5周年迎えるヒプノシスマイクの根強い人気 音楽シーンやキャラクターコンテンツにも影響与えた作品の魅力

 だが、ヒプマイがここまで長く多くの人に愛されているのは、作り込まれた世界観とキャラクター、各ディビジョンにおけるメンバーの絆、ユニットを超えたそれぞれの複雑な関係性といった、作品そのものの魅力によるところが大きい。個性的な登場人物たちが織りなす物語は、ダークな世界観ならではのヘビーな事象も内包し、彼らの歩む道は決して平坦なものではない。だが、ライブやバトルにおける投票システム、少しずつ回収されてゆく緻密な伏線といった要素が、彼らに起きた出来事を身近に感じさせ、その行く末を我が事のように見守る楽しみもある。

 何より、前述の通り、クオリティの高い楽曲群は、各ディビジョンの特徴やそれぞれのキャラクターの個性を生かしつつ、彼らの歩んできた道やその心情がリリックの中に巧みに編み込まれている。楽曲一つひとつが、彼らの物語のもうひとつの本筋とも言えるだろう。

 音楽から入って、キャラクターを深く理解しストーリーを追うこともできるし、キャラクターに魅了され、楽曲の持つ力によって作品世界の解像度を上げていく楽しみ方もできる。こういった試みはヒプマイだけでなく、多くの作品でなされていることではある。しかしラップミュージックという、言葉の持つ力が音楽との相乗効果で魅力を何倍にも練り上げていく音楽ジャンルと、キャラクターミュージックの親和性の高さ、それをさらに際立たせる作品の世界観・キャラクターたちの個性は、ヒプマイにしかない大きな魅力である。

 5年という年月、さまざまな施策で作品の魅力を何層にも重ね、唯一無二の人気コンテンツとなったことは言うまでもない。だが、いつから・どこから入っても何かしらの魅力に到達する間口の広さも健在だ。2ndアルバムの持つ音楽性の豊かさは、その象徴とも言えるだろう。

 5周年を迎える今年9月から、ヒプマイ史上初のディビジョン別ライブが次々に開催されるというフレッシュなニュースも発表されたばかり。音楽・キャラクター・物語、そして声優陣によるパフォーマンス……そのどれもが、まだまだ未知の可能性を秘めている。そんなヒプマイが、今後どのように充実し進化していくのかが楽しみである。

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