ザ・リーサルウェポンズが目指す、アメリカと日本のコメディの中間地点 1stアルバムは“集大成の一歩先”に

目指すのはアメリカのコメディと日本のコメディの中間地点

――いい二人ですね。ジョーさん、ミュージックビデオで一番好きなのは?

ジョー:一番好きなの……うーん、「川中島の戦い」かな。

[MV] ザ・リーサルウェポンズ『川中島の戦い』 THE LETHAL WEAPONS - Battle of Kawanakajima

――あれはアクションがかっこいいですね。

ジョー:歌詞の意味は全然わかりません。でも音が好きだし、ミュージックビデオが好きです。撮影の時の天気も良かったし。

アイキッド:さっきの話の続きで言うと、「川中島の戦い」は、一番は武田信玄で、二番は上杉謙信で、みなさんお気づきの通り〈風林Fire Mountain〉が風林火山ですね。さらに2番の4行は、〈沙羅双樹〉〈城門〉〈天賜の御旗〉〈毘(たす)けて〉を4つ繋げると、毘沙門天になるというギミックも仕込んであります。

――素晴らしいですね。歌詞を読まないとまったく気づかない。

アイキッド:好きなんですよ、そういう細かいことをやるのが。ミステリーが大好きで、トリックを作るのが好きなんです。〈灰になれば牌になる〉のところは掛け声も「ハイ!」で統一しているとか、〈剛毅果断の豪傑が〉のところも、「GO!」で統一するとか。

ジョー:面白いですか? 全然わかりません。

アイキッド:言葉のトリックを使うのが昔から好きなんです。

――そこがリーサルウェポンズの、ただ楽しいだけじゃないところと言いますか。

アイキッド:そもそも音楽ユニットかどうかすら、わからないところがあるんですけど。ただ、ボーカルがチョケようが、MVがどういう方向に行こうが、曲がしっかりしているという担保があれば大丈夫。そこさえぐらつかなければ、絶対に大丈夫なんです。でもそこのプレッシャーがすごいです。

――伝わりました。そして先日公開された最新のMVが、「さよならロックスター」。これはニューバージョンということですか。

[MV] ザ・リーサルウェポンズ『さよならロックスター』ハリウッドザコシショウ ver. THE LETHAL WEAPONS - Sayonara Rock Star [EngSub]

アイキッド:そうです。私が監督をやっていて、我々は出演しません。ちょうど今日、ハリウッドザコシショウさんに出演していただいているニューバージョンを撮ってきて、あさってから作り始めます。見ますか?

――ぜひぜひ(撮影風景の動画を見る)。あ、ザコシショウ。顔芸がすごいなあ。歌詞の趣旨と、相当離れている気もしますけど。これもさっき話していた、“曲がしっかりしていれば大丈夫”理論ですか。

アイキッド:そういうことにしておいてください(笑)。

――リーサルウェポンズの曲は、お笑いや演劇との親和性も高そうですよね。

アイキッド:それはほぼ、彼担当ではあるんですけど、アメリカのコメディ感を出したいんですね。アメリカのコメディと日本のコメディの中間地点というか、重なっている部分のコアを取り出したいなといつも思ってます。私は『ザ・シンプソンズ』が好きなんですが、アメリカのコメディってツッコミがないんです。ツッコミは視聴者に任せるという、突き放した部分がある。

ジョー:たしかにツッコミ、ないね。

アイキッド:アメリカのコメディは、頭を使わなければできません。もっと言えば、アメリカの教育は、自分で物事を考えなさいというものが主流なので、頭を使っている前提でアメリカのコメディも作られています。そこが日本と違う。日本は、見る人がわからないかもしれないボケに、ツッコミがフォローを入れるじゃないですか。リーサルウェポンズはそれをなるべく入れないようにしています。

――日本の笑いは親切ですよね。

アイキッド:その親切さを、私は“チャント”や“シャウト”として入れるようにしています。日本人は自分からは言わない傾向があるから、「ここで叫んでいいんだよ」ということをCDに初めから入れることによって、免罪符を与えているという感じです。もっと言うと、ボーカルのラインも「あなたたちが歌うのはここですよ」というものを示しています……という、非常に姑息な手段を使っております(笑)。

――いやいや、それが日本らしい親切さというものじゃないですか。エンターテインメント理論の講義を受けているような、わかりやすい説明だと思います。これからについても聞きたいんですけども。CDを出して、ライブをやって、だんだん大きな会場へという、王道のバンドの歩みとはまた違う、たとえばYouTuberに近いような展開もできますよね。

アイキッド:そうですね。ジョーは特にYouTuber向きだし、若干そっちに色気を示してますけど、私はYouTuberにはまったく興味はなくて。目指すとすれば、映画ですね。映画はいつか撮りたいなと思ってます。

ジョー:知り合った時に、“バディ・コップ”の映画がめちゃめちゃ撮りたかった。80年代みたいな、『リーサル・ウェポン』みたいなアクション映画、作りたいなー。

アイキッド:って言うんですけど、作るのは私ですからね。そこが彼の適当さですね。いい性格してるなーと思います。究極的に言うと、彼は本当は客席にいるべき人間なんですよ。そして私は、舞台の袖にいるべき人間なんです。それが二人で、ステージに出ているんです。

――その構造がザ・リーサルウェポンズの面白さの元なんですね。

アイキッド:お互いの特技だけを持ち寄ったようなバンドです。一個でも特技があれば、そこを伸ばせれば大丈夫。(ジョーに)5教科あって、君は4つの評価が1なんです。だけど1科目だけ、5段階評価で言うと6が取れる。私はそこに目を付けた。

ジョー:はい。

アイキッド:私は全部、オール4の人間なんですけど、100教科いけます。そういうことですね。打率勝負の私と、ホームラン狙いのあなたと、どっちがいなくても点数は取れません。

ジョー:なるほど。わかりません。

――(笑)。これからも仲良くしてください。どう見てもベストパートナーですから。

ジョー:はい。ありがとう、先生!

アイキッド:こちらこそ、ありがとうございます!

■リリース情報
『アイキッドとサイボーグジョー』
発売日:2022年2月23日(水)

形態:
完全生産限定盤:
SECL-2724-5 ¥4800(税込)

・A4劇場版風 豪華パンフレット仕様
・インタビューやコラム付き
・15曲収録(1CD)

初回生産限定盤:
SECL-2728-9 ¥3800(税込)

・紙ジャケ仕様
・幻の爆音絶叫ライブCD付き
・全24曲収録(2CD)

通常盤:
SECL-2727 ¥3300円(税込)

・15曲(1CD)

収録曲
Disc1
01. 20001年宇宙の旅 New
02. パーティースーパースター New
03. 川中島の戦い New
04. さよならロックスター New
05. 半額タイムセール
06. 毎日たのしい1週間
07. デンジャーゾーン New
08. 雨あがる
09. 94年のジュニアヘビー ~ザ・スコア~
10. 快走!ラスプーチン New
11. 特攻!成人式
12. 合体!ポンズロボ
13. ポンズのテーマ New
14. 押すだけDJ
15. 昇龍拳が出ない feat.カプチューン New

初回生産限定盤 特典『ツイン怒号システム爆音ライブCD』
01. 80年代アクションスター
02. 熱血ティーチャー
03. サイボーグメカニンジャ
04. 東海道中膝栗毛
05. シェイキン月給日
06. Super Cub is No.1
07. プータロー
08. なんでやねん
09. ホッピーでハッピー

■ライブ情報
『大コンバンワンマン ~ オレたち中野を大事にするぜ!地元のライブはハンパねぇ ~』
チケット先行受付は3月25日(金)20時〜4月4日23時59分まで(https://eplus.jp/tlw/)
日時:2022年9月30日(金)
時間:開場18:00 / 開演19:00
会場:東京・中野サンプラザ(〒164-8512 東京都中野区中野4-1-1)
チケット:¥6,500(税込)

【オフィシャルSNS】
Twitter :https://twitter.com/TLW80s
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCzkUVvwcUOkv3rLHvu69ImQ
HP:https://tlw80s.com/

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