Snow Manメンバー、なぜ異例の全員単独表紙を実現? これまでの偉業と彼らが求められる理由を考察

 また、記憶に新しいのは深澤辰哉の初単独表紙にして、完売店舗続出となった『anan 2268号』の緊急重版である。ネット予約は発売開始から1時間で完全完売した(※4)。お茶の間では「3枚目キャラ」として浸透してきた深澤だが、ファンの間で知れ渡っていた「息を潜めたかっこよさ」が世に出た瞬間だったのではないかと思う。その証拠とでもいうように、今回の単独表紙ラッシュで深澤はすでに3冊決まっており、宮舘も4冊の表紙を飾ることが決まっている(※1)(ともに2月16日時点)。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

 そして、なんといっても佐久間大介の革命的な表紙起用率の増加は、ここまでのすべての理由に当てはまったがゆえと感じる。佐久間大介の初単独表紙は2021年6月発売の『ペットポップスクエア vol.2』(日之出出版)。このムックは、発売の次の日に重版がかかった。これまで、バラエティ番組やYouTubeなどを通して動物への知識と愛を見せてきた佐久間。そんな彼の熱意が結実した表紙起用だった。

 そして、その熱意は確実に「ファンではない、ファンになるかもしれない人」の元へ届いている。「アニメオタク」として知られる佐久間を「佐久間ニキ」として慕う男性ファンの存在が頭角を表し始め、Snow Manへの新たな入り口としての大きな役割を担い始めているのではないかと感じる。2021年12月発売の『FINE BOYS 1月号』では、「佐久間大介はどこまでも自由自在。サクマセンパイ。」というテーマでコロコロと変わる表情と、「サクマセンパイはさっくんって呼べちゃう。」などと、男性読者がより近くに感じるような存在感を示した。このように、自由自在な存在感で、佐久間大介は過去にも3冊の単独表紙を飾っている。

 また、「アニメオタク」としての起用も顕著であり今回の単独表紙ラッシュで表紙を飾った『Purizm Vol.8』(一迅社)において、溢れるアニメ愛を朗らかに話している。彼の持つ好きは等身大であるからこそ、こんなにも人を惹きつけているのかもしれない。なお、同誌も好評につき緊急重版が決定した。

 最後に、彼らの単独表紙に欠かせないキーワードとなるのが「ロングインタビュー」だと思う。ビジュアルが好きだから、誰かを特別推しているから、という購買意欲とはまた別の購買意欲に働きかけてくるのが「ロングインタビュー」ではないだろうか。例えば、表紙解禁からたったの13日で完売になった『ViVi11月号特別版』(講談社)では、「What’s スノ沼?」と題したロングインタビューを行っている。彼らはジャニーズJr.時代が長く、増員などを経てのチームワークは年々強さを増すばかりだ。そして、それぞれに熱い「アイドル像」と野心を持ったメンバーばかりであるため、インタビューは毎回、読み応えがある。もちろん、個人的な趣味やささやかな楽しみなど、ゆるいテーマのロングインタビューもある。そこに垣間見える「人間性」もとても魅力的でファッション誌でありながらも、「ロングインタビュー」を売りにする出版社も少なくない。今回の単独表紙ラッシュで、その代表と言えるのが、岩本照表紙の『NYLON JAPAN 2022年4月号』(カエルム)であろう。ビジュアルはもちろんのこと、様々な角度から“愛”について語った「ロングインタビュー」をとても大きな目玉にしている。

 彼ら一人一人に物語があり、「Snow Man」というグループが大きな物語の塊のようであるからこそ、「ロングインタビュー」のひとつの話題も見逃したくない、と思ってしまう。そして、そのアイドルとしての物語を少しだけ取り除いて、一人の人として見たときにも魅力溢れる彼らだからこそ、「単独表紙」を飾っても、きっと私たちはもれなく手に取りたくなってしまうのではないだろうか。9人それぞれの個性が、書店に並ぶ日がとても楽しみだ。

(※1)『関西ウォーカー』と『東海ウォーカー』(KADOKAWA)を1冊単位として計算
(※2)https://twitter.com/fineboys_jp/status/1258230859292749824?s=21
(※3)https://7net.omni7.jp/general/johnnys/duetsnowman
(※4)https://twitter.com/anan_mag/status/1443502125414187011?s=21

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