THE LAST ROCKSTARS、カーリングシトーンズ……レジェンド級ドリームバンド結成のメリットとは?

 アニソン界のトップランナーたちによるボーカルユニット、JAM Projectにインタビューした際、影山ヒロノブは「活動初期からいろんなメンバーが変わっていくなかで、『ハーモニーというのは音楽のなかでも大きな武器なんだ』と気づくところがあった」(※1)と話していた。ベテランの域に達しても技術的な部分などに発見が多々あるというのだ。

 さらに影山は「アニソンに限らず、人間って得意なパターンがあるとそこに頼りたくなる。ただ長い目で見ると、得意分野に頼りすぎると行き詰まりが早くなる。自分たちが通ったことがない道や山にチャレンジした方が、最終的に次に繋がっていく」(※1)と、様々なミュージシャンと組むことで思いがけない方法論などを見いだすことができ、それによって自分の可能性が広がるとも話す。つまり「ドリームバンド」「ドリームユニット」では、個々のミュージシャンに探究心が生まれ、普段の活動では得られないものを手にすることができるというのだ。

THE LAST ROCKSTARSが結成、YOSHIKI「コロナ禍で話す機会が増えた」

 11月11日には、YOSHIKI、HYDE、SUGIZO、MIYAVIがTHE LAST ROCKSTARSの結成を発表し、大きな話題となった。

 記者会見のなかでYOSHIKIは「世界を狙いたいというメンバーが集まった。アベンジャーズのように僕らが集まって、日本から世界に挑戦しようということでこのバンドを結成した」と世界進出の野望を語った。同バンドの存在は、コロナ禍で社会全体に閉塞感があるなか、その突破口を切りひらくための希望になるに違いない。またこの「コロナ禍」というのがポイントでもある。YOSHIKIは会見で、「コロナ禍で話す機会が増えてきて」と結成までの経緯を口にしていた。音楽活動をストップせざるを得ない状況のなか、彼らもその空白の時間で、自分自身の今後について考えるところがあったのではないだろうか。それが、SUGIZOの「MIYAVIはまだ(年齢的に)大丈夫だと思うのですが、あとの3人はこれが最後のチャレンジ。最後の人生をかけて、世界をロックしていきたい」という意気込みにつながっているように思える。

THE LAST ROCKSTARS Preview "THE LAST ROCKSTARS" & "PSYCHO LOVE" Debut Singles

 2022年は桑田佳祐も、佐野元春、世良公則、Char、野口五郎を迎えて「時代遅れのRock'n'Roll Band」を発表した。桑田は1995年にも、Mr.Childrenと組んで「奇跡の地球」をリリース。2006年の『ap bank fes’06』で桑田は、櫻井和寿について「個人的に日本で一番才能がある(と思う)ライターでありシンガーです」(※2)と讃えている。桑田自身、そういったコラボを通してさまざまな才能に触れる喜びがあるのかもしれない。

桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎 - 時代遅れのRock’n’Roll Band(Full ver.)

 ほかにも、2014年からスタートした、高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井によるMETAFIVEも、2020年から2022年にかけてシングルやアルバムを発売。その動きが活発になっていた(9月リリースの『METAATEM』をラストアルバムとしている)。

METAFIVE - “METAATEM (Deluxe Edition)” TRAILER 4

 ベテランになったことで、若手時代に比べて「自分たちがやりたいこと」を優先してスケジュールも組むことができるようになったはず。それによって「ドリームバンド」「ドリームユニット」を結成しやすくなった。そうした状況を追い風とし、桑田佳祐が「次の世代に向けたエール」「平和へのメッセージ」として「時代遅れのRock’nRoll Band」を届けたように、コロナ禍で自分たちができるアクションがなんなのかを考え、音楽ファンがトキメキを覚えるような企画を積極的に打とうとしているのではないか。

 今後もどんなミュージシャンが、誰と手を組むのか。ベテランミュージシャンたちの活動が楽しみだ。

※1:https://www.lmaga.jp/news/2022/09/508916/
※2:http://fes.apbank.jp/06/livereport/0717.html

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