いろはにほへっと あやふぶみ、“和”な持ち味から広がる色鮮やかな情景 須田景凪らクリエイターとの共演も充実した1st EP
いろはにほへっと あやふぶみが1st EP『可惜夜歌集』を7月27日にデジタルリリースした。
VTuberグループ・ホロライブに所属する、白上フブキ、百鬼あやめ、大神ミオをメンバーとするユニット・いろはにほへっと あやふぶみ。彼女たちのオリジナル曲には和を彷彿とさせる楽器の音色が各楽曲に散りばめられており、既存曲を含めた5曲が収録された『可惜夜歌集』にも和風なサウンドの楽曲が揃っている。もちろん、各楽曲が異なるジャンルの成分を含み、バラエティに富んだ作品に仕上がっている点も聴きどころだ。
ユニットのデビュー曲で、PandaBoYが手がけた「おにけもだんす」は、琴や太鼓の音色など和を思わせる音色がふんだんに使用されているほか、彼女たちのモチーフにもなっている獣や鬼に関連する単語が歌詞に散りばめられている楽曲。音色だけでなく祭り囃子を思わせるパートがあるなど、楽曲の随所から和のモチーフを押し出している一方、電子音の速いフレーズやいわゆる「ガチ恋口上」が含まれるという特徴から、電波ソングに分類される楽曲でもある。インターネット上を拠点にして活動しているVTuberである彼女たちと電波ソングは相性がよく、〈今宵も集え 電気通信網(インターネット)/推し事に幸あれ/此処はまるで桃源郷〉〈超課金伝書鳩(スーパーチャット)もう よいっよいっ〉など、歌詞も本人たちの活動を思わせる内容になっている。和の音色とVTuberという活動形態に関連する歌詞の両方からいろはにほへっと あやふぶみを描き出した、彼女たちらしい楽曲だ。
自身の活動に関連した歌詞が散りばめられた「おにけもだんす」はキャラクターソング的な側面が色濃い楽曲だが、2ndシングルとしてリリースされた「鬼灯日和」や3rdシングル「恋情詩歌」は和や祭りからイメージを膨らませた楽曲となっている。夏祭りでの恋模様を切なく描写した「鬼灯日和」、和ロックの「恋情詩歌」ともに、笛や太鼓といった和風な音色と情景が浮かぶ歌詞描写、3人のニュートラルな歌声がマッチしている楽曲だ。「恋情詩歌」ではラップにも挑戦しており、歌声からはクールな表情も垣間見ることができる。
これまでライブでは披露されていたが未リリースの楽曲であった「椿」もEPに収録された。これまでのいろはにほへっと あやふぶみの楽曲とは趣向を変えたエレクトロポップの楽曲となっており、シンセベースの音色やドロップに向けたリズミカルな譜割りが新鮮。ユニゾンが少なく、3人の歌声の違いも映える歌割りも含め、ユニットの新たな魅力を引き出した。