Negiccoはなぜこんなにも愛される存在となったのか? 結婚、出産……“添加物ゼロ”の強さで独自の道を切り開いた理由
「周りの人を引き付ける魅力、人柄。手伝ってあげたくなるような、応援したくなるようなものが周りをどんどん加速させていく」
2016年6月、筆者がパーソナリティを担当していたラジオ番組『Saturday Night Culture Club』(エフエム滋賀)に電話出演したNegiccoのプロデューサー・connieは、メンバーのNao☆、Megu 、Kaedeの魅力についてこのように語っていた(※1)。また「土曜の夜は」の作曲・編曲を担当した角谷博栄もNegiccoの魅力は「添加物ゼロの純白さ」とメッセージを寄せてくれた。
新潟県を拠点とし、2023年7月20日で結成20周年を迎えたNegicco。2000年代以降のご当地アイドルの先駆的存在であり、当時は東京中心だったアイドルシーン――いや、エンタテインメントシーンに変化をもたらした存在と言える彼女たちが今もなお活躍し続けることができている理由は、メンバーそれぞれの人柄が愛されている部分にあるだろう。
どういうところが愛着を持たれているのか。それはconnieが話すように“親しみやすさ”である。先述のラジオ番組に3人もコメントを寄せてくれたのだが、そのときもNao☆はゲーム『牧場物語』に夢中になっていると言い、Meguは「水素水」が気になっていると話し、Kaedeは「カラフルなお菓子作りの動画」にハマっていると口にしていた。その気さくさ、飾らなさに筆者も親近感が湧いたことを記憶している。
月刊誌『BUBKA』の連載記事「Negicco Road to Budokan ―約束の草原を目指して―」のなかでは、Negiccoが参加するレーベル・T-palette Recordsを立ち上げたタワーレコードの代表取締役社長・嶺脇育夫がライブ現場で経験したエピソードが記述されていた。
「本人たちもほんわかしているでしょ? よくね、当時はライブ中に音が止まったりしたんですよ。その間を埋めるために、彼女たちが一発ギャグで時間を稼いだりしているのを見ると、あぁ、これはハロー!プロジェクトでは絶対にないよな、と(笑)。いろんな意味で東京のアイドルとは、まったく違う存在だったんですよね」(2017年7月号/白夜書房)
「東京のアイドルとはいろんな意味でまったく違う存在」という言葉は、“Negiccoが愛される理由”を分析するうえで非常に重要なキーワードだろう。たとえば、大きな話題になった3人の結婚。2019年4月にNao☆、2020年にMegu、2021年にKaedeが入籍し、2022年に3人とも出産を発表した。今も昔もアイドルの結婚は一部のファンに受け入れられづらい風潮があるなか、Negiccoの決断は“異例”だった。にもかかわらず、その結婚は多くの人に祝福された。