Natumi.、ドラマ『アトムの童』劇中使用曲「ラストノート」で見つけた新しい自分の声 「一歩一歩着実に前へ」

 2022年6月にシングル『pARTs』でメジャーデビューを果たしたNatumi.。10月より放送を開始した日曜劇場『アトムの童』(TBS系)の劇中曲として「ラストノート」が起用されると、その美しい歌声に多くの人視聴者からの注目が集まった。2023年1月18日には壮大なアレンジを施した「ラストノート-full arrange ver.-」の配信も始まり、劇中使用バージョンと聴き比べながら楽しめる楽曲となっている。同じ楽曲の別アレンジをどのように歌い分けているのか、それぞれの楽曲に込めた想いをデビュー以降の活動の振り返りとともに語ってもらった。(編集部)

他のアーティストのステージは勉強になることばかり

――昨年6月のメジャーデビューから約半年。振り返るとどんな時間でしたか?

Natumi.:わりとのんびりした性格なので、デビュー直後はまだあまり実感がなかったです。でもこの半年間、いろいろな活動をしていく中で、徐々にプロのアーティストであることへの自覚も強くなっていますし、自分自身も少しずつ成長できているかなと思っています。こういった撮影やインタビューにもちょっとずつ慣れてきましたね。

――澤野弘之さんがプロデュースを手掛けたデビュー作『pARTs』をもって、リリースイベントをはじめとするライブも多数、経験されていましたね。

Natumi.:はい。デビューしたての頃はプレッシャーと緊張で自分の思うようなパフォーマンスがなかなかできなかったんですよ。MCがとにかく苦手だったりもするので(笑)。でも、やっぱりライブは楽しいですね。私はアーティストになりたいと強く思ったきっかけが人前で歌った経験だったので。

――広島時代でのソロステージが大きな転機になったんですよね。

Natumi.:そうなんです。観てくださる方の反応を感じながら、自分の思いを直接伝えることができるライブを通して、アーティストになりたい気持ちが固まりました。なので今もステージに立つことは本当に楽しいです。自分の理想に近づけるようにまだまだ頑張っている最中ではありますけど。

――この半年の間に経験したライブで印象に残っているシーンはありますか?

Natumi.:私はアニメが好きなので、『ANIMAX MUSIX NEXTAGE 2022』(2022年9月2日にSTUDIO Deeで開催)に出演させていただけたのがすごく光栄でしたね。すごく緊張しましたし、リハーサルを頑張りすぎて本番での発声が危うくなるっていう瞬間もあったんですけど(笑)、本当にいい経験になりました。個人的に大好きでよく楽曲を聴かせていただいていたニノミヤユイさんにお会いすることができたのもすごく嬉しかったです。

――イベントだと他のアーティストのパフォーマンスから刺激を受けることもありそうですよね。

Natumi.:他のアーティストの方のステージを間近で見ると、ものすごく勉強になります! ステージ上での動き方やMCの仕方、お客さんの盛り上げ方など、本当にいろんな部分で学ぶことが多くて。今後の自分のステージにもしっかり反映させていけたらいいなって思いますね。

「ラストノート」にはNatumi.として表現したいものを精一杯注ぎ込めた

――そんなNatumi.さんは、昨年10月から放送されていたドラマ『アトムの童』(TBS系)の劇中使用曲「ラストノート」を歌唱されました。

Natumi.:素敵な機会をいただけて本当にありがたかったですね。ドラマの第4話と6話で使っていただいたんですけど、どちらもリアタイして、その後はTwitterでエゴサしました(笑)。楽曲や歌声について、いい反応をつぶやいてる方がたくさんいらっしゃったのがすごく嬉しかったです。YouTubeにアップしたリリックビデオも50万回以上再生されていて、反響の大きさに私自身が一番ビックリしている感じですね。

――劇中で使われた「ラストノート」はしっとりとしたピアノバラードで、Natumi.さんの歌の魅力を最大限に届けてくれるものでしたね。

Natumi.:今までバラードに対して苦手意識があったので、この「ラストノート」は自分にとってひとつのチャレンジでもありました。サウンドはピアノだけというシンプルなものなので、プレッシャーも大きかったですし。でも結果として、曲が流れるドラマのシーンを自分なりにイメージした上で、Natumi.として表現したいものを精一杯注ぎ込めたかなと思っています。自分の持つ声色がしっかり際立った仕上がりになった手ごたえもありますし、この曲と出会えたことで、アーティストとしてまたひとつ成長できた気がしますね。

――この曲でNatumi.さんを知った人が、デビュー曲「pARTs」を聴いたらビックリするかもしれないですね。

Natumi.:そうかもしれない(笑)。サウンドも歌も「pARTs」とは全然印象が違うものになっていますからね。でも、どちらもNatumi.であることは間違いないので、どちらの楽曲も好きになってもらえたらいいなって思っています。

フルアレンジバージョンの方がNatumi.色がちょっと濃い仕上がりに

Natumi. / ラストノート -full arrange ver.- MUSIC VIDEO

――そして1月18日には「ラストノート-full arrange ver.-」の配信がスタートしました。壮大なアレンジが施されたことで楽曲のイメージが大きく変わっていますよね。歌詞の内容的には離れてしまった大切な人への未練がメインになっていますが、最終的な着地点が異なって聴こえてくる。過去と未来、どちらにフォーカスしているかの違いがあるというか。

Natumi.:そうですね。歌詞は一緒なんですけど、ピアノバラードだった劇中使用バージョンの方は、ドラマのシーンに寄り添った形で、寂しさや切なさが際立った仕上がりだったんですよ。でも、このフルアレンジバージョンの方は切なさを力に変えて明るく、力強く未来へと進んでいく雰囲気になっていて。希望を感じられる仕上がりになっています。いろいろな楽器の音が加わったことで熱を感じられるところもありますし、テンポ感的にもバラードではない印象だと思います。自分の歌に関しても、そういったサウンドの違いに引っ張られた部分は大きくありましたね。

――歌声がパッと解放されている印象がありますよね。

Natumi.:劇中使用バージョンの方は曲の雰囲気に合わせて少し抑えめなトーンで歌ったところがあったんですけど、フルアレンジバージョンではそこをしっかり歌い切っているイメージです。力強く、真っ直ぐな声を乗せていきながら、最後に向けてグッと盛り上がっていく流れになっているのが一番大きな違いかな。それはサウンドを聴いた上で、自分自身がどう歌いたいかを大事にしたことで生まれた表現だったと思います。

――劇中使用バージョンの方もサウンドに寄り添った歌になっているとは思いますが、それ以上に劇中歌であることを意識した部分が大きかったのかもしれないですね。

Natumi.:そうなんです。ドラマとの相乗効果をまず第一に考え、どうすればシーンを盛り上げられる要因になるのかを大事にしていたので。どちらもNatumi.の曲であることは間違いないですけど、フルアレンジバージョンの方がNatumi.色がちょっと濃い仕上がりになっていると思います。

――表現のアプローチに関しては、ご自身の中の引き出しから相応しいものを見つけていった感じですか?

Natumi.:細かい部分でディレクションしていただいた部分もありますけど、基本的にはそうですね。ただ、私はけっこう優柔不断なので、歌い方を2パターン思いついたときに、どちらにするべきなのかで迷ってしまうことも多くて。そういった場合は、どちらのパターンでも録ってみて、スタッフの方の意見を参考に選んでいったりはしましたね。

――具体的にどんな部分でアプローチに迷ったんですか?

Natumi.:例えば、地声で引っ張って歌うのか、それとも裏声にする方がいいのか、みたいな部分ですね。あとは語尾を伸ばす部分でビブラートを使った方がいいのかどうかとか。プリプロの段階でイメージが固まっていたところでも、本番のレコーディングの際に違ったアイデアを思いつくこともあったので、とにかく浮かんだものは全部録ってみて、そこからみんなで選んでいった感じでしたね。

――ラスサビの〈きっと〉の後に入る軽いフェイクにグッと来ました。あそこはNatumi.さんのアイデアだったんですか?

Natumi.:あそこでフェイクを入れるのはデモの段階から決まっていたんですけど、フェイクのフレーズに関しては自分なりにやったところもありました。実はフェイクに関しても私は苦手意識がありまして。フェイクをすること自体は好きなんですけど、自分から出たフレーズが果たしてかっこいいものになっているかの自信がまだないというか。どうしても芋っぽいフェイクになりがちなので(笑)、そこをちゃんと乗り越えられるように頑張りました。

――芋っぽいフェイクっていうのはどういうことなんでしょう?

Natumi.:なんて言えばいいんですかね? ちょっと棒読みみたいなフェイクというか。そういう感じにはならないように意識しました。

――すごくいいフェイクだと思いますよ。

Natumi.:だったらよかったです。今後はライブなんかでももっとグルーヴ感のあるフェイクをアドリブで出せるようになっていったらいいですよね。その時の気分に合わせたかっこいいフェイクを出せるアーティストになることが、ひとつの目標でもあります。

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