『iCON Z』グランプリのLIL LEAGUE、バイラルチャートでも首位に LDHの想いが反映された各グループ課題曲に注目

 Z FACTIONは、惜しくも4次審査で選外となってしまったものの、今回ランクインしている「Coyote」ではコヨーテの遠吠えのように高めに設定されたキーを乗りこなし、プロデューサーとして『iCON Z』に参加しているEXILE SHOKICHIが楽曲にこめた「みんなの歌を空に飛ばせるように」というコンセプトをしっかりグループとしての表現に昇華している。また、CROONERZ「Water Baby」は、比較的メンバーの年齢層も高く、落ち着いた印象のあるグループの雰囲気を味方につけながら、彼らの強みでもある高いボーカルスキルを生かした大人のミディアムバラード。厳しい環境でもがき苦しみながらもいつか必ず夢を掴み、世界を変えるという彼ら自身が置かれている状況にも投影できるような歌詞が切実に響く一曲だ。そして、KIDMATIC「Giant Steps」。20代を中心に結成されたCROONERZと比べ、全員が10代のKIDMATICは、その無邪気さや溢れ出すエネルギーを武器に勝負する。楽曲は、80’sのディスコを思わせるダンサブルなシンセポップソングで、人生をパーティーになぞらえ、Z世代による新たな時代の幕開けをきらびやかに飾るようだ。

 最後に、今週のチャート首位を獲得したLIL LEAGUE「Rollah Coaster」。クールな印象のZ FACTION、落ち着いた大人の魅力と高いボーカルスキルを兼ね備えたCROONERZ、Z世代によるエネルギーあふれるKIDMATICのように明確な個性が垣間見える各グループに比べ、年齢やルックスから受ける印象も各人各様のLIL LEAGUE。一見すると強みを見出しにくいグループのようだが、楽曲を聴いてみると、彼らの場合はその多様性こそが強みであるように思える。ボーカルパートとラップパートが混ざり合う楽曲構成によって、各メンバーの個性があふれながらも相反することなく同じ方向へ強い推進力を生み出している。その推進力は、ローラーコースターをモチーフにハラハラドキドキしながらも夢を追い続けるという歌詞のコンセプトとも呼応しており、発展途上のグループであるからこその不思議なバランス感覚とダイナミックさを感じる。

 5月21日に日本武道館で開催された最終決戦の結果、LIL LEAGUEがグランプリを獲得したわけだが、どのグループの楽曲も個性が輝いていて、他のグループが歌っても再現することのできない特別なマジックを感じる。オーディションである以上、選考結果がついてまわるものの、楽曲としてはどれも完成度が高く洗練されている印象だ。そして、Z世代の新たな才能を発掘するという大きな目的を掲げることができるのは、これまでも多くの才能を発掘し、実際に輝かせてきたLDHだからこその説得力ではないだろうか。たしかに『iCON Z』は、オーディションの候補者がチャンスを掴んで夢を実現させるという側面が強いものの、一方でLDHとしては新たな世代へ夢を託すプロジェクトという側面もあるだろう。実際に、4次審査の課題曲としてリリースされたどの楽曲の歌詞もトラックも、LDHが新たな世代にかける想いや希望が反映されているように感じる。「LOVE」「DREAM」「HAPPINESS」をテーマに掲げてきたLDHが、未来に向けてこのテーマをどのように膨らませていくのか注目したい。

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