Sou、コロナ禍初の有観客ライブで直接伝えたメッセージ　映像とリアルが融合する演出も

　ミドルテンポの「ぎみぎみ」で会場をゆったりとした空気に包むと、Souは衣装替えのため一旦ステージから姿を消し、その間にバンドメンバーが激しいソロとセッションでオーディエンスを盛り上げる。そのまま「スパークバグ」のイントロになだれ込むと、激しいロックサウンドと会場の熱気に呼応するように、Souの歌声も一層力強く突き抜けるようなハイトーンボイスとなった。爽やかに駆け出していくような「ワンダーライフ」、桜色の照明が映える「sakura breeze」と続く。アップテンポな楽曲でのはつらつとした歌声も魅力だが、一方で〈今までよく頑張ったよね〉と語りかけるように歌った「ハレハレヤ」や、ふり絞るような歌声で痛みや葛藤、愛情といった歌詞の感情をダイレクトに伝えた「心做し」のバラード2曲では、アッパーな楽曲に匹敵する存在感でオーディエンスを引き込んだ。

　「次で最後の曲です。寂しい気持ちもあるけど、終わりがないと楽しいとかっていう気持ちもないと思うから」と惜しみつつ、「応援してくれるみんなのおかげで晴れ舞台に立つことができています。次にやる曲があるのも、応援してきてくれたみんなのおかげです」と憧れの存在だったという川谷絵音が作詞曲を担当した「常夜灯」へ。これまで「ラグランジュ」や「スパークバグ」でも高めの音域を張り上げるような歌声に魅力があると感じたが、まさにそれを活かすような音域の叙情的な楽曲。ファルセットも交えながら、丁寧に歌い上げた。

　アンコールに応え再登場したSouは、「神っぽいな」、「ミスターフィクサー」を披露。「野菜いっぱい食べて体調管理しっかりして、強く生きましょう」とメッセージを伝えると、〈あーいますぐ逢いたいなって〉と再会を誓うように「惑星ループ」を明るく歌う。そのまま「チューリングラブ」に続き、ステージ後方で流れるMVに合わせて手振りも交えながら、一体感のある明るいステージを作り上げた。

　最後には「まだまだこれからも頑張っていきます。ありがとう！」と感謝を伝えたSou。彼にとっての久々の有観客ライブは、歌やメッセージを直接届け、オーディエンスとともに時間を過ごした、幸福感に満ちた公演となった。