G-FREAK FACTORY、ライブという居場所を守り抜いてきたからこその美しい景色 25年の歩みを未来につなげた野音レポート

 2022年、G-FREAK FACTORYが結成25周年を迎えたことは、特に2000年代以降の日本のロックシーンの変遷を振り返ると本当に感慨深い。インディーズやアンダーグラウンドのライブハウスシーンにおいて、パンクとレゲエが共鳴したミクスチャーロックの地盤を確固たるものにしたという音楽的な功績。地元=群馬を拠点に活動し続け、全国にもローカルにもライブという居場所を築いたアティテュード的な功績。どちらも音楽性と精神性が根底で結びつき、圧倒的な歌心とパフォーマンスに昇華できるG-FREAK FACTORYでなければ成し遂げられなかったことだ。

 そんな彼らが10月23日に『G-FREAK FACTORY 25th ANNIVERSARY ONE MAN LIVE』を開催し、4年ぶりに日比谷野外大音楽堂のステージに立った。自他共に認める“雨バンド”でありながらも、ここぞという大事な晴れ舞台ではしっかり太陽を呼び込んでいる印象のG-FREAK。今回の野音も見事な秋晴れに恵まれ、心地よい気温の中でライブが行われた。

茂木洋晃(Vo)

 この日、茂木洋晃(Vo)が放った言葉で特に印象的だったのが、序盤のMCで語られた「強いから残っているんじゃなくて、残っているから強い」というものだった。決して続けることが目的でバンドをやっているわけではないだろうが、25年前に結成して、時には足取りが止まることもあったけど、バンドがある限りは何かを世の中に残し、この時代なりのメッセージを未来に届けたいーー茂木と話していても、G-FREAKの音楽を聴いていても、常に感じるのはそんな切実さであり、それゆえの気迫と温かさである。そうやって音楽(活動)を通して足跡を一つひとつ残してきたことが後に強さとなり、苦しんだ日々もすべてライブのエネルギーになってきたのが彼らの在り方だ。ライブ後半、「HALF-DONE」から「Fire」へと繋ぐ流れがあったのだが、〈頭を抱えてたあの頃があるから/腹を抱えて笑い転げる今日がある〉と歌う前者では、過去を引き連れて“今日”に辿り着くことの困難と喜びを、〈Give your fire. Keep on fire〉と魂の炎に訴えかける後者では、これからも愚直に前進し続ける決意を高らかに歌い切っていた。

 セットリストは初期の名曲から近年の定番曲まで、25年の軌跡を網羅するものだった。茂木の声の調子は決して万全とは言えなかったが、それでも後半に向けて増していく爆発力にボーカリストとしての凄みを改めて感じたし、曲によっては音源以上にテンポを落とし、より歌を際立たせる演奏になっていたことからも、茂木に対する絶対の信頼が窺えた。反骨のアンセム「SOMATO」「乞え -KOE-」「REAL SIGN」でアグレッシブに開幕の狼煙を上げつつ、客席で自然とたくさんの手が上がった「日はまだ高く」や「SOUL CONNECTION」では、ポジティブなメロディを通して手を取り合うことの必要性を訴える。この“パンクの闘争”と“レゲエの団結”を正面切ってやってのけるところが、G-FREAK FACTORYの真骨頂だ。直後の「チャンダンの香るこの部屋から」を聴いてもわかる通り、闇雲に国や時代の現状を皮肉るのではなく、自分の足元を見つめ、遠く離れた仲間のことを思っているからこそ、何度転んでも本気で立ち上がることができたバンドなのである。

 そして代表曲「EVEN」は、この日屈指のハイライトだった。直前まで体調不良により入院し、ライブに復帰したばかりの茂木だったが、体を壊したことで「当たり前なことは永遠ではない」と実感したのだという。「EVEN」のピースフルなサウンドの中、いつも以上に熱の込もったボーカルで歌い上げながら、永遠なんてない世の中で何を残せるか、あるいは絶望の淵に立った時にも希望を持つためにどうすれば良いのかという問いを、茂木は投げかけていく。「EVEN」は、音楽の中で巨大なものと対峙してきたG-FREAKが、その先で真なる普遍性を手にした名曲であるが、こうして足元を再び確かめ直した茂木が歌うことで、よりリアルなアンセムとして響いてきたのは素晴らしかった。そこから、価値観が違えどたんぽぽの綿毛のように互いに手を取り合い、飛んで行った先で新たな人生が始まっていくことを肯定する最新シングル曲「Dandy Lion」へと繋がっていく流れには、「それぞれの場所で互いをリスペクトしながらやって行こうぜ」というローカルバンドらしい矜持も感じさせた。

渡部“PxOxN”寛之(Dr)

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