RAKURA、『名探偵コナン ゼロの日常』OPテーマで表現したリアルとフェイク 初フルアルバムと共に振り返るデビューからの日々

 17歳でのデビューからストリーミングサービスを通じて国内のみならず海外からもファンを獲得している2003年生まれのシンガーソングライター RAKURAが、1stアルバム『tint』をリリースした。

 同作には、TVアニメ『名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム)』のオープニング主題歌に抜擢された新曲「Shooting Star」を含む全11曲収録。ドラマ『片恋グルメ日記』(TOKYO MX)のED主題歌「Unforgiven」での配信デビューから1年半。R&B、ソウル、ファンク、ディスコ、シンセポップ、そして、スウィングジャズとジャンルを軽やかに横断する楽曲をハイペースで配信し続けてきた彼女にとってどんな日々だったのか。今年1月、新曲「Shooting Star」のMV撮影中に19歳の誕生日を迎え、10代最後の1年を迎える彼女に“これまで”と“これから”を聞いた。(永堀アツオ)

「人間は誰しもが裏と表があったりするんじゃないかな」

ーーまず、新曲「Shooting Star」がアニメ『名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム)』のOP主題歌に起用された感想から聞かせてください。

RAKURA:ただただ嬉しかったです。よっしゃー! きたー!! って思いました(笑)。今の生活より少し忙しくなる自分が想像できて嬉しかったですね。

ーーアニメは見てましたか?

RAKURA:幼少期は、夕方に毎週やってるアニメを見ていましたし、弟も『コナン』の映画が大好きなんですよ。金曜ロードショーで放映された映画を録画して、何回も繰り返して見ていて。特に『から紅の恋歌(ラブレター)』は何回も繰り返して見ましたね。小さい頃から見ていたアニメだったのですごく嬉しかったです。

ーー楽曲制作はどのように進めていったんですか?

RAKURA:デビュー曲から一貫してRa-Uさんにプロデュースしてもらっていて、今回もRa-Uさんが作ってくださったんですけど、探偵の安室透が主人公とあってオープニングに相応しい「ジャズっぽい曲を作りたい」と。「Shooting Star」を作る1カ月前くらいから改めてジャズをたくさん聴き直したり、向き合う時間をたくさん作ってくれて。しかも、制作期間中にRa-Uさんはトランペットを買って。

ーーえー! そこまでしたんですか? というか、どうしてトランペットを買ったんでしょうか。

RAKURA:(笑)。私が吹奏楽部出身でトランペットを吹けるんですよ。それを知ったRa-Uさんが「RAKURAが吹けるのに、俺が吹けないのは悔しい」っていう理由でトランペットをはじめて。私がマウスピースの吹き方から教えたりしたんですけど、制作中にスタジオに行って、トランペットを教えて帰るっていうこともありました(笑)。でも、そのおかけで、「Shooting Star」のホーンセクションにも反映されているし、トランペットがメインになるメロディラインもある。金管の呼吸を体感して、トランペットの生の音を知ったことが、この曲にすごく良い影響を与えているなと思います。

ーーホーンセクションをメインにしたスイングジャズになってますよね。

RAKURA:私は最初、ルパンみたいだ! と思いました。探偵ものや刑事ものっぽいイメージですね。あと、私は曲を聴いたときに色が思い浮かぶんですけど、ブラウン系の印象を受けて。今回は、喫茶店「ポアロ」でバイトもしている安室透さんのアニメなので、喫茶店の茶色っぽい感じがすごく合うなと思いましたね。

ーー歌詞はどう捉えましたか。

RAKURA:全体的に悲しいというか、苦しいというか、儚さや憂さを感じましたね。暗いというよりかは夕方っぽい感じ。

ーーアニメともリンクさせてますか?

RAKURA:そうですね。安室さんは探偵、黒の組織の一員(バーボン)、公安捜査官(降谷零)というトリプルフェイスを持つ男なので、対比する言葉が歌詞に散りばめられていて。安室透の世界観や背景を対比するリリックで表現しています。

ーー〈ゼロに戻る〉というフレーズもありますね。

RAKURA:アニメからもらって入れましたね。

ーー〈「哀」を知れば〉は灰原哀ちゃんと関係してる?

RAKURA:(笑)。そこは関係してないです。でも、そういう読み取り方ができるのもいいですよね。コナンファンの方には色んな受け取り方をしてほしいですね。

ーーご自身の心境と重なった部分はありますか?

RAKURA:対比している言葉を使っていると言いましたけど、裏と表を表現してる歌詞になっていて。最初に漫画を読んだときは、私、トリプルフェイスを持つってすごいなって思ったんですね。でも、この曲を歌ってみると、人間は誰しもが裏と表があったりするんじゃないかなって感じて。今の時代、SNS上だとアカウント1つでいろんな人格が持てたりするじゃないですか。リアルとフェイクというか、自分をいくつも偽ったり、変えたりできるなと思って。現代において、通じるものがあるなと思ったし、今の世界を生きるみんなに響いたら良いなと思います。

ーーRAKURAさんはあんまり裏表がなさそうですよね。

RAKURA:私はほぼないんですけど(笑)、アーティストとして活動する英語表記のRAKURAと本名でもある漢字の楽来(らくら)は少し違うかなと思いますね。何が違うかは自分では説明できないんですけど、家族から見たら、全然違うみたいですね。

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