櫻坂46は競争を望むか、望まぬかーー4thシングル『五月雨よ』選抜&フォーメーション分析

競争を望むか、望まぬか

 前作との間に卒業生が2名出ているにも関わらず、選抜の人数は1名プラスされたため、選抜の競争率は大きく下がっている。とはいえ、新しく選抜入りを果たしたメンバーがいることは明るい傾向だ。特に1期生の上村と、リリースの度に選抜入りが期待されていた関の2名は今回が初選抜。この両者の選抜入りは今作の大きなポイントの一つである。後列を見渡すと右翼(向かって左)は武元、松田、井上というバラエティ色の強い面々が揃う。対してこの2人を含めた左翼(向かって右)は、おとなしいがどこか惹かれるものを持っているタイプが立つ。左右によってメンバーの特色が分かれているのが面白い。この色分けがパフォーマンスにどう影響するのかも注目だ。

 選抜人数の増加、全員参加曲の収録。こうした点から“競争”という観点では軟化する方向にシフトした今作。もともと全員歌唱を貫いていた欅坂46にルーツがあるグループのため、ファンの中には今の制度に疑問を呈する声も少なくない。ただその一方で、今回で中列に見事復帰した小池や藤吉、あるいは新しく選抜の座を勝ち取ったメンバーたちのように、個々人が切磋琢磨することで生まれる物語性は現行の制度の賜物とも言える。さらに言えば、後列を増やしたことで次回の櫻エイト争いは逆に激化しているのだ。競争を望むか、望まぬか。櫻坂46は今後、そのあたりのバランスと舵取りに繊細な判断が必要とされてくるだろう。

(※1)https://sakurazaka46.com/s/s46/page/4th_single

関連記事