ウルフルズ、“好きな仕事”だから迎えられた30周年 ルーツミュージックと向き合い再発見した自分たちらしさ

「好きなものをずっと掘り下げてる人がカルチャーを作ってきた」(トータス)

ーーアルバムの1曲目「ツーベーコーベー」は正統派ロックンロールで、「よんでコールミー」は初期のThe Beatlesを想起させるし、「踊れ」はソウル、「きみんちのイヌ」はグループサウンズの雰囲気があって。みなさんのルーツがしっかり出ていることも、このアルバムの特徴だと思います。

トータス:僕らの世代は、ルーツが見えてこないと落ち着かないんですよ(笑)。否定するわけじゃないけど、若い人らの音楽を聴くと、「何を聴いて育ったんやろ?」ってルーツがわからないことも多くて。僕らの先輩や同世代は「この人、(ブルース・)スプリングスティーンが好きそうやな」みたいな感じだし、今回のアルバムは特にルーツが色濃く出てるかもしれないですね。それもね、やっぱりセルフカバーの影響なんですよ。昔の曲も露骨にルーツが出てる曲ばかりやなって思ったし、それが自分らの武器なんやろうなと。若いミュージシャンにも3コードのロックンロールを演奏する楽しさを知ってほしいし、このアルバムを聴いて「こういうシンプルなのも面白いな」と思ってくれたら嬉しい。

ウルフルズ ”ツーベーコーベー” 楽しいお仕事セッション会

ーーみなさんもルーツミュージックの奥深さを実感することもあるのでは?

トータス:あるある。

ジョンB:掘れば掘るほどね。

サンコン:ずっとそうですよ。「ここまでたどり着いた」と思っても、すぐに「まだまだ先があった」みたいになるので。それをウルフルズに持ち込めるのも面白いし、それがバンドをやってる面白さだと思うんで。

ジョンB:僕らが若いときは、今みたいにすぐいろんな音楽を聴けなかったですからね。選択肢がない分、好きなアルバムを聴き込んだし、あとはルーツを辿るしかなくて。そこで培われた好みは変えようがないし、それが強みでもあるんやろうなと。

トータス:世の中には「アホちゃうか」って言われるほど、物事を掘り下げてる人がいるでしょ。今年、『ウルトラセブン』が55周年なんやけど、当時の1年間の放送を全部チェックして、スーツのデザインの違いとか、「マスクに仕込まれてる電球の位置が微妙に変化してる」みたいなことを分析してる人がいて。誰に頼まれてるわけでもないのに好きなものをずっと掘り下げてる、そういう人たちがカルチャーを作ってきたんだと思うんですよ。僕らも「あの人ら、アホやで。誰も聴いてないのに、むちゃくちゃこだわって」って言われたいし、曲を聴いてくれた人に「面白いな」と思ってもらえたら、やった甲斐がありますよね。

ーー音もめちゃくちゃいいですからね、このアルバム。生々しいアナログ感があって、ギラっとした色気も感じられて。

トータス:レコーディングの方法はずっと変わってないんやけどね。ドラムを録るために、まずは「せーの」で演奏して、その後オーバーダビングして。エンジニアのセンスもあるし、とにかくいいチームなんですよ。前からよかったけど、セルフカバーをやって、さらによくなった。ただ、それぞれが好きなようにやってるだけなんだけど。サンコン、僕、ジョンB、エンジニアがやりたいことを妥協せずやってるし、「サンコンがこんな感じだから、合わせよう」みたいなことがない。もう大人だからケンカもしないし。

サンコン:そうやね。

トータス:尊重もするし、我も出すというか。でも、ちゃんと調和してる……いや、調和はしてないとも言えるか。

ジョンB:調和してないね(笑)。調和しすぎるとバンドにならないと思うんですよ。デコボコしてて、ちょっとヘンだったとしても、それが「らしい音やね」ってことになるので。(メンバーに対して)それはイヤやなって思うこともないし、もともと価値観が似てるところがある上に、バンドを続けるなかで近づいている部分もあるやろうし。

トータス:若いときはスタジオのなかがギスギスすることもあったけど、それは自分のことがわかってなかったからなんですよね。自分がどうすればいいかわからなくて、闇雲に「なんか違うねんなあ」って悩んでただけというか。

ーー今の状況が一番いいのかもしれませんね。そして11月からは全国ツアー『ウルフルズ 30周年ツアー 2022-2023 〜楽しいお仕事演奏会〜』がスタートします。

ジョンB:アルバムのツアーなので、今のウルフルズを見てもらいたいですね。僕らも新鮮に演奏できるやろうし、楽しんでやりたいです。

トータス:自由度が高い曲が多いんですよ、このアルバム。サイズ通りに演奏するだけじゃなくて、尺を伸ばしたりもできそうやし。お客さんもマスク着用だったり、コール&レスポンスできないとかもあるけど、一緒に歌ってるような気になれるライブにしたいです。

ーーアルバム『楽しいお仕事愛好会』によって、ライブもさらに活性化されそうですよね。もっと先に進んでいける、というエンジンになるのでは?

トータス:そうやなあ……。アルバムが完成したときは毎回、「もうできん」と思うんですよ。それくらいまで振り絞るし、とことんやりきるので。今回のアルバムもそうで、今の段階では真っ白です(笑)。まあ、ライブをやることで見えてくることもあるだろうし、焦らず待ってますよ。

サンコン:うん。人前で演奏することで、真っ白なところに色がついてくるというか。今までもそうだったんで。

トータス:何も出てこなかったらカバーやればいいもんね(笑)。The Rolling Stonesのカバーアルバム(『Blue & Lonesome』/2016年)とか、かっこいいでしょ。若い頃から好きだったブルースを楽しそうに演奏してて。やっぱりセンスええなって思いますね。

ウルフルズ 30周年を祝う全国ホールツアー開催!!!

■リリース情報
ウルフルズ『楽しいお仕事愛好会』
11月9日(水)リリース
・初回限定盤(CD+Blu-ray):¥5,940税込
・初回限定盤(CD+DVD) :¥5,280税込
・通常盤(CD):¥3,300税込

<CD収録楽曲>
01 ツーベーコーベー
02 よんでコールミー
03 楽しいお仕事愛好会
04 踊れ
05 きみんちのイヌ
06 アイズ
07 サンシャインじゃない?
08 コミコミ
09 黒田の子守唄
10 グッゴー! 
11 ゾウはネズミ色
12 続けるズのテーマ

<Blu-ray / DVD収録内容(初回限定盤のみ)>
・STUDIO SESSION 『楽しいお仕事セッション会』
ツーベーコーベー
ゾウはネズミ色
楽しいお仕事愛好会
よんでコールミー
アイズ
タタカエブリバディ
サンシャインじゃない?
・ズ盤 ザ・ムービー『ズ盤のZoo版』
第1話 “ガッツだぜ!! V”
第2話 “借金大王 V”
第3話 “年齢不詳の妙な女 V”
第4話 “愛してる V”
第5話 “あそぼう V”
第6話 “歌 V”
第7話 “相愛 V”
第8話 “僕の人生の今は何章目ぐらいだろう V”
第9話 “ええねん V”
第10話 “タタカエブリバディ”

■ツアー概要
『ウルフルズ 30周年ツアー 2022-2023 ~楽しいお仕事演奏会~』
 2022年
11月9日(水)埼玉・三郷市文化会館 大ホール OPEN 17:30 / START 18:30
11月13日(日)京都・文化パルク城陽 プラムホール OPEN 17:00 / START 18:00
11月16日(水)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール OPEN 17:30 / START 18:30
12月2日(金)千葉・君津市民文化ホール 大ホール OPEN 17:30 / START 18:30
12月9日(金)静岡・三島市民文化会館(ゆうゆうホール) 大ホール OPEN 17:30 / START 18:30
12月15日(木)愛知・名古屋市公会堂 OPEN 17:30 / START 18:30
12月17日(土)宮城・仙台電力ホール OPEN 17:00 / START 18:00
12月21日(水)神奈川・厚木市文化会館 大ホール OPEN 17:30 / START 18:30
12月25日(日)北海道・道新ホール OPEN 17:00 / START 18:00
12月31日(土)大阪・フェスティバルホール OPEN 17:00 / START 18:00
2023年
1月5日(木)福岡・ももちパレス OPEN 17:30 / START 18:30
1月7日(土)富山・クロスランドおやべ メインホール OPEN 17:00 / START 18:00
1月9日(月・祝)広島・JMSアステールプラザ 大ホール OPEN 17:00 / START 18:00
1月13日(金)東京・中野サンプラザホール OPEN 17:30 / START 18:30

<ゲストミュージシャン>
Gt.桜井秀俊(真心ブラザーズ) / Key.浦清英

<チケット料金>
通常席:8,000円(税込)
プレミアム席:9,000円(税込)各会場、前から4列目まで
※全席指定
※3歳以下入場不可、4歳以上~12歳まで保護者同伴のうえ入場可

ツアー特設サイト

ウルフルズ 公式HP

関連記事