PSYCHIC FEVER、武者修行を経てファンに届けた深い愛 グローバルアーティストとしての確かな成長も見せた初単独ツアー
PSYCHIC FEVERのアパレルライン「P.C.F APPAREL DEPARTMENT」(6月にローンチ)でリリースしたセットアップジャージをツアー用にカスタムした衣装に着替えたダンスショーケースでは、剣・中西・渡邉・JIMMY・半田による息の合ったダンスから始まり、一人ひとりの個性を全面に出したソロパートへと続く。グループの最年長であるムードメーカーの剣は、“神奈川ブラザーズ(かなブラ)”こと渡邉・半田ペアに呼び込まれ、愛嬌たっぷりのソロダンスを披露。JIMMYはキャップを巧みに操りながら。小波津はアクロバティックなパフォーマンスで全身に歓声を浴びる。ちなみに、ここで使用されたDANCE TRACKや、セットリストを繋ぐSEはメンバー自ら作曲したものだという。福岡公演に参加される方は、ぜひSEにも注目してほしい。そんなこだわりのショーケースから一転、暗くなったステージに響き渡るのは、ボーカルとラッパーの掛け橋を担うマルチプレイヤー 渡邉のビートボックス。鼓動のような音を発しながらセンターに歩み寄り、自身の身体ひとつで観客をノせていく。そこにラッパーのJIMMYとボーカルのWEESAが合流し、新鮮な組み合わせで届けた「Highlights」や、半田のラップを軸とした「Tokyo Spiral」も、身を以て世界を知り、一人ひとりがパワーアップして帰国したPSYCHIC FEVERの攻めの姿勢を象徴していた。
本編終盤。穏やかな笑顔と口調がその人柄を物語る中西は、たくさんのForEVERと共にこの日を迎えられた感謝を述べつつ、「ツアー自体は次の福岡公演で終わってしまうんですが、この先には、日本での活動もそうですし、海外での活動も控えています。何かのタイミングで東京のみなさんに必ずお会いできるように、また戻って来たいと思っていますので、引き続き温かい応援をよろしくお願いします!」と前向きな想いを語る。とはいえ、残すはあと1曲。「最後の曲、いきますか? どうしますか?」(中西)、「やだ~~!」(ForEVER)のやり取りには、パフォーマンス中、大人びた表情を見せていたWEESAも「僕もめちゃめちゃ嫌です!」と素直な感想を口にした。その気持ちを胸に抱えて歌うラストナンバーは、中西が発案した歌詞がタイトルになっている「Nice & Slow」。メンバー全員で綴ったForEVERへのメッセージが、ゆるやかなリズムに乗って会場全体に広がっていった。
アンコールには、嬉しいサプライズゲストも登場した。車のエンジン音が鳴り響き、13人分のシルエットがステージに現れると、大歓声が湧き起こる。今年1月にデビューしたタイの6人組ダンスボーカルグループ DVIが、仲間のためにタイから駆けつけたのだ。2022年8月末から海外に拠点を移し、半年間タイで武者修行を行い、グローバルアーティストとして第一歩を踏み出したPSYCHIC FEVERは、今年2月にDVIとのコラボレーション楽曲「To The Top feat. DVI」を配信リリース。そんな思い出のダンスチューンを東京公演限定のスペシャルバージョンでパフォーマンスし、13人は楽しそうにアイコンタクトを交わした。さらにDVIのデビュー曲「Sugar」には、途中からPSYCHIC FEVERも乱入し、一緒になってキュートにダンス。MCでは小波津がタイ語で通訳したり、DVIメンバーがこの日のために勉強してきたという日本語で「みなさん、大好きです!」(チーター)、「みなさん、楽しんでますか!?」(タン)、「とてもワクワクしています」(ポー)、「みなさん、とっても可愛いです!」(ウーウー)と話す場面も。「今日はとても楽しかったです!」と可愛らしい笑顔を輝かせたのは、「To The Top feat. DVI」でDVIチームの歌い出しを担当している最年長のフランク。サムイがタイ語でライブの感想を語る際には、予想外に長い発言に一瞬困惑の表情を浮かべた小波津が、清々しい笑顔で「楽しかったって言ってました!」と叫び、笑いを誘った。だが、真面目な小波津がこれだけで終わるわけはなく、改めて長文を通訳し、着実にグローバルアーティストとしての力を蓄えていることを証明した。
その後披露された「Choose One」は、渡邉や半田が「CL」(LDHの動画配信サービス)配信用の自撮り棒を手に歌唱し、総勢13人がスマホの前にギュッと集結。仲良くはしゃぐメンバーたちをForEVERによる〈Ey/Yay Yay Yay Yay Yay Yay Yay Yay〉の大合唱が温かく包み込む。実際は週明けの月曜日だったが、半田は自身のパート〈BadなWeekend〉で観客と声を重ね、口癖をそのまま歌詞に落とし込んだという剣パートも〈何しちゃってもOK〉のコール&レスポンスが楽しく、ライブ終盤の寂しさを陽気に吹き飛ばしてくれた。そしてDVIを見送った7人は、順番にはけてグッズTシャツに着替えることに。「今日はどこで着替えようか?」という中西の発言を受けて、ステージ上でおもむろに衣装を脱ごうとするJIMMYに、歓喜の絶叫が充満。少数でMCを回している間も、数少ない関東出身である渡邉・半田が「ただいまー!」と叫び、それを上回る「おかえりー!」の声に圧倒されたり、髪の毛のツヤツヤ具合に磨きがかかった剣が「みんな、頭見ないの!」とおどけたりと、終始笑いが絶えない。きっと、こうやって積極的にコミュニケーションをとり、ForEVERと歩幅を揃えて進んだ先に、メンバーが思い描く“もっと素敵な景色”が待っているのだろう。
再び7人揃ったステージで、WEESAは「今回のツアーは、PSYCHIC FEVERの自己紹介になるようなライブにしたいと思っていて。僕たちの楽曲、僕たちの音楽を120%みなさんに伝えたいという想いから、“P.C.F”というツアータイトルをつけさせていただきました。改めて、みなさんの声を聴けて、みなさんとお会いできて幸せです。ありがとうございました」と語り、小波津が「これからもたくさんの夢をみなさんと一緒に……」と言い添えると、ファンネームをタイトルに掲げるラストナンバー「ForEVER」へ。「Nice & Slow」と同様、メンバー全員で作詞を手掛けたミディアムナンバーが身体に染み渡り、じんわりと心を温めていく。また、曲の最後には、メンバーを代表するように小波津がアカペラで熱唱。それはまさに聴く人の心を震わせる“魂の歌声”で、息を飲んでステージを見つめていた観客が、ハッと我に返ったように力強い拍手を送る中、東京公演は終幕したのだった。
※1:https://realsound.jp/2023/06/post-1341917.html
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