稲垣吾郎・香取慎吾・草なぎ剛のSNSから感じる“風通しの良さ” 三者三様の個性溢れるスタンス

 香取慎吾から「この勢いでTikTokerになります!」との発言が飛び出したのは、2月9日に行なわれたネットショップ作成サービス・BASEのオンラインカンファレンスでのことだった(※1)。

 「“TikToker”って初めて言いました、今(笑)」と少々照れ笑いを浮かべながらも「全く知らないけれど、これだけ(SNSを)やってるんだったら、TikTokも始めてみようかなって」という言葉には力強いものがあった。

 気がつけば、香取と共に稲垣吾郎、草なぎ剛もTwitter、Instagram、YouTube、ブログと代表的なSNSを一通り開設している。2017年に新しい地図を広げる以前では考えられなかった光景だが、今では彼ららしさを感じられるコンテンツとして定着した印象さえある。そこで今回は今一度、彼らとSNSの表現について振り返ってみたい。

稲垣吾郎が持つ、完璧な姿を見せる美学

 今月、稲垣がSNSについてインタビューで以下のように語っていたのを見かけた。

「更新の頻度は低めかもしれません。もっと気軽にやればいいんだけど、投稿するなら言葉も写真も作品として完璧に徹底してやりたいと思ってしまうんですよね」(※2)。

 確かに、稲垣のブログは2020年4月を最後に新しい記事は上がっていない。YouTubeチャンネルも開設はされたもののアップされたのは1本のみ。Instagramは2021年10月が最新で、2022年に入って更新されたのはTwitterだけだ。しかも、その内容もレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』(ABEMA、※以下『ななにー』)内のロケにて、NAKAMA(ファン)からゲストに質問を募る少々ビジネスライクなもの。

 だが、そのSNSとの適度な距離を保っている姿もまた稲垣らしいと思わせるところなのだ。私たちは、どこか彼の中にいつまでも「ミステリアスであってほしい」という願いを抱いている。プライベートをすべて見たいというわけではない。でも長年あまりに見えてこなかったその秘密のベールを、少しだけめくってみたい……そんな気持ちを叶えてくれたのがSNSだった。

 彼もそんな期待を知っているかのように、完璧な“稲垣吾郎的ライフスタイル”を見せてくれたのは、ある種の感動を生むものだった。部屋には美しく活けられたお花。写真を見て思わず深呼吸したくなるような早朝の散歩風景。そして声に出して読みたくなる落ち着いたテキスト……まさに「完璧に徹底してやりたい」というのが、過去の投稿を見れば伝わってくる。

 もちろん更新してくれたほうが嬉しいのは確か。だが、それが彼のライフスタイルを崩すきっかけになってしまうのは本末転倒、とはNAKAMAの総意ではないだろうか。周りのペースに乱されることなく、稲垣らしい美学を貫き続けているという姿勢が垣間見える“作品”としてのSNS更新を、じっくり待つのもまた一興なのだ。

草なぎ剛の肩の力が抜けた継続力

 3人の中で、最初にYouTubeを始めたのは草なぎだった。テキストや写真をアップするのに比べて、動画コンテンツを企画・撮影・編集するという負担の大きな世界へ。SNS初心者ながら飛び込んでいくのは、さぞ勇気のいることだっただろう。

 今でこそ多くの芸能人がYouTubeチャンネルを展開しているが、当時はその他のSNSに比べてまだ「TVスター」と「YouTuber」との間に大きなギャップがあったように感じる。そこを、いい意味で壊し、新たにつないでいった草なぎの存在は大きかったのではないだろうか。

 なかでも印象的だったのは、若い人気YouTuberたちとの微笑ましいコラボだ。ときにはSMAPファンを公言していたYouTuberが、草なぎとイベントで共演して思わず感涙してしまう場面もあった。そんな彼に草なぎは「僕も頑張ってみる」としっかり見つめて肩をつかみ、ステージでは彼らをステージの前面へと促す姿も。その謙虚さと懐の深さもまた同志となるYouTuberたちの心を掴んだ。

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 「自由と平和を愛し、武器は、アイデアと愛嬌。バカにされたっていい。心をこめて、心を打つ」とは、新しい地図が立ち上がったときに掲げられたコピーの一部であるが、まさに草なぎのSNSはその文言を地で行くスタンスだった。好きなギターを奏で、溺愛する犬たちと遊び、天然っぷりが出る料理を披露し、ときには真面目に語ることも……。

 そうしてコツコツと続けてきた草なぎのYouTubeチャンネルの動画数は、実に530本を超える(2月12日現在)。もともと演技の役作りも語学勉強も健康管理も、やると決めたらとことんやり通すところがあった草なぎだが、今は肩の力が抜けた自然体でいながら継続していく“ちょうどいいストイックさ”が彼の大きな魅力と言えそうだ。

 ともすれば「続けなきゃ」と縛られかねないSNS。誰かに強制されてやるものではないからこそ、何をモチベーションにしていくのかは人それぞれだ。今の草なぎから放たれる「ありのままを楽しむ」というスタンスに、「何かを続けていくため」の原点を教えてもらえるような気がする。

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