ホロライブが切り開く、VTuberの音楽シーン進出　メジャデビューや大規模ライブも行われた2022年をプレイバック

　2022年もいよいよあとわずか。今年設立5周年を迎えたVTuber事務所、ホロライブプロダクションの2022年は、所属メンバーそれぞれの楽曲リリースやレコードメーカーからのメジャーデビュー、ソロ＆ユニットのライブ、記念イベントに加え、3年ぶりの『ホロライブサマー』開催など、音楽面が例年よりも活性化していた印象だ。

　これまでも積極的に音楽活動を行ってきたメンバーは今年、より柔軟な姿勢でその魅力をさらに広く伝播させた。

　ソロシンガーとしても高く支持される星街すいせいは、4月に音楽プロデューサー TAKU INOUEとのユニットMidnight Grand Orchestraとして＜トイズファクトリー VIA＞からデビュー。星街はソロ活動と同様作詞にも参加しながら、オーケストラの要素を組み込んだポップな楽曲を持ち味に注目を集めている。

　日本語詞と英詞をシームレスに行き来するラップとグローバルの流行も取り込んだ最新鋭のポップスを武器に音楽活動をしてきたMori Calliopeは、4月に＜ユニバーサルミュージック EMI Records＞からメジャーデビュー。12月にリリースしたアルバム『SINDERELLA』収録の新曲のうち、「Wanted, Wasted」は山中拓也（THE ORAL CIGARETTES）がプロデュースを手がけており、山中らしいロックテイストとCalliopeのクールなラップがクロスオーバーする1曲に。さらにずっと真夜中でいいのに。の新曲「綺羅キラー」にもフィーチャリングで参加し、ワンマンライブも成功させるなど、今年のCalliopeはポップスシーンにおいても存在感を放ち、いちアーティストとして大きく飛躍した。星街すいせいとMori Calliopeは、ホロライブひいてはVTuberの音楽シーン進出の起爆剤になったのではないか。

　さらに、ホロライブ5周年とともに活動5周年を迎えたときのそらは、自身の誕生日である5月15日に記念シングル「Happy Meowthday!!」をリリース、9月には4枚目となるアルバム『Sign』を発売し、11月にはワンマンライブ『宇宙(そら)と時空(とき)のミルキーウェイ』を開催するなど、様々な音楽活動でファンとともに節目を祝った。生バンド編成で行われたワンマンライブには、これまでも楽曲提供などで親交のあった広瀬香美も出演。集大成のような豪華な公演は、自身の5年間の成長を見せるようであった。活動初期から音楽に力を入れてきたメンバーたちが、さらに活動の幅を広げ自身の音楽を届けた1年であったと言えるだろう。

　メジャーデビュー組以外のメンバー、ユニットの活動も多岐に渡った。

　猫又おかゆは9月に初のフルアルバム『ぽいずにゃ～しんどろーむ』を発売。ピノキオピーやFAKE TYPE.、ナナホシ管弦楽団など、猫又が以前より敬愛していたという作曲家やボカロP計11人の書き下ろし楽曲が結集した内容になっている。湊あくあは自身がプロデュースしたゲーム『あくありうむ。』の主題歌でもある じん楽曲提供による「未だ、青い」や「カシオペア」などをリリース。VTuberデビュー以来音楽活動に力を入れている角巻わためは堀江晶太提供曲「夢見る羊」を自身の誕生日に合わせて配信、桃鈴ねねはヒゲドライバー提供曲「Ring-A-Linger」を1stEPの発売に先駆けてリリースするなど、ボカロやアニメのトップランナーが数々の楽曲を提供した。

　そのほか、沙花叉クロヱ本人が制作を手がけた「人生リセットボタンぽちーw」や宝鐘マリンの「I'm Your Treasure Box ＊あなたは マリンせんちょうを たからばこからみつけた。」など、キャッチーで自由な作風の楽曲がTikTokで話題となったのも記憶に新しい。ホロライブメンバーそれぞれの歌声やキャラクターと、クリエイターの斬新なアイデアの組み合わせから完成した個性豊かな楽曲たちが、VTuberファン内外からの支持を集めた。