NiziU、2ndアルバム『COCONUT』がチャート首位に　ユニット曲では“グループらしさ”と異なる多彩な表情も

CD Chart Focus

参照：https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2023-07-31/

　2023年07月31日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはNiziUの2ndアルバム『COCONUT』で、推定売上枚数は141,804枚。以下、トップ10圏内の初登場作品としては、2位 UVERworld『ENIGMASIS』（28,462枚）、3位 GENERATIONS,THE RAMPAGE,FANTASTICS,BALLISTIK BOYZ,PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE『BATTLE OF TOKYO CODE OF Jr.EXILE』（27,875枚）、4位 山下智久『Sweet Vision』（27,654枚）、5位 NewJeans『NewJeans 2nd EP ‘Get Up’』（27,304枚）、6位 Crazy:B（天城燐音（阿座上洋平）,HiMERU（笠間淳）,桜河こはく（海渡翼）,椎名ニキ（山口智広））『あんさんぶるスターズ!!アルバムシリーズ『TRIP』Crazy:B』（24,135枚）、9位 OWV『JACK POT』（17,761枚）だった。

　本題に入る前にちょっと寄り道。5位にランクインしたNewJeansは雑誌の表紙も飾れば今夏の複数の音楽特番にも先のシングル「Ditto」でVTR出演（この選曲はちょっと意外だった）するなど、いわゆる「日本デビュー」はまだながら日本でも人気を拡大している。EP『Get Up』も上々の売上を記録していることだし、今後の活躍がいっそう期待できるだろう。

　さて、今回取り上げるのは首位を獲得したNiziUの『COCONUT』。いかにも「夏曲」！　という具合に振り切った表題曲「COCONUT」は爽やかで楽しく華々しい印象がある一方で、トラックの音数は少なく意外なほどスマート。9人組の大所帯ならではのボーカルの賑やかさが楽曲に華やかさを与えているということか。

　この傾向は「COCONUT」に限らずアルバム全体に共通していて、ビートは尖りすぎずやや淡白、ボーカルで華を出す。ウェルメイドというか、ちょっとコンサバすぎのような気もするが、「Short Trip」の音の抜き差しでつくる細かい展開はやはりよくできているというほかないし、ローファイヒップホップとEDMポップスのテクスチャをミックスしたようなバラードの「Raindrops」も面白い。いっときのTWICEを思い出すような安心感、というか。

　とにかく「楽しもう！」というバイブスを押し出した10曲約30分（通常盤）がめまぐるしく過ぎていくが、ラスト、エレクトロスウィング調の「Love & Like」が賑やかさとポジティブさ、そしてボーカルの聴かせどころの多さから言ってハイライトか。

　一方、フィジカルでは初回生産限定盤B、サブスクリプションではデラックス・エディションに収録されているユニット曲はそんな「NiziUらしさ」とはちょっと違う表情を見せている。「LOVE YOURSELF (MAKO & AYAKA & MIIHI)」はすこしレイドバックしたディスコブギー。「secret (RIO & MAYA & RIKU)」は若干Y2Kみを感じるほろ苦さもあるメロディアスなR&Bバラード。バウンシーな「JUMP (MAYUKA & RIMA & NINA)」や、ベースがゴリゴリに暴れるヒップホップ「Take it (MAYUKA & RIMA)」も良い。グループの魅力はこうした表情の多彩さにも表れてくるものだと再確認しました。