風男塾、“初志貫徹”して歴代メンバーたちから受け継ぐ思い 来たる15周年への期待も高まったワンマンレポ

 2007年の始動以降、“人を元気にする”をモットーに活動を続け、今年9月に15周年を迎える男装グループ 風男塾。今年5月に新メンバー4人を迎え、7人体制となった彼らが、8月13日に渋谷・duo MUSIC EXCHANGEにて、ワンマンライブ『風男塾 LIVE 2022 ~初志貫徹~』を開催した。本公演には、現在休養中の胡桃沢鼓太郎を除く、柚希関汰、英城凛空、葉崎アラン、赤星良宗、天堂太陽、凰紫丈源の6人が登場。ニコニコ生放送でもその模様が配信された。本稿では、2部構成で行われた公演のうち、嬉しい発表に会場が沸いた1部の模様をお届けする。

 開演に先立ち、1部の影アナウンスを担当したのは、いつも元気な告知担当・凛空。今年3月に出演した舞台で鍛えられた美声と滑舌の良さで、ハキハキとアナウンスする様子が頼もしい。だが、途中からは盛大に噛んだり、泣きの演技を見せたりと、猛スピードでボケに走っていく凛空に、客席からも思わず笑い声が漏れる。その勢いに乗って、dreamBoat研究生の梨人、永牙、吟華、翔琉、友夢、響玖によるオープニングアクトへ。フレッシュなメンバーたちは、先輩・風男塾の楽曲である「テノナルホウヘ」と「男装レボリューション」をエネルギッシュに歌い踊り、メインステージにバトンを繋いだ。

 かつては自身も研究生として活動していた、しっかり者・太陽の影アナウンスを挟み、本編は2008年にリリースされた“腐男塾”のデビュー曲「男坂」からスタート。刀を片手に登場した6人は、“初志貫徹”(=最初に決めた志を最後まで貫き通す)と冠したライブにふさわしい風男塾の始まりの歌を芯の強い歌声で歌い上げ、歴代メンバーたちから受け継いだ男気を見せつける。曲中には当時の演出と同じく、舞台さながらの台詞パートや殺陣もあり、中でも「カメレオンアーティストになりたい」と語る(※1)丈源の豊かな表情と台詞回しが、今後への期待を煽った。

 続いて、関汰が「この曲は、俺たちメンバーが同じ時を過ごしているということだけなく、こうして応援してくださっている皆さまに出会えたこと、今この瞬間を共にしているという意味を教えてくれました」と言い添えたのは、風男塾の代表曲「同じ時代に生まれた若者たち」。安定感と説得力が増したボーカルを響かせながら、全力で突き上げる拳。風王(風男塾ファンの総称。ヨミ:ファン)に目線を合わせながら語りかけるように歌う姿など、今この瞬間を風王の心に刻み付けるため、熱く丁寧にパフォーマンスする姿から目が離せない。5月に行われた新体制お披露目ライブ『風男塾 LIVE 2022 ~RESUME~』よりも、メンバー1人ひとりの存在を大きく感じたのは、この3カ月彼らが積み重ねた努力の証であり、画面越しに公演を見守っている鼓太郎への深い愛情があってこそだろう。

 MCで関汰が「今回のライブは、風男塾を知らない方にも、グループが15年間このようなことをやってきたんだとわかるような内容になっています。15周年を迎える前に、より風男塾のことを理解していただけたら嬉しいです」と呼びかけたように、15年の歴史を楽曲で辿るセットリストとなっていた本公演。歌い出しを担う良宗は「2011年、腐男塾は“風”の風男塾となり、新たな物語を歩んでいきます」と語ると、風男塾初のラブソング「Love Spider」を、風王に慈しむような眼差しを向けながら歌い始めた。また、ライブ当日に誕生日を迎え、いちだんと色気を増したアランは、切々とした歌声と表情で一途すぎる恋心を見事に表現。多彩なフォーメーションで魅せた同曲に対し、次に披露した「風一揆」では、ダイナミックなユニゾンダンスで、一丸となって突き進んでいく風男塾のスタンスを示した。

英城凛空

 本編中盤には、2012年に始まった企画“モテモテ劇場”も展開された。同企画は、風男塾メンバーがホストを務める『CLUB風男塾』内で、お客様にモテ気分を味わってもらうため、シャンパンコールのような形で寸劇が繰り広げられるというもの。通常のライブではVTRが上映されていたのだが、著名人を相手に行ったところ大きな話題を呼び、バラエティセンスの高い風男塾らしい人気企画に育っていった。そのため、風男塾の歴史を語る上では欠かせないとして、現メンバーも手探りながら挑戦することに。やたらと声の大きな凛空の「“モテたい”入りました~!」を合図に、逆指名した観客の名前を当てはめたコールで盛り上げると、「モテモテ劇場:変なクセの巻」と題して、メンバーたちは自分のクセを明かしていく。そしてオチを務めたのは、やはりこの人、アラン。「1つ上にするのがクセ」とミステリアスな発言をした彼が、「クの上はキ、セの上はス。つまりキス!」とセクシーな投げキッスを決めると、温かい拍手がステージを包み込んだ。

 さらに、さまざまなクリエイターや著名人とコラボレーションしていた2013~2014年を振り返り、air:manが振付を手がけた「人生わははっ!」、日本相撲協会初の公認ソング「RIKISHI-MAN」、漫画家の浦沢直樹氏がジャケットを手がけた「BE HERO」を立て続けに披露。同時期には「男装レボリューション」や「チェンメン天国」といったエンタメ性の高い楽曲もリリースされており、“風男塾にしか歌えない歌”を極めることでますます人気が上昇したのがこの頃だろう。ちなみに、今年4月に、同じくduo MUSIC EXCHANGEで開催された『神那橙摩・偉舞喜雅 卒業公演「I’m always on your side.」』では、力士の着ぐるみ姿で「RIKISHI-MAN」を披露していた関汰・凛空・アランだったが、新衣装で同曲をパフォーマンスする6人の姿はスタイリッシュで、まるで違う曲のような仕上がりに。“風男塾にしか歌えない歌”でありながらも、時代によって異なるカラーで楽曲を楽しめるのがこのグループの魅力で、それだけ個性の強いメンバーたちが風男塾の歴史を作ってきたのだと、改めて感じた瞬間でもあった。

 2013年には、COWCOWの“あたりまえ体操”がブームとなり、風男塾も“おとこまえ体操”を生み出した。そんな先輩たちの足跡を辿って、新生 風男塾も“おとこまえ体操”に挑戦。「優しい言葉を一声かければハーレム」というフレーズに合わせて、太陽がドヤ顔でハーレムを形成するなど、クセの強い“男前あるある”で笑いを誘う。無言でボケ続けるメンバーと、同じく無言で拍手を送る風王が生み出す、あまりにもシュールすぎる状況に、ニコニコ生放送のコメント欄に困惑の声が寄せられる中、「今度は鼓太郎くんも一緒に、ちゃんとポロシャツを着てやろう!」とはしゃぐメンバーたち。後のMCで太陽は「まだまだ初めてのことが多くて、かなり緊張した状態でのライブになってしまった」と語っていたが、“鋼のメンタル”とは、きっと彼らのことだろう。

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