2023.09.22 18:00

Bialystocksによる強烈なライブ体験　しのぎを削るクリエティビティがグルーヴにもたらすスリルと生命力

文＝蜂須賀ちなみ、写真＝Kana Tarumi

　――と語りたい場面は尽きないが、全体的な印象としては、ジャズ、フュージョン、プログレ、ロック、ソウル、フォーク、カントリーなど様々なジャンルをクロスさせながら……というよりも、もっと大きく、“音楽”という名のギフトを全身で受け取りながら、喜び合う人々による祝祭といった感じだった。また、「差し色」のラストに長尺のベースソロが挿入されたり、暗転の中でホワイトノイズのSEを2分間流して照明の演出とともに届けたりと、J-POPのライブとしては珍しいアプローチも多かったが、バンドと同じく「音楽って素晴らしい！」といった感じで熱狂していたフロアの爽やかなテンションも印象に残っている。ライブ終盤、甫木元が観客に「それぞれのリアクションがあり、我々もすごく楽しい日々でした。また一緒に楽しめたら、また一緒に音楽ができたらと思います」と伝えていたように、このオーディエンスがいてこそ充実のツアーとなったのだろう。演者も観衆も互いにリスペクトしあっているが、今音楽を楽しんでいるという点においては同じであり、両者を遮るものはなくなっていく。音楽がもたらした幸福な空間に言葉は必要なく、全22曲はMCをほとんど挟まずに届けられたのだった。

　本ツアーを経た最新配信シングル「幸せのまわり道」は、10月6日から放送がスタートする人気ドラマ『きのう何食べた？』（テレビ東京系）season2のエンディング主題歌に決定。来年1月18日には『Bialystocks 二人編成ライブ 2024 冬』が開催される。2人編成かつ初のホール公演ということで、今回のツアーとはまた違ったステージが生まれそうだ。

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■セットリスト
1.Nevermore
2.コーラ・バナナ・ミュージック
3.花束
4.またたき
5.Emptyman
6.Over Now
7.ただで太った人生
8.差し色
9.朝靄
10.All Too Soon
11.灯台
12.フーテン
13.あくびのカーブ
14.Winter
15.Thank You
16.頬杖
17.I Don't Have a Pen
18.Branches
19.Upon You
20.光のあと