櫻坂46 森田ひかる&山﨑天、Wセンターに起用された意味 対照的な二人が体現した「摩擦係数」のメッセージ

異なる立場の2人の“協演”

 Wセンターの森田と山﨑は、どちらもシングル表題曲のセンターを経験している二期生であり、パフォーマンス面でもグループを牽引する存在だという共通点がある。しかし、これまでの発言や立ち位置を考えると、この2人は少々異なる立場なのが見えてくる。

 まず森田は、同グループが欅坂46から改名することが決まった時期のインタビューで以下のような本音を明かしていた。

「私は……本当に正直な気持ちを言うと、欅が歩んできた路線というか、系統は受け継いでいきたいです。もちろん、今までとまったく同じでは再出発する意味がないとは思うんですけど、欅坂46というグループが育んできたパフォーマンスに懸ける思いだったり熱量は、変わらずに大切にしていきたいなって」(『blt graph vol.58』より)

 こうした思いは、彼女がセンターに立つ楽曲にも表れている。森田はこれまでの櫻坂46のシングルすべて(カップリング曲含む)でセンターに立ち続けているが、彼女がセンターに立つ楽曲は一貫して力強くメッセージ性の強さが特徴だ。そしてそれは今回の「摩擦係数」にも存分に表れている。

 一方で山﨑が今までセンターに立った作品は、グループがそれまでに挑戦してこなかったようなタイプの楽曲が多い。「Buddies」や「思ったよりも寂しくない」、「五月雨よ」といった楽曲がそれである。森田とは対照的に、山﨑は様々な楽曲を歌うセンターなのだ。

 最近のインタビューでも山﨑は、森田との考え方の違いについて語っていた。

「私は逆に、『面白そうなら、何でもやってみたいな』っていう好奇心が強いので、実は2人(森田と藤吉夏鈴)の意見と合うことが、ほぼほぼないんです(笑)」(『blt graph vol.77』より)

 このように、グループの方向性について立場が分かれる2人が“協演”しているのが今回のWセンターなのである。

 十人十色のキャラクターが一つに集まっているのがアイドルグループの面白いところ。立場は違えど髪を振り乱しながら激しく踊る2人の様子は、このグループのモットーである“髪まで踊る”がまさに体現されたものである。

 今回抜擢されたWセンターの2人が同じポジションでぶつかり合って起こす“摩擦”こそが、今後の櫻坂46をより一層面白くさせていくだろう。

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