Appy lil Quokkaが目指す、音楽を通したコミュニケーションの構築 「人と人が繋がるような場を提供したい」
「『東京でビッグになりたい』という想いがある」(Ritz)
――今回の新曲「Tokiwo」は、冒頭一発目の〈I’m in Tokyo/Today〉というラインが象徴的なように、東京という街がテーマになっています。例えば、具体的な歌詞の話になってしまいますが、〈報酬は平行線?〉というラインは、椎名林檎の「丸ノ内サディスティック」へのオマージュになっていると感じました。
Ritz:「丸ノ内サディスティック」も東京を舞台にした曲で、他にも東京を歌った曲は数多くあるんですよね。すでに素晴らしい東京ソングがたくさんあるので、そういう楽曲にリスペクトを込めたいという想いが、歌詞を書く中でありました。
――日本の音楽史において、東京に関する歌は一つのジャンルとなっていて、その系譜に連なる新しい東京ソングを生み出す上では、ある意味で覚悟が必要というか、きっと生半可な気持ちでは作れなかったのではないかと想像しました。今回、この曲を作る上で特に意識したこと、こだわったことについて教えてください。
捧:それで言うと、先ほどお話しした東京のカオス感を表現したいというこだわりがありました。東京は、一人ひとりイメージが異なるような多面性のある街だと思っているので、そうした雑多感を、約3分間の中に落とし込めたらいいなって。今までの曲と比べて、一番いろんな種類のサウンドが入っていますし、個人的には、サビのドラムフレーズは、自分なりにかなり手数を多くしてみました。
――それこそ、オートチューンで加工された歌声も入っていて、初めて聴いた時は驚きました。
Ritz:東京の忙しない感じを、サウンドで表現したいなと思って、いろいろ工夫をしましたね。
捧:一曲の中で、静かなパートや盛り上がるパートなど、次々と展開が変わっていく感じも、これまでの他の曲ではなかったよね。
Ritz:良い意味でのめまぐるしさを感じさせたい、というこだわりが詰まっています。
池田:僕個人の話で言うと、ギターも、今までの曲ではやってこなかったような新しいサウンドに挑戦していて。例えば、Bメロで、付点8分のディレイをかけたハイフレットの音とローフレットの音を、両サイドにパンを振って左右から飛び交うようにしたり、あとはサビの裏では、個人的に苦手だったパワーコードのカッティングの音を重ねています。もっと練習しなきゃ……。
Ritz:あと、今回のリュウケイのギターサウンドは、リバーブ感がすごく印象的だと思っていて、心の奥底から湧き出るパワーみたいなものが、すごく表れているなと。もともと僕がデモを作った段階ではそこまでギターを入れずにリュウケイに投げたんですけど、彼に弾いてもらったリバーブの効いたギターが、曲全体を包み込みながら、同時に内から外へ広がっていくような広がり感を出していて、この楽曲の良いスパイスになったと思います。
――今回の制作においては、大原櫻子、KEYTALK、もさを。、『ユイカ』らの楽曲を手掛ける小名川高弘さんをプロデューサーとして迎えています。小名川さんとの制作について振り返ってみていかがでしょうか?
Ritz:小名川さんには、サウンドメイクの面ですごくお力添えをいただきました。東京の雑多な感じを音を通して表現するために、祭囃子の鐘の音をはじめとした和風なサウンドを入れたり、間奏では逆にヒップホップ的なアプローチをしたり。小名川さんとのキャッチボールを経て、いろんなジャンルが混在したサウンドを作ることができて、僕たちとしても学びが本当に大きかったですね。
捧:小名川さんからは、一つひとつの音にこだわり抜くことの大切さを教えていただきました。僕たちが漠然とイメージしていた理想の音を、小名川さんがすごくシャープに言語化してくれて、その過程はとても面白かったですし、勉強になりました。
――クールでありながらも、胸の内からじわじわと熱いエネルギーが湧き出てくるような独自のミクスチャーサウンドが生まれていて、そうしたサウンドのテイストはこの曲のMVにも表現されているように思いました。
Ritz:かっこよさを大事にしつつも、あくまでクールになりすぎずに、ピュアな熱さだったり、東京という街に来た時のワクワクする気持ち、心躍るような感覚を表現したいと思って作りました。今回のMVでは、メンバーの素顔や飾らない姿もフィーチャーしていただいているので、非常に良い仕上がりになったんじゃないかなと思ってます。
――「Tokiwo」では、楽曲のリリースと共に発表された皆さんのコメントにもあるように、「今ここでしかできないことをやり抜く決意」が歌われています。この曲の歌詞を聴きながら、皆さん自身が胸に抱いているバンドとしての想いや決意が重なっているのではないかと想像しました。
Ritz:やっぱり、漠然と「東京でビッグになりたい」という想いはありますね。この曲の中で直接的に歌っているわけではないんですけど、サビの中に〈きっと変わってみせるよ〉という言葉を入れていて。東京で名を馳せるような存在になりたい、のし上がっていきたい、という僕たち自身の想いを重ねています。
また、この曲は上京ソングというわけではないんですけど、東京という街の中での自分を俯瞰して見たような内容になっているんです。サビの歌い出しを〈I’m in Tokyo/Today〉としていて、〈Everyday〉ではなくて、あえて〈Today〉と言うことは、いつも東京にいるわけではない、っていうことなんです。「今、自分は東京にいる」といったような、今日限りで東京にいる人が感じるこの街の素晴らしさ、それを雑多な感じも含めて表現したいという想いがありましたね。
――この曲のタイトル「Tokiwo」は、そのまま日本語に直すと「時を」と読むことができると思います。改めて、この曲のタイトルに込めた想いについて聞かせてください。
Ritz:おっしゃる通りで、元は「時を」で、東京で過ごす限られた時間の大切さを伝えたいという気持ちがありました。僕は一時期、地方に住みながら東京に来て音楽活動をしていたこともあったので、東京での限られた大切な時間を楽しみながら、今自分ができることを精一杯やりたいという当時の心境が、このタイトルにも表れているのかなと思っています。
――この曲には皆さん自身の決意が滲んでいますが、最後にバンドとして今後やり抜きたいことや、今掲げている今後の目標について教えてください。
Ritz:東京の街を歩けなくなるぐらい有名になりたい。
捧:原宿を歩けなくなるくらい、有名に(笑)。
――今日は、ここまで普通に電車で来れましたか?
Ritz:はい、今日は電車で。
捧:誰にも気付かれずに(笑)。
Ritz:やっぱりさっきの話にも繋がりますけど、自分たちの音楽をたくさんの人に聴いてもらって、そのようにして「Happy Communication」が広がっていけばいいなと思うので。だからこそ、なるべく多くの人に聴いてもらえるようなアレンジや歌詞は、今後も大事にしていきたいと思っています。
池田:この曲もそうですし、今までの曲もこれから作る曲もそうですけど、本当に聴いてくれる人が一人でも多く増えていって、そうした繋がりを通して、みんなが幸せになってくれればいいと思っているんで。だからこそ、まずはたくさんの人に自分たちの音楽を届けるアプローチがすごく大事になると思ってます。もちろん、お金もたくさん稼ぎたいですし。
Ritz&捧:(笑)。
――捧さんは、いかがですか?
捧:目標で言うと、やっぱりでっかいライブハウスで常連としてライブができるようなバンドになりたいですね。東京だと、ここ数年以内にZeppやリキッドルームでライブをやりたいなと。
Ritz:あとは、地方の大きなライブハウスにも行きたいな。そこで、「Tokiwo」を歌えたら、地方の方たちに、東京という街に興味を持ってもらえるのではないかと思っていて。今回、僕たちが「Tokiwo」に込めた想いは、きっとそうした方たちにも分かってもらえるんじゃないかなと思っています。
■リリース情報
「Tokiwo」(読み:トキヲ)
配信リリース中
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