梶裕貴、木村昴、津田健次郎……声と歌、そして演技が新たなキーワードに? 人気声優の最新傾向を探る
舞台、声優、ドラマ、映画という場で“演技者”としてのスキルやセンス、表現を追い求めていくなかで人気を集める者もいれば、自身が好きだった音楽を通して人気を集めることもある。このランキングにも名を連ねている木村昴と宮野真守は、音楽との関わりを通して高い人気を集めてきたふたりである。
宮野真守については以前から幾度となく本サイトで紹介をしてきたので、ここでは木村昴をピックアップしてみよう。
2005年に『ドラえもん』ジャイアン(剛田武)役をたてかべ和也から受け継いで鮮烈なデビューを果たし、同じタイミングでスネ夫(骨川スネ夫)役を演じることになった関智一にならって、2009年に自身の劇団・天才劇団バカバッカを立ち上げると、主に舞台での芝居を研鑽していくことになった。
そんな彼が愛していた音楽がヒップホップ。1990年生まれの彼は、小学生の頃からヒップホップにのめりこみ、1990年代終盤から2000年代にかけて日本語ラップが盛り上がっていく様を肌で感じていた筋金入りのヘッズである。
声優としてだけでなく、ナレーションや舞台など幅広く活動していた木村。そんな彼に2度目の転機として訪れたのが、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』だった。2017年9月にプロジェクトが始動すると、イケブクロ・ディビジョン Buster Bros!!!の山田一郎役に抜擢され、同作品が大きくブレイクしたことにより、同作品のひとりの顔役として強烈な印象を残すことになった。
同作品内でラップを披露するのはもちろんのこと、ヒップホップに馴染みのない出演者にラップを指南したり、“好良瓶太郎”名義で作詞活動を行うなど、同プロジェクトには欠かせない存在となった。
その後、『ゾンビランドサガ』などのTVアニメで“ヒップホップにまつわるキャラクター”を演じることが増えていったのと同じように、彼の活動にもヒップホップや音楽にまつわる比重が大きくなっていった。子ども向けバラエティ番組『おはスタ』(テレビ東京系)内で放送されていたショートアニメ『Bラッパーズ ストリート』(2019年)で、木村は主人公のヨーヘイ役を担当。2020年10月からは同番組のメインMCを務めるようになった木村昴は、『おはスタ』のテーマソングとして岡崎体育との共同で「モーニンググローリー」を制作した。
日本を代表する特撮作品であり子どもから大人に幅広く人気の高い『仮面ライダー』シリーズでは、『仮面ライダーリバイス』のバイス役として声を担当。同作品の挿入歌「VOLCANO」「#激ヤバイス」で歌唱し、Da-iCEとのフィーチャリング楽曲「liveDevil」「Dance Dance」をリリースしている。どの楽曲も木村がキレキレのライム&フローを聴かせているが、特に「#激ヤバイス」では木村自身が作詞を務めており、ミクスチャーロックを意識したサウンドとラップが見事に調和した楽曲となっている。
山寺宏一、小野友樹、花江夏樹と受け継がれてきたバトンをしっかりと受け継いでMC役を担う『おはスタ』や、ヒーローものの作品として名高い『仮面ライダー』シリーズと、それぞれに出演している木村昴。こういった子どもに向けたメッセージを乗せた作品/番組に出演することは、木村にとって意義深く、本人の意向による部分も大きいのかもしれない。
彼のように、音楽とも密接な繋がりが活動に寄与するパターンといえば、水樹奈々、斉藤壮馬や蒼井翔太らも代表的な声優だ。今後もこういった形でブレイクしていく声優が生まれてくるはずだ。
年を追うごとに若手の声優が増えていくなかで、存在感を発揮し続けているトップランナーたち。彼らが自然と放つ多彩なタレントが、その活動においてコアとなっているのは間違いないようだ。
※1:https://shibuya-trendresearch.jp/monthlytrendsurvey/1153/
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