小田和正、長きに渡り聴き手を魅了し続ける理由 オフコース時代からソロでの大ヒットまで、歌とサウンドの変遷を辿る
1982年の鈴木の脱退に伴う活動休止を経て、オフコースは4人体制で再出発する。さらに1986年に小田がソロデビューするあたりで重要なのは、コンピュータを音楽制作に取り入れたことである。小田は自ら取扱説明書を読むことから始め、機械と格闘する。何度でも自由なトライが許される環境のなか、俯瞰で作品を眺め、アレンジャーとしての腕前も上達していくのだ。「good times & bad times」あたりが、そんな作品だ。
「努力」。それは彼の信条だし、「頑張っていれば、必ずどこかで見ていてくれる人がいる」というのも、小田が信じてきた人生のセオリーだ。ソロアーティストとしての地歩を固めた「ラブ・ストーリーは突然に」の大ヒットにしても、決して偶然ではなく、必然だったのだ。
楽曲のことに限って書いてきたが、コンサートの活況に関わることでは、『LOOKING BACK』と題した90年代以降のセルフカバー企画も忘れられない。改めて真剣に、オフコース時代の作品をアレンジし直して歌ってみたことで、往年の楽曲を今の気持ちでライブのセットリストに加えられるようになったのだ。
その後の小田といえば、様々なタイアップにより新作を生んでいくことが日常化していく。興味深いのは、ドラマや映画やCMなどに合わせているようで、最後は紛れもない小田の楽曲になっていく点なのだ。
明治安田生命の企業CMソング「たしかなこと」は、今に繋がる彼の幅広い人気を後押しすることになるが、老若男女、誰もが身近に感じる切なさや愛しさを描いている。曲を書く際には、「時間をかけ、全体がじわじわ伝わる曲を目指した」と言っていたが（※3）、それを成し得たということはものすごいことである。新曲にも関わらず、そのような想いを反映させてスタンダードとして書き下ろしてみせたのだから。
以後、小田のもとにはテレビ界・映画界・企業・公共機関などから様々な楽曲依頼がひっきりなしに舞い込んで、それが本人を刺激し、程よいペースで作品が生まれ続けている。
最新作『early summer 2022』も、そんな中から誕生したアルバムだ。これまでのキャリアで培われた様々なスタイルが、曲のテーマごとに適材適所で活かされ、応用されている。どの楽曲も無理がなく、聴く者の心に染み込んでいく。小田のすごさを知りたければ、まずはこの最新作を聴いてみることをお勧めする。
※1：著書『小田和正インタビュ－ たしかなこと』（ソニー・マガジンズ）
※2：『月刊カドカワ』1991年6月号
※3：ベストアルバム『あの日 あの時』内冊子より
■リリース情報
小田和正『early summer 2022』
2022年6月15日（水）発売
3,300円（税込）
配信はこちら
＜収録曲＞
「風を待って」明治安田生命企業CM曲／連続ドラマ『遺留捜査』（テレビ朝日系）主題歌
「坂道を上って」映画『坂道のアポロン』主題歌
「小さな風景」連続ドラマ『遺留捜査』（テレビ朝日系）主題歌
「この道を」日曜劇場『ブラックぺアン』（TBS系）主題歌
「so far so good」NHKドラマ10『正直不動産』主題歌
「ナカマ」『ガイアの夜明け』（テレビ東京系）エンディングテーマ
「こんど、君と」NHK『みんなのうた 60』記念ソング
「この日のこと」音楽特番『クリスマスの約束』（TBS系）書き下ろし曲
「会いに行く」『めざましテレビ』（フジテレビ系）テーマソング
■ツアースケジュール
『明治安田生命 Presents Kazumasa Oda Tour 2022「こんど、君と」』
8月03日（水）東京：国立代々木競技場 第一体育館
8月04日（木）東京：国立代々木競技場 第一体育館
8月13日（土）沖縄：沖縄アリーナ
8月14日（日）沖縄：沖縄アリーナ
8月24日（水）広島：広島グリーンアリーナ
8月25日（木）広島：広島グリーンアリーナ
9月10日（土）愛媛：愛媛県武道館
9月11日（日）愛媛：愛媛県武道館
9月17日（土）福岡：マリンメッセ福岡A館
9月18日（日）福岡：マリンメッセ福岡A館
9月27日（火）神奈川：横浜アリーナ
9月28日（水）神奈川：横浜アリーナ
10月8日（土）愛知：ポートメッセなごや新第１展示館
10月9日（日）愛知：ポートメッセなごや新第１展示館
10月19日（水）埼玉：さいたまスーパーアリーナ
10月20日（木）埼玉：さいたまスーパーアリーナ
10月29日（土）神戸：ワールド記念ホール ※追加公演
10月30日（日）神戸：ワールド記念ホール ※追加公演
11月8日（火）神奈川：横浜アリーナ
11月9日（水）神奈川：横浜アリーナ
