大塚 愛、一生懸命でガムシャラだった19年 感謝を伝える『LOVE IS BORN』開催前に振り返る

デビューから19年、この世界で生きていこうとガムシャラだった

ーーデビューしてすぐに『Popteen』、『SEDA』など女性誌の表紙に抜擢されたり、『Zipper』で連載を持つようになったり。2005年には、フジテレビとavexが制作したドラマ『東京フレンズ』の主演も務めました。2000年代は大塚 愛というアーティストが若者のアイコンになっていました。

大塚:どうしても見た目に世間のイメージが引っ張られるところがあって。それが自分のしんどい部分になっていくんですよね。当時のマネージャーに「玄関を開けたら大塚 愛なんだよ」って言われていたし、「正しくいなきゃいけない」みたいなことが自分の中で重くのしかかって。辛い時期ではありましたね。

ーー10thシングルの表題曲「プラネタリウム」は、大塚さんの人気を決定づけた1曲だと思います。手応えや、あの曲によって変わったところはありますか?

大塚:当時「プラネタリウム」は、私の好きな方向性ではなかったんですよ。だけど、そこは割り切って「世の中に好まれるだろうな」と思って作ったんです。自分が好きな音楽かと聞かれたら全然関係ない。どちらかというと、ちょっとマイナーな曲が好きなんです。

ーー実際「プラネタリウム」は、大塚さんが2005年に発売したシングルでは最大の売り上げを記録しました。

大塚:「プラネタリウム」が思ったように受け入れられて「じゃあ、今度はそれをずっと歌っていくのか」となったときに、この曲は何がいいんだろう、みたいな壁にしばらくぶち当たっていましたね。ここ数年かもしれないです。「あ、いい曲だな」とようやく思えるようになったのは(笑)。

ーーちなみに1stシングル『桃ノ花ビラ』から10thシングル『プラネタリウム』までは、デビュー時からリリースする順番を決めていたそうですね。

大塚:当時はシングルを3枚出してからアルバム1枚を出すのがスタンダードだったんです。その法則に当てはめたときに、アルバムは自分の幅広さを1枚で見せられるからいいけど、シングルの場合は1枚1枚で勝負していく。大塚 愛のイメージが1曲に固まってしまわないように、自分の中で配慮をしていて。シングル3枚でなるべくジャンルが違うものを置こうと思って、リリースの順番を考えていましたね。

ーーそのプロデュース脳って、いつ培ったものなんですか?

大塚:昔から周りの人間にけなされて育ってきて、褒めてくれていたのは親だけだったんです。周囲の人から否定される中で「私なんていなくなってしまえばいい」に行かず、。「じゃあ、どうすれば見返してやれるのか?」に走った。それが一番大きいですね。逆に、みんなから褒められていたらこうはならなかった。自分を客観的に見て「救ってあげなきゃ」と思い、勝つための思考に走ったのが大きいと思います。

ーー「プラネタリウム」も収録されている3rdアルバム『LOVE COOK』のときが一番苦しかったとか。

大塚:「さくらんぼ」がヒットして喜んでいたら、だんだんアッパーな曲ばかりが注目されるようになり、自分の意図とは違うなっていう負担が、ちょうど『LOVE COOK』で見え始めたんです。当時、マネージャーさんは世間からの見え方を肯定的に伝えてくれてましたけど、自分は「そうじゃないんだ!」の連続でしたね。

ーー僕の中で、大塚さんのイメージが大きく変わったのは4thアルバム『LOVE PiECE』のリード曲「クムリウタ」だったんですよ。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で初めて聴いたときに、これまでの印象が一新されたというか。

大塚:私は時間があるときに曲を作るよりも、家を出る10分前に曲を思いつくタイプなんです。「クムリウタ」はまさにそれで、仕事に行かなきゃいけない直前に思いついた。その場で走り書きというか、殴り書きで歌詞を書いたんです。あの頃、色々つまずいていた時期で。そのときの追い詰められた感情を、そのまま吐き出した曲なんですよね。

ーーこれまでのシングルで見せてきた路線とは違う類の曲ですよね。素顔の大塚 愛を感じるというか。

大塚:うん、私の好きなマイナーラインなんですよね。本当はシングルで出せれば「自分が好きな音楽ってこういうものなんだ」と提示できるんだけど、そこはプロデューサー目線の方が強いので出さなかった。だけど『LOVE PiECE』はシングル曲が多い中、どうしても「クムリウタ」を推したいとレコード会社に言ったから『Mステ』で歌わせてもらったんです。 

ーー前作から6年ぶりのリリースとなった2014年の6thアルバム『LOVE FANTASTIC』以降から、大塚さんの書く楽曲の幅がより広くなった気がしました。

大塚:それまではヒット曲が出るならば、自分はどんな風に捉えられても構わないって姿勢だったんです。いわば、自分を無視して走り続けてきた。でもそうして追い込まれることに疲れちゃって。それで1回お休みをしたんですよね。復帰するときに「じゃあ、ここからはなぜ続けるのか?」の明確な理由が必要だと思った。それまで無視してきた自分を、もうちょっと大事にしよう、そして自分が好きな音楽をやっていこうと。ただ、自分が好きなものはシングル向きじゃないので、もしかしたら受け入れられないかもしれない、というリスクもありました。でも1回活動を止めちゃったし、それでもいいか、と吹っ切れたところもあって。今後は自分が好きな音楽をやっていこう、もっと自分を好きになろうと思ったんですね。

ーー去年リリースした9thアルバム『LOVE POP』は驚きました。ここにきてタイトルに「POP」をつけたこともそうですし、楽曲をポップネスに振り切ったことも含めて、ポップアーティストとしての看板を背負ったように感じました。

大塚:大人になったんですね。5枚目『LOVE LETTER』までの自分に対する嫌悪感から、「もう、そういうのはやらないんだ」って自由な方向に走って行った。でも、その過去の自分があってこその今の自分でもあるし、それは皆さんがいいねって言ってくれたところでもある。これまでの大衆的なポップという長所と、自分が好きな音楽性をミックスできたのが『LOVE POP』でしたね。

ーー『LOVE POP』の中で、特に面白いのが「GO」だと思っていて。

大塚:「GO」のときは色々とバタバタしていて、そのままの思いが全部出た。まさに「クムリウタ」的な作り方でしたね。

ーーこれまでの心情を吐露しているようにも感じるし、大塚さん自身の人生観もすごく投影されていると思ったんです。

大塚:「GO」は自己肯定の曲なんですよね。それまで自己肯定感があまりに低かったので、それをやっと手に入れた。油絵を始めたことが大きかったですね。

ーーだから〈そう人生は 油絵みたいなもんだ〉ってフレーズが出てくるんですね。油絵を始めたきっかけって何だったんですか?

大塚:人から道具をもらったんです。最初は面倒くさそうだなと思ったんですけど、美術の先生にやり方を聞いてトライしました。いざ、やってみたら曲作りとは反対の作業なんですね。油絵は塗り重ねて初めて絵の深みが出るので、自分の色々な経験が後々効いてくるっていう自己肯定の作業だったんです。

ーー面白いですね。

大塚:さらに面白いのが、油絵って一度描き始めると止めどきがわからないんですよ。どこで終わりなのかがわからない。「クムリウタ」もそうなんですよね。しんどいのはゴールだからしんどいんじゃなくて、途中経過だからしんどいんだなって。「GO」も途中経過だからしんどいし、未来がぼやけてわかんないんですよ。

ーーそれで〈今はまだボヤける のが辛い〉という歌詞に繋がると。そして、ボヤけないためには途中で描くのを止めないってことですね。

大塚:そうなんです。描いてる途中で「失敗した、この色は要らなかったな」と思ったとき、先生に「そんなの上から塗り潰しちゃえばいいじゃん。大丈夫、大丈夫」って言われたんです。失敗したと思っても上から塗りつぶせばいい。その間違えた色は傷になるのかっていうと、そうじゃなくて色を重ねていくうちに深みになっていく。そう思ったときに、別に失敗してもいいんだな、と思えるようになったんです。

ーーその境地に行けたら、人生でマイナスなことが起きてもプラスに受け取れますね。

大塚:(深くうなずいて)うんうん、そうなんですよね。

ーーちなみに音楽活動のターニングポイントって、どの場面が浮かびますか?

大塚:やっぱり「さくらんぼ」で人生が変わりましたよね。それは間違いない。

ーーメジャーデビュー19周年を言葉にすると、どんな表現がしっくりきますか?

大塚:本当にラッキーでしかないです。あとは一生懸命だったし、必死だった。この世界で生きていこうとガムシャラだった19年でした。

ーー最後に改めて『LOVE IS BORN ~19th Anniversary 2022~』の意気込みをお願いします。

大塚:まだ状況が安定しない中で、みんなが会場まで足を運ぶリスクだったりとか、色々な制限がありながらの開催になります。ですが、来れない人の分まで、画面を通して、いつも以上に感謝できる1日になればと思います。

■放送情報
「LOVE IS BORN 2022」生中継記念!大塚 愛スペシャル
生中継!大塚 愛 LOVE IS BORN ~19th Anniversary 2022~
2022年9月11日(日)17:00〜
収録日:2022年9月11日/収録場所:東京 日比谷野外大音楽堂

大塚 愛 LOVE IS BORN〜4th Anniversary 2007〜
2022年9月9日(金)21:00〜
収録日:2007年9月9日/収録場所:東京 日比谷野外大音楽堂

WOWOWプラス番組情報:https://bit.ly/3aUWoh9
WOWOWプラス視聴方法:https://www.wowowplus.jp/howto/
WOWOWプラス公式サイト:https://www.wowowplus.jp/

■リリース情報
大塚 愛
『LOVE POP TOUR 2022~もろこし振ったらもろ腰にきた!~』
2022年9月7日発売
※FCショップ・mu-moショップ・会場専売商品
予約:https://asab.lnk.to/aio_LovePopTour2022_dvd

DVD+DVD+CD(スマプラフォト対応)¥9,999(税抜)
Blu-ray+DVD+CD(スマプラフォト対応)¥9,999(税抜)
CD3枚組 ¥3,999(税抜)

【DVD+DVD+CDおよびBlu-ray+DVD+CD共通】
<LIVE DVD/Blu-ray収録内容>
「LOVE POP TOUR 2022~もろこし振ったらもろ腰にきた!~」ライブ映像
Chime / あいびき / Mr.lover / 本マグロ中トロ三〇〇円(緑色) / プラネタリウム / LOVE MUSiC / 濡れる花 / 星空レコード / デメネコパラダイス / ラーメン3分クッキング / なんだっけ / 片想いダイヤル / サンタにkissをして / ネコに風船 / GO / 恋フル / さくらんぼ(Encore)/ ドラセナ(Bonus)
BONUS:ai otsuka Audio Commentary

<特典DVD収録内容>
恋フル -Music Video-
恋フル -Making Video-
特典映像 〜LOVE POP TOUR 2022 AFTER PARTY〜

<CD収録内容>
『AIO CLASSIC』ライブ音源
1. ドラセナ
2. I ♡ ×××
3. Mr.lover
4. 金魚花火
5. 恋愛写真
6. プラネタリウム
7. キミにカエル。
8. Re:NAME
9. end and and 〜10,000 hearts〜
10. 濡れる花
11. ポケット(Encore)
12. サンタにkissをして(Encore)

<CD3枚組 収録内容>
『LOVE POP TOUR 2022~もろこし振ったらもろ腰にきた!~』ライブ音源(CD-1)
1. Chime
2. あいびき
3. Mr.lover
4. 本マグロ中トロ三〇〇円(緑色)
5. プラネタリウム
6. LOVE MUSiC
7. 濡れる花
8. 星空レコード
9. デメネコパラダイス
10. ラーメン3分クッキング

『LOVE POP TOUR 2022~もろこし振ったらもろ腰にきた!~』ライブ音源(CD-2)
1. なんだっけ
2. 片想いダイヤル
3. サンタにkissをして
4. ネコに風船
5. GO
6. 恋フル
7. さくらんぼ(Encore)
8. ドラセナ(Bonus)

『AIO CLASSIC』ライブ音源(CD-3)
1. ドラセナ
2. I ♡ ×××
3. Mr.lover
4. 金魚花火
5. 恋愛写真
6. プラネタリウム
7. キミにカエル。
8. Re:NAME
9. end and and 〜10,000 hearts〜
10. 濡れる花
11. ポケット(Encore)
12. サンタにkissをして(Encore)

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