2022.09.22 18:00

Midnight Grand Orchestraの快進撃が止まらない　タイアップソング「Moonlightspeed」も好調、広がり見せる活躍

文＝田中久勝、画像提供＝©︎ VIA/TOY'S FACTORY , ©︎ 2016 COVER Corp.

　彗星の如く姿を現し、音楽シーンで一躍注目の存在となったホロライブ所属のVTuber・星街すいせいと、サウンドプロデューサー／コンポーザー／DJのTAKU INOUEによるプロジェクト“ミドグラ”ことMidnight Grand Orchestraの快進撃が止まらない。9月14日に配信リリースした「Moonlightspeed」はモスバーガーの新商品「月見フォカッチャ」のタイアップソングとして書き下ろした楽曲で、商品名にもなっている月をコンセプトにした、ミドグラの専売特許とでもいうべき、疾走感と重厚感が印象的なオーケストラパンクソングだ。〈光速じゃ足りない〉という星街の歌い出しから“もっていかれる”。その世界に引きずり込まれたら、そこには広い空間が広がり、まるで暗闇を引き裂く光に導かれ前に進んでいくような昂揚感に包まれる。それはTAKU INOUEがデザインする奥行きのあるサウンドと、星街のスリリングかつエキサイティングな中に、優しさを感じるボーカルとが相まってできる熱、独特の空気感と温度感がそう感じさせてくれる。二人は「月見フォカッチャ」のWEB CMにも出演。こちらも注目が集まっている。iTunes総合9位、J-POP5位、moraハイレゾ1位とチャートアクションも好調だ。

Midnight Grand Orchestra『Moonlightspeed』Music Video

MIDNIGHT GRAND MOS BURGER 本編

　突如として音楽シーンに登場したミドグラは、2022年4月13日に1stデジタルシングル「SOS」をリリース。四つ打ちのビートにストリングスと生ドラムをフィーチャーしたサウンド、そして星街の圧倒的なボーカルパワーとテクニックに、一聴して衝撃を受けた人が多いはずだ。そしてMVの監督は大野悟、キャラクターデザイン・アニメーションにhmngを迎え、ミドグラのキービジュアルのサイバーパンクを感じさせる宇宙都市を舞台にしたSFワールド全開のMVと相まって、構築美溢れるその世界観に引き込まれる人が続出した。7月27日には1stミニアルバム『Overture』を発売。各デジタルチャートを席巻したこの作品は、TAKU INOUEのコンセプチュアルで斬新な音世界が提示され、エレクトロニックポップを起点にディスコチューンからミドルチューンまで楽しませてくれる。そこにどんなタイプの曲でも星街独自の歌でフックを作り、歌がサウンドを煽り、サウンドが歌を煽り、結果的にものすごい熱量の音楽が生まれている。どの曲も音数は多いはずなのに、音がまとまり、どこかスッキリと存在感を感じさせながら聴こえてくる感覚は、現代を意識したものだろうか。

Midnight Grand Orchestra「SOS」MUSIC VIDEO

Midnight Grand Orchestra『Highway』Music Video

　その熱量をダイレクトに伝えたのが、8月20日に行なった初のバーチャルライブ『Overture』だ。星街は高低差の激しい歌声で、TAKU INOUEが作り上げたサウンドをさらに彩り、彩られ、リスナーの元に強いアタックで届けた。tepe（Gt）、永山ひろなお（Key）、CHICA（Vn）、杉野裕（Vn）、細川亜維子（Vi）、篠崎由紀（Ce）、bobo（Dr）、山本真央樹（Dr）という、オーケストラという名にふさわしい凄腕ミュージシャンが揃ったバンドが作りだすアンサンブルが、TAKU INOUEが理想とする音像を作りだす、大きな役割を担っているのは明白だ。ライブで星街は「これからどんなことができるのか？　私たち自身も楽しみだし、注目しててください！」と語っていたが、それはリスナーの思いでもあり、その可能性と期待値をさらに高めてくれるライブだった。

Midnight Grand Orchestra 1st LIVE『Overture』【冒頭無料配信】

　ミドグラはまだ走り出したばかりだが、そのクリエイティビティには各方面からすでに大きな注目が集まっている。2人が音楽を鳴らす宇宙都市空間の中で、次はどんな“刺激”を与えてくれるのか、そしてその壮大かつ美麗で、感情を大いにくすぐるオーケストラサウンドとエレクトロポップが融合した音像は、すでに“安心”のクオリティを感じさせてくれている。刺激と安心を駆使しながら、次はどんな世界にいざなってくれるのか。噂が噂を呼び、どんどん広がりを見せるミドグラとその作品。今回のモスバーガーとの初コラボを機に、さらにシーンにミドグラの名前と音楽が響いていきそうだ。