WENDY、ロックスターの風格漂う要注目な若手4人組 『Showcase Live』に見た天賦の才とピュアな音楽愛

 WENDYというバンドがいる。初ライブは2021年の4月。密になるな、声を出すな、人を集めるなと言われ続けたコロナ禍真っ只中だ。世田谷区の青少年センターで出会った4人は、それぞれSkye(Vo/Gt)、Paul(Gt)、Johnny(Ba)、Sena(Dr)という。まずはKISSなど古いロックの話で盛り上がり、一念発起してバンドを組んだのが2020年末だった。

 ただの趣味や軽音部の延長でやれることではないだろう。そもそも2020年はどのイベントも軒並み延期や人数規制となっていた。人の集められない環境でライブハウス出演を目指し、スタジオに入り続けるバンド活動にどれだけのエネルギーが必要かは推して知るべしだ。また、ハーフのメンバーも半数いるためどこまでがステージネームなのか定かではないのだが、日常とおさらばするように全員で欧米風の名を名乗る、その勇気だって相当なものである。昨年出した1stシングルに『Rock n Roll is Back』とタイトルをつけたのも同じこと。彼らが見つめているのは、メインストリームから一度は消えたもの。20世紀のアメリカやイギリスで主流だったロックンロールやハードロックだ。

 今どき? と思う反面、今だから、と考えたくもなる。好例がイタリア出身のMåneskinだ。ぎらついた衣装とメイクで現れ、2021年から世界中でバズりだした彼らの成功には、長引くコロナ禍に心底うんざりしていた子供たちの熱狂が大きく関与している。見たことのないロックスターの振る舞いが、露骨なまでのセックスアピールが、この時代だから輝いて見えた。それは日本でも例外ではないだろう。WENDYはそういうポジションを狙えるのか。4月28日、新宿ロフトで行われた『WENDY Showcase Live 2023』を観た。

 ショーケースなので集められたのはほとんど業界関係者。年齢は総じて高い。そこに紛れ込むように10〜20代の若者がチラチラと点在している。知り合いか、耳の早いファンだろうか。それでも全体のムードは様子見に近い。堂々と出ていくだけでも胆力が試されるはずだ。

 始まりはドラムセットの前に立ったSenaによるバスドラムとタムの連打。太鼓のようなリズムに乗ってJohnnyとPaulが現れる。共にサングラスというカブキっぷりに思わず笑ってしまう。これができない奴はステージに立てないんだよ、ということか。下手のPaulはレフティギターなので、楽器を持つと上手のJohnnyとの美しいシンメトリーが生まれる。絵になるバンドなのは間違いないだろう。そうして、最後に颯爽と現れたSkyeの華やかさに舌を巻いた。彼も1曲目はサングラスをかけていたが、天性のものとおぼしき輝きは隠しきれない。なるほど、これは本気でロックスターになれるタイプ。「Yeah!」の叫びにまったく迷いがない。「Yeah!」ひとつで空気を変える力がある。何度も言うが、凡人にはできないことである。

Skye

 全曲英語詞。Guns N' RosesやMötley Crüeを引き合いに出したくなるサウンドやメロディが響き渡る。今何年なのかと思うが、過去の音像を研究して再現するオタク的ムードがないところは好ましい。もっとラフだしピュアなのだ。俺らもロックスターになれちゃうんじゃん? だってもっと輝きたいじゃん? それだけで動いているから、あらゆるパフォーマンスに照れの二文字がない。最初は声出し禁止、動きも制限されていたライブ活動の中で、この伸びやかな動きをどう会得していったのか、とても不思議な思いがした。

Sena

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