シーナ&ロケッツ、鮎川誠の急逝でバイラル急上昇 ロックンロールを愛し、第一線で広げ続けた偉大な功績

 Spotifyの「Daily Viral Songs (Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの2月1日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:WOLF HOWL HARMONY「LOVE RED」
2位:えなこ feat. P丸様。「アイデン貞貞メルトダウン」
3位:ブランデー戦記「Musica」
4位:ONIMAI SISTERS「ひめごと*クライシスターズ」
5位:Rahul Sipligunj, Kala Bhairava, M. M. Keeravani「Naatu Naatu (From "RRR")」
6位:シーナ&ロケッツ「ユー・メイ・ドリーム」
7位:HUH YUNJIN「I ≠ DOLL」
8位:NewJeans「OMG」
9位:THE JET BOY BANGERZ「RAGING BULL」
10位:NewJeans「Ditto」

 今週はデイリーバイラルチャートで6位にランクインしたシーナ&ロケッツ「ユー・メイ・ドリーム」をピックアップする。

 1月30日、シーナ&ロケッツのボーカル&ギターであり、リーダーでもある鮎川誠が、すい臓がんで1月29日にこの世を去ったことが発表された。享年74歳。2022年の年間ライブ出演本数は43本と、変わらず転がり続けていた鮎川の悲報は、すい臓がんであることを公表せず活動していたという事実もあり、世間を驚かせた。2月4日には「ロック葬」が営まれ、これまでの作品などが飾られた会場に、多くのファンも弔問したという。

 1970年にブルースロックバンド、サンハウスのメンバーとしてデビューした鮎川誠は、福岡県久留米市の出身。1960~1970年代にかけ、井上陽水や財津和夫など多くのシンガーソングライターを輩出したことから「日本のリバプール」と称されていた福岡だが、鮎川は、1970年代に博多を中心に一つのシーンを作った“めんたいロック”の第一人者である。サンハウスを先駆けに、以降はシーナ&ザ・ロケッツ(旧表記)、ARB、ザ・ロッカーズ、ルースターズ、THE MODSなどが登場している。革ジャンやリーゼントなど、派手な衣装を着て、誰にでもわかりやすいようにロックを可視化し、そのイメージを全国共通なものにした功績はとても大きい。また、前述したバンドは、ヒットチャートを賑わし、音楽番組などに出演するのと並行して、当時はまだアンダーグラウンドという印象が強かったライブを精力的に展開。オーバーグラウンドとアンダーグラウンドの両方で活躍し、それぞれのシーンで認められていたことも、今改めて考えると非常に画期的な存在だったといえる。

 鮎川は1978年に、妻・シーナとともにシーナ&ザ・ロケッツを結成。以降、40年以上にわたり、一切のブランクなく音楽活動を続けて来た。デビュー40周年となった2018年には結成までの物語がNHK福岡放送局でドラマ化され(『You May Dream』)、同年秋に全国でオンエア。鮎川とシーナのロックマインドが、このドラマで彼らを知ったという若年層の共感も呼び、大きな盛り上がりを見せたことも記憶に新しい。

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