『コーチェラ』はノーマスクでもOK？　2022年は海外フェス復活の年になるか、各国の動向を探る

　2020年から続く新型コロナウイルスの猛威は、音楽シーンにも多大な影響を及ぼした。音楽フェスやライブを含むイベント事業は、クラスターをはじめとする感染予防の観点から開催の延期・中止、または収容人数を大幅に制限するなどの対応が求められた。

　3月11日、政府は新型コロナウイルス感染症対策分科会を開き、5000人を超える大規模イベントの人数制限について大声を出さないなどの“感染防止安全計画”の実施を条件に人数制限を撤廃する方針で一致したと伝えられた。早ければ来週中にも正式決定するという（※1）。もちろん、引き続き感染予防対策と注意喚起は必要で、ライブやイベントを主催する側、そして来場する人達全体でそれらを徹底していくことに変わりはない。

　日本ではまもなく春フェス、そのまま夏フェスへと続く大型イベントシーズンへと突入する。特に国内外のアーティストが出演する『FUJI ROCK FESTIVAL '22』（以下『フジロック』）と『SUMMER SONIC 2022』（以下『サマソニ』）の動向は大きく注目され、今年は両フェスとも海外アーティストを招聘する形での開催がアナウンスされている（『サマソニ』はすでにThe 1975、ポスト・マローンといった海外アーティストの出演を発表済）。

　そんな政府のイベント緩和、海外アーティストを迎え入れる2大フェスの動向に注目が集まる中で気にしておくべきなのが、同様にまもなくフェスシーズンが開幕する他国の状況だ。国・地域でコロナに対する制限や向き合い方が異なるのを前提に、海外フェスは今どのような形で盛り上がり、またコロナを受け止めているのだろうか。

　現地4月15日〜17日、4月22日〜24日、2年ぶりに米カリフォルニアで開催される『Coachella Valley Music and Arts Festival 2022』（以下『コーチェラ』）はジャンルを横断して、おそらくアメリカで最も先鋭的なラインナップのフェスと言えるだろう。今年はハリー・スタイルズ、ビリー・アイリッシュ、Ye（カニエ・ウェスト）がヘッドライナーを務めるほか、日本からはきゃりーぱみゅぱみゅが出演。そんな豪華アーティストの名前が並ぶ同フェスは、マスク着用をはじめとしたコロナに関する制限を撤廃する形での開催がアナウンスされている（※2）。これはあくまで現地のガイドラインに基づいたもので、マスクのほか、ワクチンの接種証明、陰性証明の提出なども義務化されないという。なお、このガイドラインは開催まで状況に応じて変更される可能性もあること、またコロナ感染への注意喚起や万が一感染した場合の対応についても明記されている。

　これを受けて米メディア『Pitchfork』は、“Coachella’s Plan to Lift COVID-19 Rules Worries Health Experts”と題した記事を公開（※3）。記事では同フェスが「米国の音楽フェスシーズンの指標として伝統的な地位を占めている」ため、「開催地（カリフォルニア州インディオにあるエンパイア・ポロ・クラブ）をはるかに超える反響を呼ぶ可能性がある」と言及。その上で独自に学者や専門家へ取材を行い、開催への懸念点や影響についても取り上げた。現状日本では『コーチェラ』のような措置は到底考えられないが、同フェスが今後どのような動きを見せ、また開催後の感染状況はどうなるのかは注目しておくべきかもしれない。

　ちなみに、米テキサス州オースティンにて現地時間3月11日からスタートした『SXSW 2022』では、ワクチンの接種証明や陰性証明の義務付け、ブースター接種の推奨などがガイドラインに明示されているほか、開催期間中は指定の会場でPCR検査が無料で受けられるとのこと（※4）。マスク着用は義務化されていないが、必要だと感じた場合は付けること、こまめな手洗い・消毒を徹底するよう伝えており、『コーチェラ』以上に厳重な対策が取られている。なお、同イベントには日本から4s4kiらが出演予定だ。