大きくて、この曲があるから今があるんだと思えて。歌も入れ直したんですけど、気持ち的にはすごく明るく歌えてよかったなと思います。
Bonus Track02「Honey, You! (2023 self cover)」
――「Honey, You!」はWATWINGに提供した曲のセルフカバーで、アコースティックな仕上がりです。ダンスポップ寄りの原曲と聴き比べるのも楽しいですね。
大橋:バンドっぽいアレンジも考えたけど、もともとギターを弾いてひとりで作った曲だったのもあって、セルフカバーではアコースティックでやろうと思って。「自分が本家なんだ」と言うのはおこがましいんですけど、自分が作った時の感覚をしっかりと出すことで、自分がやる意味が出てくると思ったんです。歌やメロディをアレンジして、もう一度自分で楽しみ、噛み締めながら作っていきました。WATWINGのファンの方たちからもグループの代表曲のように受け止めていただいてありがたいですし、ターニングポイントになった曲でもあるので、このアルバムに収録できてよかったなと思います。
――こうした曲が書けるのも大橋さんの強みだと思います。提供曲からも大ヒットが生まれそうな気も。
大橋:そういう曲を書いてみたいですね(笑)。
――K-POPも含めてグローバルなポップミュージックを常に聴いていると、以前の取材で話していましたが、「世界で聴かれる音楽を作ってみたい」という思いはありますか。
大橋:どうだろう? でも、“世界で通用する音楽”というものには憧れがあるかもしれないです。言語を超えて響くような、そういう広がり方をいつかしてみたいですし、そういう大きい夢は忘れたくないですね。デカい会場でライブがしたいとか、世界中の人に聴いてほしいとか、やっていくうちに忘れていく感情なので、もっと自信をつけた自分が過去を振り返って、『character』がそのきっかけとなったアルバムだと思えたら素敵だなと思います。
――『character』はすごくパーソナルな作品ですが、同時に普遍性を感じます。4年前に初めてインタビューさせてもらった時、大橋さんは「自分の音楽が日本のスタンダードになったらいいな」と言っていましたが、その志は変わらないというか。
大橋:言っていましたね(笑)。音楽に正解も何もないですけど、自分の作品が日本のポピュラー音楽の真ん中にあってほしい、という気持ちは忘れたくないし、そういう自信や覚悟を大事にしていきたいと思います。
■リリース情報
2ndフルアルバム『character』
2023年10月25日(水)発売
・通常盤(CDのみ)
品番:TYCT-60216
価格:3,080円(税込)
・5周年記念盤(CD+DVD+GOODS)
※UNIVERSAL MUSIC STORE限定販売
品番:PDCV-1213
価格:8,580円(税込)
<CD収録内容>通常盤、5周年記念盤共通
1. 嫌でもね
2. 言えない
3. SFA
4. 寂しくなるよ
5. 放し飼い
6. ソリスト
7. ダーリン
8. You Need Me, I Need You
9. パワー持ってこ
-Bonus Track-
常緑 (2023 self cover)
Honey, You! (2023 self cover)
<DVD>※5周年記念盤のみ収録
・SPECIAL STUDIO LIVE映像(全5曲)
・大橋ちっぽけ活動5周年を振り返るドキュメンタリー映像
<GOODS>
5周年を記念した限定グッズ
・Tシャツ
・トートバッグ
・アクリルスタンド
・ステッカー
■公演情報
『ワンマンライブ「alter ego」』
<大阪公演>
会場:梅田Shangri-La
日程:2023年11月22日(水)
時間:開場 18:15/開演 19:00
<東京公演>
会場:渋谷WWW
日程:2023年11月30日(木)
時間:開場 18:15/開演 19:00
料金:全自由 前売4,500円+ドリンク代
チケット:10月7日(土)10:00〜 一般発売開始
大橋ちっぽけ オフィシャルサイト:https://chippoke.themedia.jp
5周年記念特設サイト:https://sp.universal-music.co.jp/ohashi-chippoke/5th/
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