あさぎーにょが発信する“誰とも比べなくていい”というメッセージ 「たくさんの人の背中を押せたら」

YouTubeを始めてから気づいた「自分らしさ」

――そして、今回から「Vlog映画」という言葉で映像を表現されています。そもそもこのスタイルの映像作品を作ろうとしたきっかけは何だったのでしょうか。

あさぎーにょ:Vlogが私のYouTubeチャンネルのメインコンテンツだったので、そこから派生したものを作りたいとずっと考えていました。例えばVlogからミュージカルになったり、CGを使ったファンタジーになったり、物語が始まったら面白いよねというアイデアがあって。『ハロー!ブランニューワールド』でそれを初めて形にしたのが始まりです。

もう限界。無理。逃げ出したい。

――『ハロー!ブランニューワールド』も今回の『グッバイ、コスモス』もサプライズでの公開ですが、なぜなのでしょう。

あさぎーにょ:Vlogを見ている感覚で見てほしいので、事前に告知することができないんですよね。でもサプライズでの公開は本当にドキドキして不安要素でもあるので、今回は最後まで悩みました。たくさんの方に観てほしいけど普段の動画だと思って観てもらえなかったら……とも考えたんですが、どこから物語に入るのかわからないという状況で観てもらうのがベストだったので、今回もこういった形で公開しました。

――前の動画から張られていた伏線にも、全く気が付かなかったです。

あさぎーにょ:「共感のうなずきで首取れるかと思ったwww@小豆ちゃんと推しの購入品紹介♡」で熊の置物の目が光っていることに気が付く人が1割いたらいい方だよねって話をスタッフとしていたんです。「一人もいなかったらどうしよう」と思ったのですが、結果ちょうど1割くらいの方が気が付いてくれて。本当に良かったです。

共感のうなずきで首取れるかと思ったwww@小豆ちゃんと推しの購入品紹介♡

――私はそれにも全く気が付いていませんでした(笑)。

あさぎーにょ:本当ですか!? なんか嬉しいです。めっちゃ緊張していたんですよ。自然にできてるかなって。

――公開直前に行なわれた先行試写会では、竹林監督があさぎーにょさんの悩みを聞いて、どこにフォーカスするかを決めて作品を作ったとお話されていました。

あさぎーにょ:Vlogの中でのお話でしたし、自分がしっかり乗り越えたいことや課題をテーマにしようと思っていて。なので、私自身が全く経験していないものをテーマにするのは違うなと感じていました。そこでまず過去のことも含めて、私が抱えていた悩みを全部お話したんです。その中から「大人になりたくない、子どもに戻りたい」というものがピックアップされて、「人と比べない物差しを持とう」というテーマに落ち着いていきました。

――映画の作り方といい、テーマといい、リアルだからこその大変さもありそうです。

あさぎーにょ:先程も出た「共感のうなずきで首取れるかと思ったwww@小豆ちゃんと推しの購入品紹介♡」は、本当に大変でした。完璧なセリフや台本はなくて、お互いに商品紹介をしていくという9割アドリブの普通のコラボ動画なんですよね。その中に、熊の置物が届くというようなフィクションを入れ込まなければいけなくて。開封からの商品紹介だから撮り直しもできないですし、「タイミングを忘れたらどうしよう」、「言わなきゃいけないことを言い忘れていたらどうしよう」と緊張して大変でした。本編でいうと、カメラの撮り方。Vlogっぽいセルフィーにするか、映画っぽい撮り方にするかはずっと監督と話し合っていて。結果、第三者視点の撮り方になったのですが、自撮り風の揺れや雑さを混ぜて、リアル感が出せたと思います。あとは、最後の子@小豆ちゃんとの河原のシーンが激寒でした(笑)。

――子@小豆ちゃん、子ぎーにょちゃんも映画のキーパーソンです。オーディションで選ばれたとのことですが、彼女たちを選んだ決め手はどこだったのでしょうか。

あさぎーにょ:とにかく私たちに似ているところでした。私と@小豆ちゃんらしさを持っていた子たちだったので、悩むことはなかったですね。演技の面でも輝いていましたし、すぐに決まりました。

――本番で演技についてのアドバイスをしたりも?

あさぎーにょ:私たちが演技をしたり、本読みをしたりしているところを動画に撮って、それを見て二人に真似してもらいました。子ぎーにょちゃんに関しては、例えば、朝起きて子どもになっていたシーン。私は驚くと無言になってしまうので、そういった部分を真似してもらったり、「@小豆ちゃんといるときは、もっとふざけちゃうことが多い」など、細かい部分もたくさん真似してもらいました。子@小豆ちゃんは「@小豆ちゃんは声を上げて泣かない」、など聞いていたことをもとにアドバイスしていきました。

――あさぎーにょさん自身が演じる時に心掛けたことはありますか?

あさぎーにょ:自分の役なので、あまり演技している感覚はなかったです。犯人と対峙するシーンも素かもしれません。人に怒っているときはあんな風になりますし(笑)。ただ、テンション感や感情の強弱は監督からアドバイスをいただきました。犯人とのシーンもはじめは怖がって話すような演技をしていたんです。でもあさぎーにょは大人に戻って自分の道を見つけたので、強くなっている。だから犯人にも勢いよく立ち向かいましょう、とアドバイスしてもらいました。

――リアルとフィクションが混ざっている表現やストーリーの面白さも然ることながら、動画のタイトルも面白いですよね。「記憶をかえしてください」はどういう風に決めたのでしょうか。

あさぎーにょ:タイトルを決めるのって、めちゃくちゃ難しくて。タイトルっぽくしすぎるとVlog感が出ないので、私が話す言葉を使いたいと思っていました。かと言って「子どもになっちゃった」のように事象を言うのではなく、心情が伝わるものにしたかったんです。

――例えば「夢が叶ったよ」というポジティブな方向にもできたと思うのですが、「記憶をかえしてください」という部分にフォーカスしたのはなぜなのでしょう。

あさぎーにょ:想像を膨らませたかったんですよね。チームのみんなでいろんな案を出していく中で、「どうしてこうなっちゃった?」というのもありました。でも、「こうなっちゃった」というと何か変化があるとわかりすぎてしまうし、サムネイルが合わさると子どもになったことがわかりすぎてしまう。「記憶をかえしてください」であれば、子どもになったことではなくて、展開を想像できて楽しんでもらえるんじゃないかと思って、これに決定しました。

――視聴者からの反響も大きかったのでは?

あさぎーにょ:私の動画を見てくださっているファンの方は、自分らしさを持っているけど持ち続けることが難しいと思っている、私に似た方も多いんです。なので、今回の動画を見て「自分らしくていいんだって思いました」という声をたくさんいただきました。それと公開タイミングもよかったみたいで。成人年齢が18歳に引き下がったことで、急に大人になってしまったことへの戸惑いがある方も多いようで、「刺さりました」という声もいただきました。

――そういった声を聞いたときの心境はいかがでしたか?

あさぎーにょ:作って本当によかったと思いました。今回の物語はたくさんの人の背中を押せたらいいなという思いで作ったのですが、一方で自分自身に向けた作品でもあって。作品を作り終えてから、自分が大切にしている考えをより強く心の中におけるようになりました。

――そうしたあさぎーにょさんの考え方から生まれる世界観は、多くの人を魅了しています。

あさぎーにょ:自分の世界観が確立したのは、YouTubeをやり始めてからなんです。YouTubeで自分のことや気持ち、考え方を表現することで「私ってこういう人なんだ」、「こんな風に人から見られたいんだ」、「こういう表現がしたいんだ」と自分と向き合うことができるようになりました。なのでYouTubeは自分のターニングポイントの一つでもあります。大学を辞めて上京してきて、新宿などで路上ライブをしていたのですが、「私がやりたかったのってこれなのかな?」とわからなくなっていて。そんな時にYouTubeを始めました。自分がやりたいことは歌だけだと思っていたのですが、もっと広く表現することって楽しいんだと気が付いたんですよね。そして、自分らしさを少しずつ見つけていったり、みんなから言葉をもらったりすることで、表現したいものや見せたい形がドンドン明確になってきています。

――あさぎーにょさんが発見した、「自分らしさ」とはどんなものなのでしょうか。

あさぎーにょ:自分らしさを作る根源となっているメッセージが「Embrace Your Wakuwaku ワクワクを抱きしめよう」。このメッセージを見つけて表現が具体的にできるようになっていきました。この言葉はポジティブ満載なわけではなくて、おひさまのように温かくポカポカしている感覚やちょっとだけ弾けている感じ。その感覚を大切にしながら自分を表現していることが自分らしさかなと思っています。

――自分らしさを大切にしつつ、今後やってみたいことはありますか。

あさぎーにょ:「ワクワクを抱きしめよう」がテーマなので、ワクワクするようなサプライズをどんどんやっていきたいです。Vlog映画で言えばミュージカルや空を飛ぶシチュエーションがやってみたい。他にもホラーやアクションも挑戦しがいがありますよね。近い将来だと絵本を作ったり、カフェを出店したり、スイーツを作ったり……。いろんな構想を練っています。ファッションショーとライブを掛け合わせるのも面白そうですよね。でも、ジャンルやコンテンツの縛りはあまり考えていなくて。みんなの日常にポップを届けていくというミッションはずっと持っています。

――夢が膨らみますね! では最後に『グッバイ、コスモス』を受け取るファンの方へメッセージをお願いします。

あさぎーにょ:自分の好きなものや自分らしさに自信が持てなくなる瞬間は、誰にでも波のように訪れます。そんな時に『グッバイ、コスモス』を観ていただけると嬉しいです。あなたの背中を押すような作品になっていればいいなと思います!

■リリース情報
「グッバイコスモス」
(Vlog映画『グッバイ、コスモス』主題歌)
サブスク&ダウンロード:https://orcd.co/ydkknox

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