Snow Man 岩本照のバランス感覚の良さ 内側からにじみ出る“自信”が全てに与える説得力

 Snow ManのCDデビューが発表された記念日である8月8日、今年は2ndアルバム『Snow Labo. S2』の発売、全国8都市を巡るツアー『Snow Man LIVE TOUR 2022 Labo.』の開催がアナウンスされた。アルバムの内容がどのようなものになるのか、先んじてグループのYouTubeチャンネルにアップされていた「Snow Man なんだこれ!?」と題された謎の動画など、気になるトピックは様々あるが、ファンの間ではやはりツアーへの期待が一段と高まっている。音楽番組への出演やYouTube動画などを通して、日頃よりあらゆるかたちでパフォーマンスを届けているSnow Man。しかし彼らの本当の魅力を知るためには、ぜひライブを観ることをおすすめしたい。

 そこで、リアルサウンドでは、昨年に開催され、今年5月に映像作品としてリリースされた『Snow Man LIVE TOUR 2021 Mania』をもとに、メンバー一人ひとりの個性やパフォーマンスにフォーカスする短期連載をスタート。第1回は岩本照。(編集部)

岩本照のパフォーマンスにおける“Mania”なポイント

 主観性と客観性、ステージに立つパフォーマーと全体を見渡すディレクター、相反する二つの要素が実に絶妙なバランスで成り立っている人。それが、Snow Manのリーダー・岩本照への印象である。

 岩本を見ていて感じるのが、踊っている時でもステージの移動中でも、ふとした瞬間に見せる表情や仕草に常に余裕があり、そしてそのどれもが実にさまになっているということ。これは、表情管理が得意だとか、鏡の前で無数に練習を重ねたとか、そういう作り込んだもので出てくるものではなく、もっと内側からにじみ出るような自信が、彼の立ち振る舞いのすべてに説得力を与えているように感じる。

 「Party! Party! Party!」、「Crazy F-R-E-S-H Beat」、「Infighter」、「REFRESH」など、デビュー以前から現在に至るまで、Snow Manのいくつもの楽曲の振付を担当してきた岩本。繊細さと見る者に引っ掛かりを与えるユニークなコレオグラフで、ファンのみならずダンサーや振付師からも評価を得ている。『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)に出演した際、岩本が語った自らの振付の手法もとても興味深いものだった。

 例えば、「Crazy F-R-E-S-H Beat」には「パーティーに憧れる内気な男の子が、ある日目覚めるとVRの世界にいた」という設定があると説明。楽曲冒頭の顔の横に手を置き、ぐるりと頭を回す振付は、VRゴーグルで周囲を見渡している表現なのだという。このように、まずストーリーをつくり、それをもとに振付を考えている点や、メンバーに動きを説明する際に“銃弾が水の中に入った時に失速するイメージ”のように表現するところから、感性で物事を捉えている人であることが垣間見える。

Snow Man「Crazy F-R-E-S-H Beat」Dance Video (YouTube Ver.)

 それゆえに、完全感覚派のアーティスト気質なのかと思いきや、一歩引いた俯瞰の目線を同時に持ち合わせているのが岩本のおもしろいところで、振付を作る時は踊りながらではなく、まず「踊っている自分達」と「それを見ている人」を想像しながら落とし込んでいくのだという。「自分がこうしたいから」「これが良いと思うから」のみで突っ走るのではなく、それが外側からどう見えるのか、見た人にどういう感情を与えたいのかを客観視し、それを感性とうまく調和させられるところが、岩本のバランス感覚の良さを示している。

 岩本のそのスタンスはパフォーマンスにも表れている。彼のように感性の強い人間であれば、もっと自己主張するようなパフォーマンスになってもおかしくないようにも思うのだが、グループの中においての岩本のダンスはむしろ調和的である。岩本はどんなにハードなダンスでも、いつも飄々と軽やかに踊る。それは、高いダンススキルと鍛えた肉体によってなせるものなのだろうし、その安定感がグループでのパフォーマンスの背骨として機能する。自分自身を魅せることと同じように、集団でのパフォーマンスの美しさを重視しているからこそのものだろう。

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