SPEEDが鮮烈デビュー、「Body & Soul」で世間に与えた元気 みんなが聴いた平成ヒット曲第5回

ギャル文化隆盛の一方で大人たちとの断絶も

 また同年11月にはポケットサイズの電子ゲーム「たまごっち」が発売され、こちらも10代が火つけ役となって爆発的セールスを誇った。学校の教室では、「たまごっち」の通知音があちこちで鳴り響き、学校によっては先生が没収したり持ち込み禁止などの措置がとられたりした。品切れ続出でプレミア化し、ついには「たまごっち狩り」という犯罪行為まで起きる事態に。

 そんなギャル文化の隆盛とともに、少女たちによる援助交際問題も表面化。同年10月には黒沼克史による書籍『援助交際 女子中高生の危険な放課後』(文藝春秋)が刊行。少女たちが援助交際に走る理由について黒沼が取材した同著も反響を呼び、「援助交際」は年末の流行語大賞のトップテンにもランクインした。

 1996年はこのように、ティーンカルチャーが世の中を席巻した。一方で大人は「イマドキの若者は分からない」と背中を向けることも増え、少年少女と断絶しかかった印象もある。当時の社会的な課題は、その両者があらためてどう接近するかだったように思える。その試みとしてあげられるのが、翌年より放送開始のV6、みのもんたらが出演したバラエティ番組『学校へ行こう!』(TBS系)などだったのではないか。

 そんな1996年前後をいまこうやって振り返ってみると、10代の声がクローズアップされたその時代に、ローティングループのSPEEDがデビューし、そしてヒットしたのは決して偶然ではないように思える。

※1:1996年9月16日付チャート

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