2023.08.14 20:00

緑黄色社会、“ひと夏の恋”を歌ったサマーチューンの新定番　煌めくような歌唱とアンサンブルで際立つストーリー

文＝伊藤美咲

　そして長屋のボーカルも、緑黄色社会を語る上で欠かせないポイントだろう。同曲を聴いて、彼女のずば抜けた歌唱力と表現力を再認識した。一瞬で誰もが引き込まれるような伸びやかな歌声はエネルギッシュかつ芯が強く、ブライトな曲調にもぴったりとハマっているが、筆者が特にグッときたのはラスサビ前のセクション。〈やめてまだ終わらないでよ／「好き」をまだ伝えていないのに〉のパートで、「夏が終わってほしくない、まだまだこの楽しい時間が続いてほしい」と懇願するような気持ちがひしひしと伝わってくる。歌詞のストーリー性も相まって、1曲を通してまるで映画を見ているかのような充実感のある曲に仕上がった。

　王道のポップソングだからこそ際立つ、長屋の歌唱力と、緩急自在なアンサンブルで奏でられるメロディラインの良さ。これぞ緑黄色社会の真骨頂であり、8月4日放送の『ミュージックステーション夏の3時間半スペシャル』（テレビ朝日系）で披露した際にはSNSで大きな反響を得たほか、MVも公開からわずか4日間で100万回再生を突破している。「サマータイムシンデレラ」は、爽やかでキラキラとしたサマーチューンの新定番として、そして緑黄色社会のライブを彩る新たな代表曲として、人気の曲になること間違いなしだろう。