日向坂46、小坂菜緒復帰シングルがチャート首位　活躍広げるグループのストーリー性を彩る楽曲たち

参照：https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2022-06-13/

　2022年6月13日付のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得したのは、日向坂46の『僕なんか』。そう書くと、「そりゃ今の日向坂46なら1位を取るだろ」と言う御仁もいると思いますが、タブを閉じるのはちょっと待った。彼女たちは、コロナ禍においても初週売上40万枚以上を維持しているのですが、2021年の前作『ってか』の初週売上41.6万枚を、『僕なんか』は初週売上44.2万枚で上回っているのです。どういうことでしょうか？

　まず、最近の日向坂46の動きを簡単にまとめてみましょう。欠かせないのは、2022年3月30日、31日に東京ドームで開催された『3周年記念MEMORIAL LIVE 〜3回目のひな誕祭〜』です。その31日の公演で表題曲「僕なんか」がサプライズ披露されました。センターを務めるのは、2022年3月に休養から復帰した小坂菜緒。

　一方で、YouTubeチャンネル登録者数が630万人にのぼる「THE FIRST TAKE」に、何度も日向坂46のメンバーが登場したことも好影響を与えたのでしょう。2022年4月には、加藤史帆、上村ひなの、髙橋未来虹がセサミストリートのキャラクターとともに、坂本九の「上を向いて歩こう」をカバーする動画が公開されました。この動画自体が、かなり門戸の広い要素を持っていることは無視できません。

　2022年5月には、加藤史帆、佐々木久美、佐々木美玲、富田鈴花の4人が、2019年リリースの「ドレミソラシド」をセルフカバー。それに続いて、同じく2022年5月に齊藤京子がソロで新曲「僕なんか」を歌う動画が公開されました。

　また、メディアには丹生明里、影山優佳が多く出演していたことも見逃せません。こうした外部をかなり意識した流れの先にあったのが、2022年6月1日の『僕なんか』のリリースでした。

　「僕なんか」のMVもまた、そうした日向坂46の日々を汲んだものです。日向坂46に小坂菜緒が合流していく映像には強いカタルシスがあります。

　同曲は、ピアノとギターによるアコースティックなイントロで幕を開け、男声コーラスのハーモニーやストリングスも加わってスケールを広げていきます。1番のAメロで、エレキギターがソリッドにリズムを刻んでいるのも特徴です。「ハッピーオーラ」を掲げてきた日向坂46にしては内向的な歌詞ですが、それを受けとめる厚みとダイナミックさがサウンドにはあります。