Homecomings 畳野彩加と福富優樹が考える、時代に合った“優しさ”のあり方 バンドとしてメッセージを発信することの意義

本屋に喫茶店……Homecomings、新たな街での過ごし方

ーーそうした怒りを通過してたどり着いた「優しさ」なんですね。『Moving Days』でメジャーデビューして、いまバンドは京都から東京に拠点を移して活動していますが、新しい街には馴染みました?

福富:こっちに越して3年目になるんですけど、あっという間でしたね。今住んでいる街がめちゃくちゃ好きだし、街に帰るとホッとするんです。畳野さんが同じ街に越してきたので道でばったり会ったりするし(笑)。

ーー京都に住んでいた時とあまり変わらない状況ですね(笑)。

福富:そうなんですよ。ほなちゃん(ベースの福田穂那美)も同じ街だし。それに良い本屋があるんですよ。デパートに入っているチェーン店なんですけど、並んでいる本のセレクトがすごく良くて。ジェンダーとかケアにまつわる本のコーナーもあるんです。京都に住んでいる時は誠光社っていう本屋さんにずっと通ってて、棚の作り方(本の選び方)に影響を受けました。僕にとって本屋さんの存在って大きいんですよね。

ーー本屋で気になる本を買って、喫茶店でお茶をしながら読んでみる。それだけで充実した散歩のコースになりますね。

福富:そういえば、この3年でお茶をするようになったんです。これまで全然しなかったのに。

ーーそれは意外ですね。

福富:コーヒーが飲めなかったんです。でも、今回のツアーでは朝早起きしてみんなでお茶してます。

畳野:喫茶店巡りしてるね。

福富:それでこれまでより、みんなでいろんなことを話すようになりました。お茶って喋るしかないから(笑)。そうすることで、みんながギュッとなった気がします。4人でお茶をするっていうのは、これまでなかった新しい風景ですね。

畳野:確かに。

ーー畳野さんは新しい街で何か発見はありました?

畳野:私が今住んでいるところって森に近いんですよ。これまで住んできた街の中で、いちばん自然に囲まれている。季節によって森の匂いが変わるので匂いに敏感になりましたね。前は都心の近くに住んでいたんですけど、都心から離れている方が自分には合ってる気がします。生まれ育った石川県は高い建物はないし、夜になると静かになって暗くなる。そういう街の方が自分の体は休まるんだなって実感しています。だから今は精神的にすごく安定しているんですよね。

ーーしかも、友達も住んでいるし。

畳野:そうですね。自転車で会いにいける距離に友達が住んでいるというのは、自分にとって大事な気がします。

福富:大事だよね。

ーー近くに仲間がいるというのは心強いですもんね。では最後に、最近気に入った映画や本があれば教えてください。

福富:「i care」に絡めていうと『ユンヒへ』っていう韓国映画です。韓国と日本の女性の話なんですけど、クィアな恋愛の物語でもあるし、シスターフッド的なところもあって、世代間の違いとか国の文化の違いとか、いろんな層がある作品で、すごく影響を受けました。石川県で育ったので、一面雪に覆われた町の景色とか雪を踏みしめる音とかにもいちいちぐっときてしまいました。手紙が出てくる映画に弱いこともあって、今年見た映画の中ではいちばん好きですね。

韓国と小樽。出すつもりのなかった一通の手紙から始まるラブストーリー、映画『ユンヒへ』日本版予告編

畳野:私は『私は男でフェミニストです』っていう本です。いま、フェミニズムについて勉強中なんですけど、この本は韓国の伝統的な家族観について書かれていて、それが日本の昔ながらの家族観と共通するところがすごくあるんです。

福富:韓国は家父長制度が強く、お父さんが一番偉くて次は長男、みたいな感じらしいんです。そういう考え方に違和感を持った男性が書いた本なんですよね。さっき話に出た本屋さんにみんなで行ったときに見つけたんですけど。

畳野:私もそういう考え方に疑問を感じていたので、本に書かれていることが興味深かったし、共感できるところも多かったんです。こういう問題に興味を持っている人の入門書としてもわかりやすいし、すごく素敵な本でした。

ーーそうやって映画や本を通じて感じたこと、学んだことが曲に反映されていくわけですね。

畳野:音楽やインタビューでちゃんとメッセージを発信したいからこそ、いろんな本を読んでいる、というところもあるんですよね。それにちゃんと勉強していないと、知らない間に人を傷つけてしまうこともある。私たちを通じて、いろんなことに興味を持ってもらえたらいいなって思います。

福富:社会って何かのきっかけで突然良くなったりするわけじゃなく、少しずつ変化していく。自分たちが少しでもそういう変化の助けになれば嬉しいですね。

■リリース情報
2022年4月6日(水)配信スタート
New Digital Single「i care」
配信はこちら

■番組概要
【番組名】 水ドラ25『ソロ活女子のススメ2』
【放送日時】 2022年4月6日(水)スタート 毎週水曜深夜1時~
【放送局】 テレビ東京 テレビ愛知 テレビせとうち テレビ北海道 TVQ九州放送
※テレビ大阪では4月18日(月)スタート 毎週月曜深夜1時~ 放送
【配信日時】 ひかりTV・Paraviにて全話一挙先行配信
Paravi…3月31日(木)午前0時配信スタート / ひかりTV…4月1日(金)午前0時配信スタート
【出演】 江口のりこ 小林きな子 渋谷謙人 佐々木春香
【ゲスト】 藤原樹(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE) 箭内夢菜 小手伸也 佐伯大地 トリンドル玲奈 水谷隼 ※話数順
【ナレーター】 大塚明夫
【原案】 朝井麻由美「ソロ活女子のススメ」(大和書房刊)
【脚本・監督】 及川博則(株式会社ライス)
【主題歌】 Day and Night「my story」
【エンディングテーマ】 Homecomings「i care」(ポニーキャニオン/IRORI Records)
【プロデューサー】 森田昇(テレビ東京) 村上浩美(株式会社ライス) 永井清(株式会社ライス)
【制作協力】 株式会社ライス
【製作著作】 テレビ東京
【公式HP】 https://www.tv-tokyo.co.jp/solokatsu2/
【公式Twitter】 @tx_solokatsu

■関連リンク
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