BAND-MAIDはいかにして世界で戦えるバンド像を確立したのか 2枚のベストアルバムで触れる10年の進化と洗練の過程

 ところが、そうした時間の流れを止めることになったのが、新型コロナウイルス蔓延に伴う世界的なパンデミックだった。しかし、何もかもが停滞してしまった状況下においても5人のモチベーションが冷めることはなく、バンドは精力的に創作活動に取り組みながら、配信を通じて熱心な支持層との繋がりを維持するのみならず、それまでBAND-MAIDに触れたことのなかった人たちにまで、その認知を広げていくことになった。2021年2月11日に実施されたオンラインでのお給仕が、世界67カ国で視聴され、アメリカにおけるTwitterのトレンドで4位にランクされたという事実も、それを裏づけている。そもそも同日は、彼女たちにとって初となる日本武道館でのお給仕が行われるはずだったが、コロナ禍が長引くなかで公演中止を余儀なくされている。そうしたピンチを、BAND-MAIDは見事にチャンスに変換してみせたのだった。

 そして、結成10周年のアニバーサリーイヤーにあたる今年も、彼女たちは日本とアメリカを交互にサーキットするかのようにして、古くからのご主人様、お嬢様の要望に応えながらも支持基盤を拡大し、音楽面においてもさらなる技術向上と新たな可能性追求を同時進行させながら、他の誰とも比べようのないそのスタイルに磨きをかけ続けている。

 今回登場の2枚のベストアルバム『BAND-MAID 10th Anniversary Best Vol.1』『BAND-MAID 10th Anniversary Best Vol.2』には、そうしたBAND-MAIDの進化の過程と多面的な魅力が高密度に凝縮されている。その歴史を知り尽くしているコアな支持層にとっても、その変遷についてこれから掘り下げようとしている問者たちにとっても、このうえない絶好のアイテムということになるだろう。

 現在進行中のアニバーサリーツアーは、11月26日、横浜アリーナでクライマックスを迎えることになる。しかし、BAND-MAIDの物語はまだまだその先も続いていく。その未来を共有していくためにも、ぜひこの2枚に触れ、彼女たちが歩んできた10年間の重みを実感してほしい。そこできっと、このディケイドを通じて重ねられてきた進化の幅の大きさばかりではなく、少しも変わっていない何かがあることに気づかされることになるはずだ。

■リリース情報
BAND-MAID 10周年ベストアルバム『10th Anniversary Best Vol.1』
2023年8月2日(水)発売

<収録内容>
1.Thrill
2.REAL EXISTENCE
3.alone
4.YOLO
5.Don't you tell ME
6.Daydreaming
7.Choose me
8.DOMINATION
9.DICE
10.start over
11.glory
12.Bubble
13.endless Story
14.Different
15.Warning!

『10th Anniversary Best Vol.2』
2023年8月2日(水)発売

<収録内容>
1.Shake That!!
2.the non-fiction days
3.FREEDOM
4.Puzzle
5.secret My lips
6.Play
7.I can't live without you.
8.Rock in me
9.Screaming
10.Blooming
11.輪廻
12.NO GOD
13.After Life
14.Manners

『BAND-MAID 10th Anniversary Best Vol.1』『BAND-MAID 10th Anniversary Best Vol.2』

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