日向坂46、2度目のドキュメンタリーに描かれるものは? グループに対する“希望と絶望”の意味を考える

 日向坂46のドキュメンタリー映画 第2弾『希望と絶望 その涙を誰も知らない』(竹中優介監督)が7月8日に公開される。同作は“約束の地”東京ドーム公演の決定から、コロナ禍による2度の延期を乗り越え、今年3月に『日向坂46「3周年記念MEMORIAL LIVE ~3回目のひな誕祭~」in Tokyo Dome』を開催するまでの2年間に密着したドキュメンタリー。予告映像の冒頭でキャプテンの佐々木久美が「この2年間はあまり見てほしくない」と言うほど、コロナ禍での葛藤や不安、メンバーが休養した背景など、トップアイドルグループになってからの苦悩と喜びが描かれる、アイドルとしての虚像を壊すかもしれない作品だ。

 2020年に公開された第1弾の映画『3年目のデビュー』は、日向坂46のデビュー1年目に密着したドキュメンタリーだった。将来が見えず自分たちのアイデンティティを模索し続けてきた「けやき坂46」(ひらがなけやき)時代から改名を経て、『第61回 輝く!日本レコード大賞』や『第70回NHK紅白歌合戦』への出演、目標だった東京ドーム公演が1年後に決定するなど、グループの紆余曲折はありながらも、シンデレラストーリーとして希望に溢れたエンディングを迎える。

 そこから今回の『希望と絶望』で描かれるのは、東京ドーム公演決定の発表から、開催されるまでの2年間。この間に、コロナ禍による全国ツアーの中止や東京ドーム公演の延期、松田好花、宮田愛萌、佐々木美玲、小坂菜緒の休養、影山優佳の復帰、新三期生の加入などが大きな出来事となった。東京ドーム公演では、「約束の卵」をバックにドームまでの道のりが感動的な映像として流れていたのだが、卒業や休養の涙、メンバーが疲弊する姿など、心が痛くなる衝撃的なシーンも印象的だった。今作は、そこで映し出された出来事の答え合わせのような作品になると予想できる。

 彼女たちにとって東京ドームは、「約束の卵」という楽曲が作られるほど、おひさま(ファンの呼称)と共に夢を叶える”“約束の彼の地”であり、アイドルを続けるモチベーションの一つだったと言える。日向坂46が人気アイドルとして認知度を拡大する中で、メンバー個々人も多忙を極めるようになり、それによって見ている方向やそれぞれの熱量に差が生まれるなど、グループのバランスが少しずつ崩れていったようにも思う。それに加えて、『ひなくり2020』として開催される予定だったドーム公演が延期。希望の光が見えた矢先に、再び先の見えないトンネルを進むのは、彼女たちに限らず、どんな人間でも心が折れるであろう出来事だった。

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