『ハガレン』『ヒロアカ』『東京喰種』……アニメとともに高い海外人気を得た主題歌・テーマソングを振り返る
2022年4月クールのアニメ作品が大きな話題を呼んだことが記憶に新しい。なかでも『SPY×FAMILY』はオープニング主題歌がOfficial髭男dism「ミックスナッツ」、エンディング主題歌が星野源「喜劇」と、どちらもアニメと共に上半期のヒットソングとなった。『パリピ孔明』ではmihimaru GTの2006年の楽曲「気分上々↑↑」のカバー曲がエンディングテーマとして起用されたことが注目を集めた。7月からのアニメ作品ではCreepy Nutsの同名曲をタイトルに掲げた作品『よふかしのうた』にてオープニングテーマ、エンディングテーマ、挿入歌をCreepy Nutsが務めるなど音楽面でのトピックも尽きない。
今や日本のアニメーションはこの国の文化を語る上で欠かすことのできない存在となり、海外でも大きな評価を得ている。そんなアニメカルチャーの隆盛と共に、ジャパニーズポップスも海外で高い評価を得ている。上記した4月、7月クールのアニメ作品とそのテーマソングも海外のアニメファン・J-POPファンから注目を集めている。本稿では「国境を越えるアニメ×J-POP」をテーマに、アニメをきっかけに高い海外人気を得た主題歌・テーマソングを振り返りたい。
日本でポップスを主戦場としているアーティストを起用しながら海外でも高い人気を得るテーマソングを数多く輩出しているアニメ作品と言えば、まずは『鋼の錬金術師』だろう。ポルノグラフィティ「メリッサ」やL'Arc-en-Ciel「READY STEADY GO」、ASIAN KUNG-FU GENERATION「リライト」など、その後各バンドの代表曲となっていくような楽曲が顔を揃える。この3バンドはいずれもその後、海外でライブを開催しているが、どのバンドにおいても『鋼の錬金術師』の主題歌起用がその足掛かりのひとつであったことは間違いないだろう。
『鋼の錬金術師』同様、少年漫画原作のアニメ作品であれば『僕のヒーローアカデミア』の主題歌も海外人気が高い。特に米津玄師「ピースサイン」はYouTubeにおけるミュージックビデオの再生回数が2.5億回を記録しており、海外のファンからのコメントが現在進行形で数多く残されている。疾走感がドライブするロックチューンとヒーローになりたいともがく歌詞は『ヒロアカ』の世界観とも合致する。「ピースサイン」に限らず、作品の世界観と呼応する主題歌が海外でも親しまれているのは、海外ファンのアニメーションに対する熱い愛が故ではないだろうか。
ダークファンタジーとして実写映画も制作された『東京喰種 トーキョーグール』の主題歌も海外ファンからの高い評価を得ている。凛として時雨のボーカル&ギター、TKのソロプロジェクトであるTK from 凛として時雨の「katharsis」は、ピアノと弦楽器が織り成す淑やかな世界とTKの切り裂くようなギターを軸としたバンドサウンドが独特の暗然たるサウンドスケープを生み出す怪作。こちらもYouTubeで公開されているミュージックビデオを見てみると、その半数以上が海外のファンによるコメント。いかにこの楽曲が『東京喰種』と共に愛されているのかがわかる。